猫のアポクリン腺癌とは?症状や早期発見のカギ

猫のアポクリン腺癌とは?症状や早期発見のカギ

アポクリン腺癌をご存知でしょうか?あまり聞き慣れない腫瘍のひとつです。犬や猫に多く見られるアポクリン腺癌について、少ない資料ではありますがまとめました。症状や早期発見が重要な事なども書きました。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫のアポクリン腺癌とは

椅子の上で日なたぼっこをしている猫

アポクリン分泌上皮に由来する癌

アポクリン腺癌は、アポクリン分泌上皮に由来する癌です。
腫瘍は真皮や皮下組織に増殖していき、リンパや肺に転移をおこすことがあるそうです。

アポクリン腺癌は犬に多い

アポクリン腺癌は犬に多いとされていますが、稀に猫にもあると言われています。通常、単純腺腫、複合腺腫、混合腺腫、アポクリン腺癌にわけられます。

猫のアポクリン腺癌の特徴

猫が発症しやすい年齢は5~15歳が多く、性別は関係ないとされています。猫のアポクリン腺癌は頭部に多く見られ、場合によっては胸部、腹部、肛門嚢、顎、その他の皮膚腺にも見られるアポクリン腺から発生する癌です。

アポクリン腺とは

アポクリン腺とは、汗を分泌する汗腺のひとつで外分泌腺を言います。人間では、脇などから出る汗は栄養分が多く細菌が繁殖するため、ワキガの原因となるそうです。

アポクリン腺は動物の外分泌腺と言われています。脂質やタンパク質を多く含む、分泌物を皮膚上に分泌し毛穴などに発生しやすいと言われています。また大汗腺は、耳垢腺、乳輪腺、肛門腺などから発生するそうです。

アポクリン腺癌は予後不良の疾患

アポクリン腺癌は稀な疾患と言われています。
良性から悪性と判断されますが、長年にわたって病巣が静かに存在しており、活動期に入ると腫瘍が一気に増殖します。そのため予後が悪い、予後不良の疾患とされています。

猫のアポクリン腺癌の生存率

早期発見や高分化型の腫瘍であれば、5年の生存率は70%です。
発見が遅れた場合や低分化型では、再発、リンパ節転移、遠隔転移の確率が上がります。5年の生存率も17%未満と報告されています。

アポクリン腺癌の予後について、再発してからの進行は比較的に遅い腫瘍として報告されています。

猫の肛門嚢アポクリン腺癌

病院で健康診断を受ける猫

犬や猫の左右にある肛門嚢(におい袋)と言われる所にできる腫瘍です。肛門嚢アポクリン腺癌は、肛門嚢内のアポクリン腺から発生するそうです。

肛門嚢は左右にありますが、片側にのみ起こることが多いです。オスに多いとされていましたが、近年では高齢のメスに多く見られるとされます。

猫が肛門嚢アポクリン腺癌になる原因

肛門嚢アポクリン腺癌は悪性で転移しやすいと言われています。原因としては、不妊手術を受けている猫の発生率が統計的に高いですが、性ホルモンとの明確な関連性ははっきりと断定できないようです。

肛門嚢アポクリン腺癌の症状

症状は様々ですが、肛門周囲の腫大、繰り返す便秘、便の変形、便のボリュームの変化、多飲多尿、食欲不振、嘔吐、体重減少、大腸が圧迫されることによるしぶり、などの症状が見られます。

猫のアポクリン腺癌の治療法

アポクリン腺癌は犬に多く、猫には多く見られない腫瘍ですが、再発や転移しやすいのが特徴です。治療法として外科的切除が主に適用されますが、化学療法や放射腺治療を選択肢とする考えもあるそうです。

猫のアポクリン腺癌を早期発見するには

7歳を超えた猫の場合、定期健診を受け早期発見することがカギとなります。触診、血液検査、エコーなどの検査から異常がないかを確認をすることです。

悪性腫瘍のなかには早期発見をすることで生存率がぐんとあがる場合もあります。猫の身体におかしいと思うことがあれば、様子を見るよりもいち早く検査を受け、早期発見につなげましょう。

猫のアポクリン腺癌についてまとめ

猫を抱っこする飼い主と話をする獣医師

犬に多いアポクリン腺癌と言われる疾患でしたが、猫にもアポクリン腺癌が起こる疾患と知りました。腫瘍は、良性か悪性かで大きな違いが出てくる怖い病気です。

どれだけ健康に気をつけていても、年齢やストレスなどから、腫瘍が発見される可能性もあります。アポクリン腺癌は珍しいこともあり、あまり研究が進んでいないのが現実です。

人間と同じように、ある程度の年齢から病気を考え、定期検診がとても大切なのではないでしょうか。今からでも健康管理やストレス管理などもしていくことが、病気を引き起こさないカギになると思います。

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