猫が野生動物にとっての脅威に
「猫は室内だけで飼い、外に出すのは禁止する」という規制を、オーストラリア政府が検討中です。
同国では、飼い猫や野生の猫によって数多くの固有種の動物が殺されて絶滅に瀕しており、この対策としてTanya Plibersek環境大臣が新規制案を発表したものです。今後は一般から意見を募ります。
案では、地方自治体が飼い猫の夜間外出を禁じたり、完全な室内飼いを義務づけたりできるとしています。地方自治体は違反者に重い罰金を課せるほか、保有数に上限を定めたり、居住地域や違反歴によっては猫飼育を全面的に禁止できたりするようにもなります。
案の策定に当たったSarah Legge教授は「猫はオーストラリアの野生動物にとって最大の脅威です」と語ります。たしかに、国内に生息していた29種の野生哺乳動物のうち20種は、猫に襲われて絶滅しているのです。
ペット規制の統一化を
現在でも各自治体がそれぞれペットの保有・飼育規制を設けていますが、今回の政府の提案によって規制内容の統一化をめざすことになります。
「もちろん野生の猫は脅威ですが、家猫もきちんと管理しないといけません」と環境相。
政府も「猫の攻撃が、陸上に住む希少な固有動物の最大の脅威になっており、オニネズミの一種であるビルビーやバンディクート、フサオネズミカンガルー、フクロアリクイなどが危機に瀕している」と発表しています。
猫の数を抑制するために
政府は、実際に取り締まりを行う各地自体と調整を重ねて、規制を具体化する必要があります。
「猫に夜の外出制限を設けるべきか、地域によっては厳しい猫の飼育制限を設定すべきかなど、詰めていかなければならない課題がいろいろあります。一つひとつクリアしていって、より効果的な規制を作り上げていくことが大切です」(環境相)
規制案では、飼育や外出を禁止することで、猫の数を抑制している地域を現在より30%増やすという目標を検討中です。一般からの意見・提案は、ことし12月11日に締め切られます。
愛猫家にとっては、飼育数制限はきびしすぎる規制かもしれませんが、あなたはどう思いますか?