猫にもダウン症は起こるのか そのメカニズムと特徴

猫にもダウン症は起こるのか そのメカニズムと特徴

猫にもダウン症は起こるのか、そのメカニズムや特徴についてまとめました。皆さんは「ダウン症」をご存知でしょうか。名前自体は知っていても、どういった疾患なのか、何が原因となっているかまでは知らないという方も多いかもしれません。本記事では、猫とダウン症の関係や、ダウン症のメカニズムについてご紹介していきます。

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監修:獣医師 平松育子先生

(ふくふく動物病院)

猫にもダウン症は起こるのか

空と猫

猫にもダウン症が起こるのかについては、残念ながらハッキリ解明されていません。しかし、基本的にダウン症は人間特有の先天性疾患であり、猫に発症することはないとされています。ただ、過去にダウン症の方が持つ身体的、また精神的特徴に類似したものを持つ猫がダウン症の猫として話題になることがあったようです。しかし、それらの動物がダウン症であると診断されたわけではないようですが、ダウン症とどのような関係があるのでしょうか。

人にダウン症が起きるメカニズム

染色体イメージ

では、そもそも人にダウン症候群が起きるメカニズムに関して再確認してみましょう。ダウン症は、染色体の異常によって引き起こされる先天性疾患のひとつです。なかでも本来、23組46本で構成される染色体の、21番目の染色体が1本多いことによって引き起こされる標準型21トリソミーがダウン症全体の95%を占めます。標準型21トリソミーの他には、転座型、モザイク型と呼ばれる症例があります。

ダウン症の原因については明確になっていませんが、卵子、精子の分裂異常によるものだと考えられています。ダウン症の症状は、特徴的な外見や身体的発達の遅れ、軽度の知的障害であるとされています。特に外見については、平たんで鼻が低い、目が離れている、目が吊り上がっている、顎が小さいなどの特徴が挙げられます。性格に関しては個性があり、陽気で明るい性格の子も居れば、引っ込み思案な子も居るようです。これは、ダウン症に関係なく言えることですよね。ただ、比較的同年代よりも、大人(教師など)に依存しやすい傾向や、気持ちの切り替えが苦手な場合も多いようです。

ダウン症と言えば、生涯治らない重篤な先天性疾患というイメージがありますが、それは合併症を引き起こしやすいことが関係しているようです。確かにダウン症は、現段階でダウン症そのものに対する根本的な治療法は存在せず、心疾患や眼科系疾患などを引き起こしやすいこともあり、寿命が短いとも言われていました。しかし、現代ではこれらの合併症に対しての検査法や治療法が発達したこともあり、ダウン症を患っている方の寿命は大幅に伸びつつあります。

ダウン症の特徴をもった猫の画像

ダウン症検査

ダウン症が引き起こされるメカニズムを再確認したところで、ダウン症の特徴を持つと話題になった猫の画像を見てみましょう。

ダウン症の猫「モンティー」

こちらは、ダウン症の猫として話題を呼んだ「モンティー」です。保護施設で暮らしていたモンティーは、鼻骨がないその外見的特徴によってなかなか引き取り先が見つからなかったそうですが、ある日デンマークで暮らすカップルに引き取られることになります。

モンティーを引き取ったミカエル・ビョーンとミカラ・クラインは、その外見にひと目で心を奪われてしまい、出会ったその日にモンティーを自宅へと連れ帰ったそうです。しかし、自宅へ迎えた後、家の至るところで排泄をしてしまうというモンティーの行動に悩まされます。

家に馴染めないのではないか、気に入らなかったのではないかと悩みに悩んだ二人が相談した獣医さんの元で、モンティーは染色体に異常を抱えている、つまり人間でいうダウン症に似た症状が現れているのではないかという診断に辿り着くことができたそうです。

それ以来、2人が公開したモンティーの写真が話題となり、モンティーは「ダウン症の猫」として一躍有名になりました。モンティーがダウン症の猫として話題になったのは、ダウン症の外見的特徴に似た顔つきをしていたことが大きく関係しているようですね。正確に言えばダウン症候群とは、ヒトの染色体に異常が起こることで引き起こされる疾患であるため、猫にダウン症は存在しません。しかし、ダウン症によく似た症状を持つ動物は猫以外にも存在するようです。

人以外でダウン症を発症する動物

人以外でダウン症を発症する動物も存在します。それは、チンパンジーです。チンパンジーの22番染色体異常、ヒトの標準型21番トリソミーに相当する症例が確認されたとして正式に発表されています。

他には、ダウン症と定義されていないものの、猫やトラなどにもダウン症の外見的特徴が現れる症例が確認されているとされています。

ダウン症のトラ ケニー

これは、ダウン症のトラとして世界的に有名になったホワイトタイガーのケニー。ケニーは、テルペンチンクリーク野生動物保護区(Turpentine Creek Wildlife Refuge)にて保護されていました。ケニーにも、ダウン症の外見的特徴が当てはまったため、ダウン症のトラと呼ばれるようになったようです。

しかし、このケニーがダウン症であるという認識に対しては様々な見解があり、否定する声もあるようです。そもそもホワイトタイガーはトラの品種ではなく、ベンガルトラに色素異常が発生した個体であるのにも関わらず、人気が出たことによって無理に近親交配が行われてきた結果がこの染色体異常であるとも言われています。

そもそも、ダウン症候群というのはヒトの染色体に異常が起こった状態のことを言います。つまり、ヒト特有の病気とも言えますね。そのため、どんなに症状が似ていても本来の染色体の構造が違う動物とヒトでは、比較すること自体が難しいようです。

まとめ

女性と猫

猫にもダウン症は起こるのか、そのメカニズムと特徴についてご紹介しました。医療や研究が発達した現代でも、解明されていないことはたくさん存在します。猫に関してもまだまだ解明されていないことはありますので、ダウン症についても確証はないようですね。しかし、猫にも染色体異常や、ダウン症に似た症状が現れた事例があるということも頭に入れておくことが必要かもしれません。

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