健康かどうか判断するために
健康的な体形を維持できるよう管理をすることが飼い主さんの役割となります。
しかし一言で健康と言っても何を指標に健康と判断すればいいのでしょうか。
体重
一般的な健康管理として思いつく項目が日々の体重チェックです。
おうちで定期的に体重を測る習慣をつけているご家庭、定期的に動物病院へ行く習慣をつけているご家庭、飼い主さんの体重を測る時に一緒に猫ちゃんの体重も測る習慣にしているご家庭など様々でしょう。
人間の場合、理想体重というものを目指す場合もありますが、猫ちゃんの場合、骨格や筋肉などの個体差があるため、どの猫種であればどのくらいの理想体重を目指すべきという指標を作ることは難しい傾向があります。
定期的な体重変化をかかりつけの先生などに見てもらいながら、目標とする体重を決められると安心です。
肉付き
最近は体重を理想の体型の指標とすることは難しい傾向があり、お肉の付き方で理想の体型かどうかの指標とすることが一般的です。
ボディコンディションスコア(BCS)と呼ばれる指標が知られており、肋骨や背骨の触れ方やウエストのくびれ方で評価する方法となります。
5段階で数字が低ければ痩せ気味、数字が大きければ太り気味という評価になります。
指標とすべきとされている標準的な体形は、肋骨や背骨が皮膚や脂肪組織の下に触って確認できる程度、横から見た時にウエストにくびれがあることなどが指標とされています。
定期的な血液検査
一般的な肥満とは少し異なりますが、食べているものなどによって脂質などの数値が上昇していることが血液検査の結果でわかり、生活を改善する必要がある場合もあります。
症状が起こっていなくても、血糖値の上昇や脂質の項目の上昇などがあると、生活の見直しを行う必要があるケースが多いです。
血糖値の上昇は糖尿病などに移行する前の段階、もしくは糖尿病の初期である可能性を示唆し、脂質系の項目の上昇は肝臓や膵臓などの消化器系に負担をかけてしまう危険性があるため改善が必要です。
症状などが現れる前に体内で起こっていることが早期に把握できることも多いため、定期的な検査をすることも大切です。
体重はどのようにはかる?
人間は体重計の上に乗れば良いため簡単に計測をすることができますが、動いてしまったり嫌がったりする猫ちゃんも多く、どうしたら良いのだろうかと悩んでいる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
猫ちゃんの体重を測るには以下のような方法があります。
抱っこをしてはかる
飼い主さんとのコミュニケーションがとれて抱っこが好きな猫ちゃんであれば比較的簡単な方法になります。
猫ちゃんを抱っこした状態で体重計にのって、まず飼い主さんと猫ちゃんの体重を合わせて測ります。
その後、飼い主さんのみで体重を測定し、猫ちゃんと合わせて測定した体重から飼い主さんの体重を引きます。
家庭の体重計で可能なことや、抱っこをしながらの測定であるため、かかるストレスが少ないことなどがメリットですが、子猫ちゃんなどの小さな体格の子は正確に測りづらいなどのデメリットもあります。
キャリーケースに入ってもらってはかる
キャリーケースに入ることが問題なくできる猫ちゃんであれば可能な方法です。
キャリーケースに猫ちゃんを入れた状態で測定し、キャリーケースの重さを引く方法です。
抱っこが難しかったり、暴れん坊な猫ちゃんでもキャリーケースに入れれば測定が可能であることがメリットですが一方でキャリーケースに入ることが苦手だったり、警戒心の強い猫ちゃんなどではその後の体重測定も難しくなる可能性があることなどがデメリットとして挙げられます。
この方法であれば体重計でも問題なく測定できますが、小さい子の場合、はかりやベビースケールなどを使用することもでき、より正確に測定することが可能となるでしょう。
動物病院で計測する
一番おすすめな方法は動物病院へ定期的に体重測定に通院することです。
動物病院の診察台は、測りが一緒についていて、診察台に乗ってじっとしていることで体重測定が可能となります。
高さもあるためじっとしてくれる猫ちゃんも多いことや、併せて肉付きなどをかかりつけの先生に専門家の視点で診てもらうことができることがメリットとなります。
デメリットとして本来動物病院が嫌いな猫ちゃんの場合、精神的な負担がかかってしまう可能性があることが挙げられるでしょう。
そのためにも、若齢の頃から注射などの嫌なことをするタイミング以外で、体重測定をするためだけなどに通ったり、動物病院でおやつを食べるなどの嫌な記憶を減らすことやキャットフレンドリー病院などの猫ちゃんへの配慮が多くされている動物病院を選択するなどの対策が有効な場合もあります。
肥満になるとどんな問題がある?
肥満は予防しなくてはならないと注意されることが多いですが、なぜ良くないこととされているのか知っていますか?
肥満がどんな問題につながるのかということを挙げてみました。
各器官への負担
体重が増え、体格が大きくなることで体中に血液を送る循環器や体重を支える関節などに負担がかかります。
健康な状態の猫ちゃんであっても、負担がかかり続けている状態であることによって、異常につながる場合もあり、持病として各器官のトラブルを起こした経験のある猫ちゃんであれば再発を予防するために、負担をかけないようにすることは大切です。
治療の一環として肥満対策や体重管理が提案される場合もあります。
運動のしづらさ
猫ちゃんは本来狩りをして生活する動物であり、運動神経がとても良い動物です。
個体差はありますが、本来活発である子も多く、家庭内でもキャットタワーやお部屋の移動などで運動をしながら楽しむ子が多いです。
運動をして遊びたいという本能的な欲を、体の動きづらさなどによりできなくなることで、欲を満たせないという精神的な負担がかかる場合もあります。
器官の負担とも重複しますが、肥満の状態で運動をすることで循環器や関節に負担がかかり、問題につながる場合もあります。
日常生活の送りづらさ
本来猫ちゃんはグルーミングをしたり、爪とぎをするなどの習慣を持つ子が多いです。
太ってしまって体を動かしづらくなると、グルーミングや爪とぎの問題につながることがあり、皮膚や爪周りのトラブルにつながることもあります。
肥満の場合、無理に行わせることは難しいでしょう。
その場合はより皮膚の状態のこまめな観察をしたり、爪の状態の観察をこまめにしたりするなどのケアを行なってあげてください。
ダイエットが必要とわかったら
少し太り気味ということがわかったら、飼い主さんが管理をしてあげる必要があります。
人間の場合、運動をして痩せることが可能ですが、猫ちゃんの場合は食事などによりダイエットを行なうことが一般的です。
ではどのような対策を行なうのでしょうか。
食事量の管理
まず必要なのが食事量の管理を行なうことです。
いつも猫ちゃんの要求に応じて都度与えていたり、量はあまり気にせずに与えている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
体格や年齢、体質によって必要とする熱量が異なります。
一般的に、猫ちゃん用のフードのパッケージには一日に与えるべき量が記載されています。
食べるタイミングにムラがあったり、管理が難しい場合も多いと思いますが、体重管理のために、記載された量に従って給餌量を決定する必要があります。
猫ちゃんの代謝などによっても、記載された量のままでは体重変化が見られない場合もあるため、こまめな体重測定や肉付きのチェックをしながら与える量の調節をしていくと良いでしょう。
判断が難しい場合はかかりつけの先生などの専門家の方に相談してみていただくことをおすすめします。
食事の質の見直し
猫ちゃんに与えるごはんは、お家の猫ちゃんに適したものを選べていますか?
キャットフードは年齢や猫種、体質などによって細かく分かれています。
含まれる熱量や栄養素が異なっていたり、体質によって食物繊維など多くとるべき栄養素の配合の割合が異なっていたりすることが特徴です。
例えば若齢の猫ちゃん向けのキャットフードは成長に必要な栄養素や熱量が豊富に含まれていますが、成長期を終えた猫ちゃんがずっと摂取しているとカロリーオーバーになってしまうこともあります。
太りやすい猫ちゃんは満腹感を感じやすいような配合や摂取できる熱量が抑えられたりしていることが特徴的です。
適したフードを選んであげることで健康な体作りにつなげられる可能性が高いです。
生活環境や習慣の見直し
与えているキャットフードの選択や量も問題ないはずなのになかなか痩せられないという猫ちゃんもいるかもしれません。
そんなときは生活環境や食の習慣を見直す必要がある可能性が高いです。
例えば多頭飼育の猫ちゃんの場合、簡単に他の猫ちゃんのごはんを盗み食いできるような環境である可能性や、ご家族で猫ちゃんと暮らしている場合、ご家族全員でのダイエットの意思統一ができておらず、誰かがおやつを与えてしまっているというケースもあります。
お留守番が多い猫ちゃんの場合、実は知らない所でおやつの棚などを勝手に開けて食べているということも。
決められたキャットフードを決まった時間に一定量食べるという習慣につなげられるよう、お家の環境を見直してみるとさらにとれる対策が見つかる場合もあります。
まとめ
食べるということは猫ちゃんの楽しみや飼い主さんとのコミュニケーションの手段にもなりますが、適切な方法でなければ肥満につながり問題となる場合が多いです。
猫ちゃんに健康的に楽しく長生きしてもらうために、食餌や体重管理をしながら生活することはとても大切です。
しかし、こだわりや警戒心なども強い個体が多い猫ちゃんの場合、管理も難しく感じる飼い主さんも多いでしょう。
かかりつけの先生などの専門家とタッグを組みながら管理ができると飼い主さんが感じる負担も軽減できる可能性が高いです。
ぜひ健康管理の一環として、困った時はかかりつけの先生などに相談しながら体重管理を行なってみてください。