猫の耳が赤い原因
猫の耳が赤い原因とはいったいどのような物があるでしょうか?猫ちゃんは全身に被毛が密接に覆われており中々皮膚の異常に気づきにくいです。しかし耳だけは被毛の量が少ないため少しの異変でも分かりやすいです。
アレルギー
猫ちゃんの耳に赤い斑点がみえる場合はアレルギー性の疑いがあります。
アレルギー反応をおこした時猫の皮膚に赤い斑点(発疹)がよくみられるからです。猫の耳に赤い斑点ができるアレルゲンの原因となる要素はたくさんありますがノミやダニ、食べ物などがアレルギーを引き起こしているのではないかといわれています。
最近では花粉やハウスダストでもアレルギー反応が出て耳に赤い斑点ができる猫も居ます。
アレルゲンの原因によって症状は変わりますが痒みや目の周りが赤く腫れる、脱毛などがよくおこります。また痒みにより過度に掻いてしまうと皮膚がただれて出血してしまい皮膚炎になることも珍しくはありません。
蚊に刺されることが原因で起こる過敏症の場合も耳が赤くなることがあります。蚊に刺されないように対策をとることも必要です。
外耳炎
猫の耳が赤い時に多い病気が外耳炎です。猫は自分で毛づくろいするほど綺麗好きなので外耳炎にならないイメージを持つ方が多いのですが、実際に私が働いている動物病院で外耳炎で治療している猫ちゃんがいます。
外耳炎とは外耳道(耳の入り口から中の鼓膜までのこと)が何らかの影響で炎症をおこしてしまう病気です。炎症がおきると痒みが生じて頻繁に掻くようになったり、頭を振る、耳の中が赤いなどの症状がみられます。
炎症がひどい場合は耳の中が赤いだけではく、耳垢がたくさん出たり、臭いニオイがするようになります。元々の体質などにも異なりますが、耳の中にいる細菌や真菌の数が異常に増えてしまうことが外耳炎を発症する主な原因になります。
細菌や真菌は高温時になると活動が活発になり増殖するので特に春〜夏の季節は外耳炎になりやすいです。また飼い主さんの耳のケアのしすぎが原因で赤い炎症おこす場合があります。
猫の耳の中の皮膚はとても敏感なため過度に耳掃除をしたり、強く擦ってしまうと傷ついてしまい炎症がおきてしまいます。
猫の外耳炎を治療せずそのままにしてしまうと耳の奥まで炎症が広がり中耳炎や内耳炎を引き起こしてしまいます。内耳には体のバランスを並行に保ってくれる役割があるため炎症をおこすと斜頸になったり、真っ直ぐ歩けない、旋回するなどの神経症状まで及んでしまいます。
耳ダニ
猫の両耳が赤く、猫の耳の裏が脱毛している場合は何らかの感染がおきているケースがあり、特に多いのが、猫の耳の中にダニが寄生し、痒みから耳が赤い時があります。
猫や犬などの耳に寄生する耳ダニは耳垢や分泌物を栄養源としており、耳の中で繁殖します。その影響で激しい痒みがおこり、掻きすぎから耳の後ろの皮膚が赤くなり時には皮膚が傷ついて出血することもあります。
その他にも黒い耳垢が大量に出るのも耳ダニの特徴です。耳ダニに感染する原因で一番多いのが接触感染によるものです。外に出た時に耳ダニに感染している猫ちゃんと接触することが原因になることが多いです。
他には不衛生な環境での飼育も耳ダニに感染、繁殖しやすいといわれています。
熱がある
猫の耳が赤い時は熱を出していないか確認しましょう。猫の耳が熱い場合、発熱している可能性もあります。猫ちゃんは私たちと違い、全身に汗をかき体温を下げることができないため、毛細血管が多く存在している肉球や耳を中心に体の中に溜まった熱を放出し体温を下げています。
そのことから猫の耳は体温調節の役割を持っているため、体温が高い場合、耳が熱くなり、皮膚が赤いのが特徴です。
遊んだり走った後や興奮した時に体温が上がることがありますが元気や食欲がなかったり鼻水やクシャミなど、何らかの症状が一緒にみられた際は感染症をひきおこしている場合があります。
耳血腫
耳が腫れ、猫の耳が赤い場合は耳血腫の可能性が高いです。主に外耳炎など激しい痒みが続き、過度に耳を掻いてしまった影響で耳介部分の軟骨が折れてしまい出血したことにより腫れてきます。
また猫同士の喧嘩の際にできた傷も耳血腫をおこす要因ともいわれています。状態をそのままにしてしまったり治療を怠ってしまうと耳介部分の軟骨が変形してしまいます。
猫の耳が赤いときの対処法
アレルギー症状の場合
アレルギーが原因で症状がでている場合、まず原因となるアレルゲンを見つけ排除しない限り、再び皮膚に赤い斑点ができアレルギー症状を引き起こしてしまいます。
ノミアレルギーの場合は寄生されたノミの唾液中にあるタンパク質に反応してアレルギー症状がでるため、しっかりとノミの駆除や予防をしなければいけません。また食べ物による疑いがあった際はアレルゲンとなる材料を排除したフード(除去食)に切り替えることもあります。
犬と比べて特定のアレルゲンを見つけることが難しいため炎症やアレルギー症状を抑えるステロイド剤や抗ヒスタミン剤を処方することが多いです。
他にもハウスダストや花粉などアレルゲンとなる要因がたくさんあるので常に生活環境を清潔に保つことが大切です。
外耳炎の場合
外耳炎のまま放っておいてしまったり治療をしなければ耳の奥まで炎症が進んでしまうため早めの治療が大事です。細菌や真菌の数が異常に増えてしまった際は抗生物質を処方したり、耳の痒みや赤い状態が続いていたり、ひどい場合はステロイド剤も処方することがあります。
薬を服用したり、点耳薬を使用する際はたとえ症状が落ち着いたとしても必ず薬は全て投与し、獣医師の指示に従うことです。自己判断で途中で止めてしまうと再び外耳炎になったり、耐性菌ができる可能性があるからです。
また耳を痒がっていないか、耳の皮膚が赤いのか、耳からニオイがしないかなど常に気にしてあげることが早期発見に繋がり早く治すことができます。
耳ダニに感染している場合
まれに肉眼でも耳ダニを見つけることはありますが、ほとんどは病院に受診しないと分からないため耳の痒みや耳が赤いなど何らかの症状がみられた際は早急に診てもらうことが大事です。
もし耳ダニに感染していた場合は駆虫薬を投与し完全になくなるまで治療を継続しなければいけません。また同居猫がいる場合は感染している可能性があるため全ての猫ちゃんも駆虫薬を投与する必要があります。
その他にも普段猫ちゃんがいる空間やカーペット、ソファーなどは耳ダニが増殖しやすい環境であるため、念入りに掃除機をかけたりなど徹底的に部屋を綺麗にし常に清潔を保つことが早く耳ダニを駆除することができ、感染を予防することができます。
耳が赤い、触ると熱い
走った後やオモチャで遊んだ後など興奮した際に体温があがることは正常なので問題はありませんが、鼻水やクシャミ、元気や食欲がないなど体調が優れない様子がある場合は何らかの病気や感染症を引き起こしている可能性が高いため自己判断せず早めの受診が必要です。
また耳が赤い場合は両耳なのか片耳なのかか確認することが大事です。両耳が赤い場合は感染症が、片耳が赤い場合は外耳炎の疑いがあります。
耳血腫の場合
腫れている部分(液体)を針で刺したり注射器で抜く処置が必要になります。そのため耳血腫になる原因は外耳炎や耳ダニに感染などが悪化した際におこる二次的な状態なので、早めにしっかり治療をおこなえば痒みも治り耳血腫になることはまずありません。
なので1番の予防策は耳に何らかの症状がみられた際はすぐに病院に受診し治療をすることです。
まとめ
猫ちゃんの耳が赤いときの原因は様々ありますがほとんどは耳の炎症や感染によるものが多く、痒みが生じ頻繁に耳を掻いていたり耳垢がでるなどの症状が一緒によくみられます。
そのままにしてしまいますと症状が悪化し完治が難しくなったり、神経症状をおこし後遺症を残す場合もあります。また感染症が原因の場合は他の猫ちゃんもうつってしまうため放置せずに早めに受診し適切な治療が大事です。
早く異常に気づけるように日頃から耳をチェックしたり、定期的に耳のケアをし清潔にしてあげることが大切です。