猫にバームクーヘンを与えてはダメ!食べてはいけない理由とは

猫にバームクーヘンを与えてはダメ!食べてはいけない理由とは

おねだりが多い猫には、ついつい自分が食べているものも与えてしまいそうになりますが、猫にとって危険な食べ物は少なくありません。この記事では、猫にバームクーヘンを与えてはいけない理由を解説しています。また、人用に加工された食べ物を猫が食べることについての危険性についても説明しています。

猫がバームクーヘンを食べてはいけない理由

バームクーヘン

おやつを食べているときに、飼い猫におねだりされたことはありませんか。おいしい香りのする食べ物は猫も大好きですよね。

しかし猫が食べたがるからと言って、すぐにあげちゃうのはちょっとNGです。何気ない食べ物でも人用の食品の中には、実は猫の体に良くない食べ物も少なくありません。

数あるスイーツの中でも人気のあるバームクーヘンは、縁起物として結婚式やお祝いごとに使われます。最近ではコンビニなどで気軽に手に入るスイーツのひとつですが、実は猫にとっては良くない食べ物だったということを知っていますか。その理由は以下の通りです。

糖分の摂りすぎで病気になる可能性がある

レシピにもよりますが、バームクーヘンには非常にたくさんの砂糖が使われていて、その量はなんと原材料のうち1/3〜1/4は砂糖なのだそうです。猫が砂糖を大量摂取して問題となるのが、グルコース(ブドウ糖)です。

多量の糖分により肝臓の代謝が落ちることで肥満になりやすくなりますし、血中のグルコースが高い状態が継続してしまうと、糖尿病を引き起こす可能性が高くなってしまいます。

もちろん1度だけ少量のバームクーヘンを食べてしまったからと言って、すぐに病気になることはあまりありません。しかし、一度味をしめた食べ物に関しては何度も欲しがる猫が多いのも事実です。

猫が肥満や糖尿病になってしまうと治療に時間がかかります。完治しないこともある上、糖尿病では毎日インスリンの注射をしなくてはいけないなど、猫もつらいし飼い主として非常に大変な状況に陥ってしまう可能性が考えられるのです。

アレルギーを引き起こす恐れのある成分が入っている

バームクーヘンの主な材料は、小麦粉、砂糖、卵、牛乳、バター、ベーキングパウダーなどです。これらの材料によるアレルギーの可能性は、私たち人間ですらまったく安全というわけではありません。特に小麦粉はアレルギーを引き起こす食材の代表格です。

バームクーヘンを食べることでアレルギーになるとは言えませんが、最近では穀物不使用のキャットフードが推奨されているくらいなので、小麦粉は猫には必要のない食材なのは間違いありません。牛乳に関しては乳糖不耐性によるおなかの不調だけでなく、ホエイなどのタンパク質に反応したアレルギーの危険もあります。

アレルギーを発症した場合、軟便・下痢、嘔吐、発熱、皮膚のかゆみや脱毛などの症状がでることがあります。もっとひどい場合はアナフィラキシーを起こしてしまう可能性もあります。(アナフィラキシーは、痙攣、虚脱、意識混濁・喪失、呼吸の低下、脂肪などが起こります)

軟便や下痢、嘔吐などの症状は、ふだん食べなれないものを食べたときに出る症状とよく似ているので見逃してしまうと大変です。何かしら異変がでたら、動物病院を受診をするようにしましょう。

バームクーヘンのレシピによってはお酒が入っている

バームクーヘンとひとことで言っても、種類、メーカー、作り方が異なれば原材料も違います。ものによっては香りづけにブランデーやラム酒などを添加しているものも存在しています。知らずに愛猫が欲しがるのであげてしまったり、誤って食べてしまったらどうなるでしょうか。

猫はアルコールを分解する酵素をもっていないので体内に入ったアルコールは代謝できず、有毒な状態で肝臓に溜まってしまいます。摂取量によっては、重度の中毒症状が出る可能性もありますのでとても危険です。症状としては、アレルギー同様、嘔吐や下痢、そして酩酊(酔っぱらう)などです。

食べた後ですやすや寝ているのと酔っ払っているのは、見た目では区別が付かないかもしれません。香りづけ程度のお酒なら大丈夫という訳ではありませんから、もしお酒入りバームクーヘンを食べてしまったら、すぐに病院を受診するようにしてください。

猫はバームクーヘンのような甘い食べ物が好きなの?

ご飯を食べる子猫

デザートやおやつに甘いものを食べていると、飼い猫が欲しがって寄ってくるという話は少なくありませんね。

バームクーヘンのような洋菓子はもちろん、アイスクリームやプリン、あんこが好きな猫もいるようです。これだけ聞くと猫は完全に甘党のようですが、本当に甘い食べ物が好きなのでしょうか。

猫は甘みを感じる機能を持っていない

舌にある味を感じる器官のことを、味蕾(みらい)細胞といいます。猫の味蕾細胞は人間の1/12しかなく、味に対してはかなり鈍感な動物です。味覚には「甘み」「塩味」「苦味」「絡み」「うまみ」の5種類がありますが、猫は「甘み」をほとんど感じることができません。

猫は長い野生生活の中で、狩りをして得た獲物をその場で食べる習性から、酸っぱいものは腐ったもの、苦いものは毒のあるものは苦味として避けてきました。

食べるものが安全であることが前提となっているのですね。猫にとってのおいしさや嗜好性は、味覚よりもニオイ(嗅覚)が優位になっているようです。

甘いものを欲しがるのは主に香り

甘みを感じない猫は、甘い食べ物を好んで欲しがるわけではありません。では、どうして甘いものを欲しがるのでしょうか。

それはニオイです。バームクーヘンに限らず、猫が好むものは主に乳製品やバニラの香りがするものが多く、ミルクの香りはもちろんのこと、甘いニオイそのものが猫の食欲をそそるのです。

猫用のデンタルグッズでも嗜好性を高めるために、バニラフレーバーのものがありますね。猫の中には、柔軟剤やお花などの甘い香りに反応する子も少なくありませんが、それが食べてはいけないものであっても口にしてしまう危険は大いにあるということです。甘いニオイがするものには要注意です。

大好きな飼い主が食べているから味見したいという場合もある

たいていの猫は、はじめて見る食べ物には警戒するものですが、食べたことのないものを欲しがるときは、もしかしたら飼い主が食べていることで『これは安全な食べ物だろう』と認識していると考えられます。

猫は社会的な動物なので、幼少期には母猫や兄弟たちから多くのことを学びます。特に食べるものに関しては、母猫が食べているもの、与えるものから自分が食べられるものを学んでいきます。

飼い猫のように完全に人間の管理下で生きている場合は、食事の用意をしてくれる飼い主が母猫の代わりとなるため、猫は一生子猫のような幼児性を残すと言われていますから、飼い主がおいしそうに食べているものを見ると、ついつい猫は『自分も食べてみたいな』と思うのかもしれませんね。

猫に人間の食べ物を与える必要はない

机の上の食べ物を取ろうとする猫

猫は自分がおいしいと感じていない食べ物でも、状況によって食べたがってしまうことがわかりました。欲しがるままにハイハイと与えてしまうと、体調不良や病気を引き起こす原因にもなりかねません。

もちろん、与えないように気をつけていても、同居家族がこっそりあげてしまったり、留守番中など目を離したすきにサッと取って食べてしまうことも考えられます。

人間の食べ物は、猫にとってはデメリットの方が大きいことを理解し、キャットフードだけでなく人間の食べ物の保管などもきちんと管理することが望ましいでしょう。最後に、人間の食べる物を猫に与えてしまうことのデメリットを3つ紹介します。

カロリーオーバーになりやすい

ふだんはキャットフードを与えている人が多いと思います。体重別にしっかりと計量して与えている人も少なくないでしょう。毎日の食事に加えて人間の食べ物を与えた場合、ちょっとしたおすそわけであっても間違いなくカロリーが上乗せされていることになります。

それがバームクヘンのようなカロリーが高いものだとなおさらカロリーオーバーとなります。問題なのは1年のうち1度だけのカロリーオーバーではなく、おすそわけが飼い主と猫の両方で癖になりやすいということです。

毎日のように「ちょっとだけね」と与えているうちに、少しずつ太ってしまい、気が付いた時にはお腹がまん丸、いつもゴロゴロと転がっていて、じゃらし遊びもめんどくさそう…太りすぎは糖尿病になる可能性もあり、あまりにも不健康です。カロリーオーバーで不健康にさせないためにも、最初からおすそわけをしない方がよいでしょう。

中毒やアレルギーを起こす危険性がある

おねだりする姿はかわいらしいし、あげたときに嬉しそうに舐めたり食べたりする姿を見ると、飼い主としての優越感にも似た幸福度があがりますよね。

しかし、人間の食べる物には、猫にとって危険なものが含まれている場合があります。バームクーヘンにお酒が含まれている可能性もあると紹介した通り、私たちが食べているときに気づきにくい材料や成分に、猫にとって有害なものがあると大変です。

特に食物アレルギーは、ふだんキャットフードを食べているときには気づかなかった材料で発症してしまうと、アレルゲンの特定に苦労するのは間違いありません。なによりアナフィラキシーショックが起きると命の危険もありえます。

おなかが空いて何か食べたがるのであれば、猫用フード(おやつ)で調整すれば十分です。ついつい人間用の食べ物をあげてしまう人がいたら、今日から与えるのはやめるようにしましょう。

濃い味付けに慣れてしまうとキャットフードを嫌がるようになる

猫の味覚は、甘味以外なら感じられますし、塩味は苦みや酸味と比べて弱いものの感じないわけではありません。むしろ味覚が鈍いからこそ、食べ物の塩味が強くなるほど猫にはわかります。

また人間の食べ物には、うまみ成分であるアミノ酸が含まれているものが多いので猫にとっては、味の濃い食べ物ほど欲しがってしまう傾向にあるようです。

味の濃い食べ物に慣れてしまうと、塩味を抑えて作られているキャットフードを美味しくないと感じるようになり、避けるようになってしまいます。かつおぶしなどを与えられていた猫が、トッピングなしでフードを食べなくなってしまうのはこのせいです。

猫のとって正しい食事は、総合栄養食のキャットフードですので、健康で長生きしてもらうためにも猫用のフード以外は与えないほうがいいでしょう。

まとめ

舌を出す猫

以上、猫にバームクーヘンを与えてはいけない理由を解説してきました。もし、キャットフード以外のものを食べた後で、軟便・下痢、嘔吐などの症状が出てしまったら、病院で食べたものについてもしっかりと報告しましょう。

猫にとってこのような症状は起こりやすく、食べ物に関わる症状なのか、感染症などによる症状なのかは、獣医師でもすぐには見抜けませんので、飼い主さんからの報告は診察をする上でもとても大事な手掛かりになります。

人間が食べるものを与えない方がいいと言われるのは、猫の生理的機能からみても間違いのない説で、特にバームクーヘンのような嗜好品は、猫にとってはデメリットの方が大きいものです。

もちろん、1度だけ食べて重篤な症状を引き起こすことはないかもしれませんが、わかっているリスクがあるなら与えない方が安心です。おねだりされているのにわざと与えないと、なんだかかわいそうに感じるかもしれませんが、愛猫の健康を第一に考えてあげましょうね。