猫にキシリトールを与えても大丈夫?中毒になってしまう理由や症状を解説

【獣医師監修】猫にキシリトールを与えても大丈夫?中毒になってしまう理由や症状を解説

虫歯を予防する成分としても有名なキシリトールは、猫が摂取すると中毒を引き起こす可能性があるのをご存知ですか?キシリトールは猫にとってどのように危険なのでしょうか。今回の記事では、なぜ危険なのかを解説するとともに、猫がいるご家庭で注意すべきキシリトール入りの食べ物や、中毒を引き起こす可能性のあるその他の食べ物もあわせてご紹介していきます。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫にキシリトールは絶対NG!

ガムを持つ女性

猫にキシリトールが危険な理由

キシリトールが猫にとって危険なのは、低血糖を引き起こす可能性があるためとされています。キシリトールは人間にとって虫歯予防に効果があるとされている、自然由来の甘味料のひとつです。人間には有効であるキシリトールですが、なぜ猫が摂取すると低血糖を引き起こしてしまうのでしょうか。

猫は人間とは消化の仕方が異なり、猫がキシリトールを摂取すると、体内でのインシュリンの量が極端に増加します。インシュリンは血液中の糖分(血糖)を臓器などに取り込む働きをしていて、インシュリンが大量に増えると、血糖が異常に低くなり、それによって低血糖症を引き起こすのです。

インシュリンの増加量を猫が砂糖を摂取した時と比較すると、キシリトールを摂取したときはインシュリン増加量が砂糖を摂取したときの6倍も多くなることが確認されており、その危険性がよくわかります。

キシリトール中毒の症状

現在のところ、猫のキシリトール中毒としての症状は明確にされていません。

アメリカのSPCA(動物虐待防止協会)によると、1年間に報告されたキシリトール中毒を起こした動物のうち、犬が2000頭以上だったのに対して、猫は21頭だったとしていますが、猫のキシリトール中毒は全体に比べて件数が少なく、どんな症状が出るのかはっきりと分かっていないのが現状です。

猫がキシリトール中毒などで低血糖状態になったとき、引き起こされる症状には次のようなものが考えられます。

  • 嘔吐
  • けいれん
  • 虚脱
  • 昏睡状態
  • 失明(数日~恒久的)

今後、猫のキシリトール中毒についての研究が進めば、猫に起こりうる具体的な症状がはっきりしてくるかもしれません。

猫がキシリトールを摂取した場合の致死量

猫がキシリトールを食べてしまったときの致死量については、猫のキシリトール中毒の報告が全体的に少ないため具体的な数値が示されていません。今回は、犬がキシリトールを摂取した場合の致死量を参考にご紹介します。

犬の体重1キログラム当たり0.1グラムのキシリトールを摂取すると、重篤な症状が起きるとされています。

例えば、キシリトール含有量1粒約0.6グラムのガムを体重5キロの小型犬が摂取したとすると、たった1粒食べただけでも危険なことがわかります。体重が少ない子猫で考えると、ほんの少量だとしても大きな影響を受けることが懸念されます。

症状の出方には個体差があり、犬と猫が同じ量を摂取して同じ症状が出るとは限りませんが、少しの量でも命に関わる危険があることを覚えておきましょう。

注意すべきキシリトール入りの食べ物・用品

チューブから出される歯磨き粉

ガム

ガムはキシリトールが配合されている食品の中で代表的な物の1つです。多くの人間用のガムには、虫歯予防としてキシリトールが使用されていますが、猫には決して与えてはいけません。猫の口腔ケアをしたい場合は、必ず猫用の歯磨きガムを与えてあげましょう。

また、キシリトールガムと合わせて配合されていることが多いミントの香りは、西洋マタタビとも呼ばれるほど猫に好まれるものです。ミントの香りにつられて猫が誤食することを防止するため、猫が自由にすごすスペースに放置しないように気をつけましょう。

歯磨き粉

人間用の歯磨き粉にはキシリトール配合のものが数多く市販されています。猫用の歯磨き粉と、人間用の歯磨き粉では含まれる成分が異なるので、猫には人間用の歯磨き粉は使わないようにしましょう。

猫用の歯磨き粉の商品の中には、人間用の歯磨き粉のチューブに似たパッケージのものも販売されています。パッケージや形をよく確認せずに、間違えて人間用を使用することのないよう、置き場所を変えるなどの工夫が必要です。

また、人間用の歯磨き粉の管理をしっかり行わないと、猫が歯磨き粉を舐めてしまうこともあるようなので、注意してください。

お菓子

キシリトール配合とパッケージに書かれているお菓子はたくさんあります。例えばタブレット、飴、チョコレート、グミ、ラムネなどです。

猫は肉食なので、雑食である犬に比べて誤食や誤飲は少ないとされていますが、それも個体差があります。その猫の嗜好性によっては食べてしまう可能性があるので、必ず猫の手の届かない場所に保管しておきましょう。

気をつけていても、猫が盗み食いをしてしまったということも少なからずあります。万が一人間用のお菓子を食べてしまった場合は、原材料にキシリトールはもちろん、猫に害のあるものが入っていないかを必ず確認し、必要に応じて動物病院を受診するようにしましょう。

キシリトール以外で猫に毒となる食べ物

カットされている玉ねぎと包丁とまな板

玉ねぎ

キシリトール以外に、猫が中毒を起こす危険性のある食べ物で代表的なのが玉ねぎです。玉ねぎには、赤血球を破壊する成分が入っており、急性の貧血や血尿を引き起こし最悪の場合、死に至ることもあります。この成分は玉ねぎの他に長ネギやニラ、ニンニクなどにも含まれています。

食べると危険な量の目安として、体重1キログラム当たり15~20グラム以上が危険なラインだといわれています。しかし症状の出方には個体差があり、小さなかけらやだし汁でさえも中毒を引き起こすことがあるため、細心の注意を払わなければなりません。

症状としては、血尿や貧血の他、嘔吐、下痢などがみられ、食べてすぐには発症せず、症状が現れるまで1日~数日かかります。

チョコレート

キシリトールが入っていないチョコレートであっても、チョコレートに含まれるカカオは猫にとって危険な食材です。カカオの成分であるテオブロミンを、猫がすばやく分解できないことが原因だと考えられています。

カカオを含むチョコレートを摂取すると、中枢神経がダメージを受けて嘔吐や下痢、発熱、けいれん、発作などを起こす可能性があり、最悪の場合突然死することもあります。これらの症状は食べて4時間以内に発症し、約3日間続くとされています。

カカオ含有量の多いビターチョコレートや、高カカオと謳われているチョコレートの誤食には、特に気をつけましょう。

レーズン(ブドウ)

レーズンは、キシリトールと同様に猫がほんの少しの量を摂取しただけでも、中毒になる可能性があります。レーズンの加工前であるブドウでも同じことがいえます。現在のところ、レーズンやブドウに含まれるどの物質が中毒を引き起こすのかは解明されていませんが、腎臓にある尿細管の組織を壊死させてしまうといわれています。

猫がレーズンやブドウを摂取し中毒になると、腎機能障害が起こる可能性があります。初期の症状として、落ち着きのなさや嘔吐が見られ、食べてから24時間以内には下痢、食欲低下、排尿の減少などが挙げられます。

猫の体質によっては、摂取しても中毒の症状が出ない場合もあるようですが、命に関わる可能性もあるので決して食べさせないように注意しましょう。

まとめ

容器からこぼれおちるガム

猫にとって、キシリトールは危険な食べ物であることをご理解いただけたでしょうか。キシリトール中毒を起こす動物の中では、猫の報告例は比較的少なく、致死量などの具体的な危険性は未だはっきりとしていません。猫がキシリトールを口にしてしまう危険がないよう、人間の食べ物や用品をしっかりと管理する必要がありますね。

万が一、猫にとって危険な物を誤飲誤食してしまった場合は、猫の体調を観察し、少しでも心配なときはすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

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