猫はいんげんを食べても大丈夫?与えてはいけないケースとは

【獣医師監修】猫はいんげんを食べても大丈夫?与えてはいけないケースとは

筑前煮や胡麻和えなど和食料理の彩りとして欠かせないいんげんですが、キャットフードのトッピングや手作り食として猫に与えている飼い主さんが中にはいらっしゃいます。猫にとっていんげんは命に直結して関わる危険な食材ではありませんが、場合によっては猫の健康を損ねてしまう恐れがあるため注意が必要です。具体的にどのような場合が危険なのか、詳しく解説していきたいと思います。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫はいんげんを食べても大丈夫だが注意が必要

キッチンテーブルの上に座っている猫

猫はいんげんを食べても大丈夫

猫にとって危険な食べ物があり、肉じゃがや筑前煮など様々な和食料理の彩りとしてよく使われるいんげんは猫が食べても問題はないといわれています。

緑黄色野菜に分類されているいんげんはカリウムや鉄分といったミネラルのほか、ビタミンB1やビタミンB2、ビタミンKなどのビタミン類も豊富に入っているので愛猫の健康のためにフードのトッピングや手作り食としていんげんを使っている飼い主さんも中にはいらっしゃいます。

猫に与える際に少量であれば大きな問題はないと考えられますが、いんげんにはミネラル成分の1つでもあるマグネシウムも入っており過剰摂取してしまうと泌尿器系疾患の原因になります。また、いんげんにはリンが入っており、腎臓の負担をかけてしまうため特に腎臓病の猫は注意が必要です。

胃腸の弱い猫に与えてはダメ

栄養が豊富ないんげんを猫に食べさせても問題はないとお話ししましたが元々猫は肉食動物とのこともあり、いんげんをたくさん食べてしまうとお腹の中で過度な発酵が起こり、消化不良を起こしてしまうことがあります。

そのため特にお腹を壊しやすく胃腸が弱い猫は控えてください。またいんげん豆は豆類でもあるため中にはアレルギー症状を起こす場合がありますので、猫にいんげんを食べさせたあとはアレルギー症状を起こしていないか注意する必要があります。

また、いんげんといっても白インゲン豆(大福豆や手亡など)や、赤インゲン豆(金時豆)、うずら豆やとら豆など種類がいくつかあるため、いんげんの種類にも気をつけた方がいいでしょう。

猫にいんげんを与える際の注意点

銀の器でご飯を食べている猫

必ずしっかりと加熱する

多くの栄養素が含まれているいんげんですが、いんげんには“レクチン”という物質が含まれています。レクチンはタンパク質の1種であり腸壁にくっつく特徴を持っているため、加熱処理が不十分のまま猫に食べさせてしまうと栄養の吸収を妨げてしまい、下痢や嘔吐といった消化器症状を引き起こしてしまいます。

レクチンによる中毒は猫だけではなく、私たち人も生のいんげんや加熱不十分ないんげんを食べてしまうことで激しい下痢や嘔吐などの中毒症状を引き起こします。日本のみならず海外でもレクチンによる中毒を起こしたことが報告されています。

特にいんげんは植物の中でもレクチンが多く含まれているといわれており、毒性をなくすためにはいんげんを十分に加熱処理する必要があります。

レクチンは80℃程の温度では毒性をなくすことができないため、圧力釜により加熱調理したり最低15分以上茹でたり煮る方法が効果的です。そのため猫にいんげんを与える際は十分に湯がいて加熱処理をおこなうことが必要なのです。

与える量に気をつける

猫はいんげんを食べることができますが、“レクチン‘が非常に危険でリーキーガット(腸もれ症候群)の原因の1つでもあります。

レクチンは小腸の保護粘膜を通過することができるため大量に摂取してしまうと小腸壁に穴があけてしまう場合があり、有害物質が体外に排出されず体内に残ってしまいます。猫にいんげんを与えるときは十分に加熱することも大切ですが、与え過ぎないように少量にしておくことです。

食べやすいように刻む

肉食動物である猫の歯は食べ物を切り裂くことに適しており切歯や犬歯が鋭く発達していますが、食べ物を噛んですりつぶす臼歯はあまり発達していません。そのため猫は噛まずに丸飲みする動物であるため、いんげんを大きいまま与えてしまうとそのまま飲み込んでしまい、消化に負担をかけてしまいます。

フードのトッピングや手作り食でいんげんを与える際は消化しやすく食べやすいようにいんげんを細かく刻んであげてください。

いんげん以外で猫に与える際に注意が必要な豆類

ナッツ類

ナッツ類

ピーナッツやアーモンドなどのナッツ類は全て消化しにくいので、猫が食べてしまうと消化不良を起こし下痢や嘔吐といった消化器症状を引き起こしてしまうため猫に与えない方が好ましいです。

消化しにくいため場合によっては腸管に詰まる腸閉塞を起こしたり、腸が損傷を受けて穴が開く腸穿孔なども起こす恐れもあります。

またナッツ類は脂質がとても多く含まれているため太りやすく、肥満の原因にもなります。ナッツ類でもマカダミアナッツは特に注意で犬では中毒を起こし、猫では中毒を起こすのかどうかハッキリと解明されていませんが体のフラつきや発熱、下痢、嘔吐などの症状が起こるため安全性を考えると与えない方がいいです。

他にもお店で販売しているアーモンドは問題ないですが苦いビターアーモンドには“青酸”が含まれており、体が小さい猫にとってはわずかな量でもケイレンや虚脱、呼吸困難などに陥り命を落とす危険性があります。

ピーナッツに関しては中毒症状を起こすことはないですが、スーパーで売っている食用ピーナッツには塩分が多く含まれているので多く食べてしまうと体内に過剰に溜まった塩分を排出しようと腎臓に負担がかかります。

またピーナッツはミネラル成分のマグネシウムが多く含まれているため泌尿器系疾患の原因になりますので猫に与えない方が好ましいです。

大豆

スプーンと大豆

肉食動物である猫にとっては豊富なタンパク質が必要ですが、豆類の大豆は植物性タンパク質であり、肉や魚といった動物性タンパク質ではありません。そのため消化吸収に負担がかかりやすく、アレルギー症状を引き起こす恐れもあるため特に大豆アレルギーの猫は注意が必要です。

私たちが大豆を食べるときもそのままでは食べず必ず調理をおこなっていますが、調理が不十分な大豆を与えてしまう場合も消化不良を起こしやすかったり、消化管内にガスが溜まってしまいます。

大豆といっても豆腐や納豆が好きな猫や食べさせている猫も中にはいらっしゃいますが、これらも食べ過ぎてしまうと消化不良を起こす原因になったり消化管内にガスが溜まりやすくなるため与え過ぎないように摂取量に注意が必要です。

まとめ

ザルに置かれたいんげん

いんげんはミネラルやビタミン類が入っており、猫も食べられることからフードのトッピングや手作り食として猫に与えることができます。

しかし、いんげんは豆類でもあるので摂取量によっては消化不良を起こしてしまったり、アレルギー症状を引き起こす原因にもなりますので特に大豆アレルギーの猫や胃腸が弱い猫はいんげんを控えましょう。

いんげんを与える際には含まれているレクチンに注意する必要があり、下痢や嘔吐といった中毒症状を引き起こします。レクチンによる中毒は猫だけではなく、私たち人も生のいんげんや不完全調理のいんげんを食べることで発症するため十分に加熱処理をおこなってください。

いんげん以外にも猫が食べられる食材はいくつかありますが摂取量や調理方法など異なりますので十分に理解した上で猫に与えるようにしてください。