猫用おむつを使うメリット
シニア期の猫や泌尿器の病気、ケガと言った理由で上手く排泄ができない時などに猫用おむつが活躍します。着用年齢は、子猫から老齢の猫まで何歳からでも問題ありません。
これまで、猫用おむつを知らなかった・使ったことが無いという方からすると、「猫におむつって必要なの?」と思うかもしれないので、まずは猫用おむつを使うメリットを1つずつ解説します。
シニア猫の介護に役立つ
おむつと聞いて、おそらく多くの方が思い浮かぶシチュエーションは「介護」でしょう。猫は高齢になると内臓を支える筋肉の衰えや足腰が弱まることで、若い頃と同じように排泄できなくなります。
猫用おむつを着用する事で、トイレに行くまでに失禁してしまったり、トイレよりもしやすい場所でしてしまったりするのを防ぎ、猫の体も部屋の床やベッドも清潔さを保てるのです。
病気・ケガの猫の粗相や排泄物の漏れを防ぐ
泌尿器系・下部尿路系の病気に罹ってしまった猫や足をケガしてしまった猫など、「排便・排泄の障害」が出ている場合にも猫用おむつが有効です。
- 自力で排泄できるが、コントロールができず垂れ流してしまう
- 尿道にカテーテルを入れていて、尿が管の先から漏れる
- 下痢でトイレに間に合わず粗相してしまう
おむつをせず粗相されるたびに掃除するよりも、おむつを着用して定期的に替える方が飼い主の負担はぐっと減ります。
オス猫のスプレー対策ができる
おむつの着用により、主にオス猫の問題行動として知られる「マーキング(スプレー行動)」が出てくる時期に合わせたスプレー対策が楽になります。
マーキング(スプレー)とは、尿を部屋の壁などにスプレーのように吹き付ける行為です。スプレーされる尿は独特の強い臭いを放ち、においづけをする事によってメス猫をおびき寄せたり縄張りを守ったりします。
この行為は未去勢のまま発情期を迎えたオス猫によく見られるのですが、手術後のホルモンの濃さの関係から、去勢後でも1週間ほどは行為が続く可能性もあります。
災害時に役立つ
猫の防災グッズとして、キャリーケースやケージ、ポータブルトイレ、ペットシーツなどと共におむつを用意しておくことで、災害で避難した際とても役立ちます。
ただし、急におむつを着けようとしても慣れていないと嫌がる可能性があるので、猫も飼い主もおむつの着用に慣れるよう、何度か使用しておくのがおすすめです。
場合によっては長期的に帰れなくなる可能性も考え、最低限でも良いので日頃から猫の避難用品を備えておきましょう。
猫用おむつの選び方
初めて猫用おむつを購入するとなると、どのような物を選べば良いか分からなくなりますよね。「とりあえず安いからコレにしよう」と何も考えずに選んでしまうと、猫の健康を害したり、排泄物の漏れにつながるなど飼い主にとっても良いことがありません。
もちろん安さも大事な要素ではあるのですが、着用する猫の事を一番に考え、重視してほしいポイントを1つずつ解説します。
猫に合ったサイズを選ぶ
サイズが大きいおむつを選んでしまうと隙間から排泄物が漏れたり猫が動くうちに外れてしまいます。また、小さいおむつを選んだ場合は、締めつけがきつくなり地肌に擦れて肌荒れの原因に。
愛猫のストレスを増やさないためにも、あらかじめ胴回りの一番太い所を基準に何度か測った上、おむつのパッケージに記載されているサイズ表記を見てから購入してください。
猫種にもよりますが一般的な成猫の胴回りは35〜45cmほどで、子猫や老猫はそれよりもやや細めの傾向があります。犬用のおむつを代用したい場合は、小型犬の女の子用を選ぶと猫の体でも上手く包むことができますよ。
しっぽの周りにフィットする物を選ぶ
猫のおむつにはしっぽを通すための穴が空いていますが、上手くフィットしていないと違和感からおむつを嫌がってしまったり、もたついて歩けなくなる事があります。
上手く着用できていないと漏れにもつながるので、付け方に気をつけて緩くならないようにしましょう。どうしてもサイズが合わずずれたり外れたりするようであれば、おむつカバーを活用するのも手です。
通気性が高い素材の物を選ぶ
おむつはこまめに取り替えるのが理想ですが、外出などでなかなか難しい日もありますよね。そのような場合は、できるだけメッシュやコットンなどの通気性が良い素材の物を選びましょう。
おむつを長時間つけていると蒸れや排泄物が肌に付いたままになるとかぶれや肌トラブル、炎症が起こりやすくなってしまいます。市販のおむつには、枚数少なめのお試しパックを展開している商品もあるので、サイズや素材で悩んだら試してみましょう。
サイン機能がついた物を選ぶ
猫の排泄物に反応して色が変わり、取り替えのタイミングをお知らせしてくれる機能が付いているおむつも売られています。1回1回外して確認する手間がない上に適切なタイミングで替えられるため、猫の体を清潔に保てて飼い主の負担も減るのでおすすめです。
コスパの良いものを選ぶ
猫が使うおむつは人間用の物よりも価格が高めで、毎日使うとなるとかなりのコストが掛かります。安すぎる商品も考えものですが、よく吟味して購入しましょう。
できる限り金額を安く抑えたい場合は、おむつの中に入れて使う尿取りパッドを活用する方法もあります。尿取りパッドを使うことでおむつ自体の交換回数が減り、出費を抑えられますよ。
猫のおむつおすすめ6選
猫用や犬猫兼用のおむつ、おむつカバー、サスペンダーなどから、素材やタイプが異なるものを6つ厳選してみましたのでご紹介します。初めての使用や、漏れ・ずれなどの悩みを持つ方は、ぜひ購入時の参考にしてみてください。
マナーウェア ねこ用 猫用おむつ
ユニチャームから発売されている猫用のマナーウェアです。とにかく吸収力がすごいと高評価の商品で、腎臓病などで大量におしっこをする猫にも適しています。
装着が簡単で、大きさが3段階で調節できるしっぽ穴が付いています。難点としては、どうしても価格が割高になってしまう点ですが、専用だからこその安心感を得られる商品です。
マナーウェア 犬用おむつ 女の子用サニタリーパンツ 男の子兼用
この商品は犬用のサニタリーパンツなのですが、レビューでは猫のおむつカバーとして着用していると言う声も多くありました。
犬用なのでしっぽのフィット感やサイズが合わない場合もあるようですが、犬用ならではの幅広いサイズ展開と、脱げないようしっかり止められるテープに安心感があります。かわいい3種類の柄で、ローテーション用に買い置きするのも良いでしょう。
オムツ ドギーマン マナー ジーンズ風パンツ 犬・猫用 S 18枚
ドギーマンから発売されているジーンズ風の可愛らしいおむつです。お出かけに付けて行っても良いデザインが嬉しい商品。犬猫兼用で作られています。
前後のガード・左右の立体ギャザー・しっぽ穴周りの360°吸水帯・ダブルウエストテープと4つも漏れ防止の機能がついていて、下痢や軟便の漏れを防いでくれます。2〜3回分のおしっこを吸水可能です。
ネオ・ルーライフ ネオ・オムツ 超小型犬用 SS 32枚
伸縮性があり体へしっかりフィット。しっぽ周りがきつい場合は切り込みを入れましょう。しっぽ穴あたりまで吸水体が入っていて漏れ防止力が高いです。
付け直しができるラクラクテープで、おむつを付け慣れていない飼い主さんでも楽に履かせられます。4種類のサイズ展開で、一般的な大きさの猫から大きめの猫まで対応可能。
猫のおむつカバー
こちらは料金(2,200円)を追加することで愛猫のサイズやしっぽの位置に合わせた特注ができるおむつカバーです。お腹側の脚の付け根がボタンで止まっていて、外すだけで簡単におむつを替えられるようになっています。
愛猫にぴったりなサイズにできて、横漏れやずれが無くなるので、毎晩一緒に寝られると好評です。価格が高いのが難点ですが、その分長く使えます。
ドッグサスペンダー NEWズレヘンダー
おむつが脱げやすい子にぜひとも使っていただきたいサスペンダー。金属不使用でアレルギーに配慮された樹脂製のクリップで簡単に止められます。紐がやや硬めですが、幅広めに作られているので食い込みません。
基本は犬用ですが、小型犬対応のサイズ展開とアジャスターでの長さ調節が可能なので、猫でも問題なく使用できます。
猫がおむつを嫌がる時の対策
猫にとっては、何かを着用すること自体がストレスになってしまうため、できる限り負担は無くしてあげたいものですよね。
猫がおむつを嫌がるのは、サイズが合っていなかったりしっぽがちゃんと出ていなかったりして、猫が違和感を覚えるのが原因であることが多いです。
脱げる時はサイズを確認する
おむつが脱げたりずれたりすると、動きづらさから嫌がります。まずはサイズが合っているかをしっかり確認しましょう。特に、活発な猫やよく遊ぶ子猫など、おむつが簡単に脱げやすい子は要注意です。
しっぽが出ているか確認する
サイズの次にチェックしたいのが、猫のしっぽが穴からちゃんと出ているかどうかです。しっぽにおむつが当たったり締まりすぎていると嫌がります。
しっぽ穴が緩すぎたりきつすぎたりしないかを確認して、全体が外に出ている状態にしましょう。しっぽがちゃんと外に出ない場合は、もう一度サイズや素材、履かせ方を見直してみてください。
猫のおむつカバーやサスペンダーを使う
サイズや履かせ方を見直しても、どうしても脱げたり漏れたりしてしまう場合は、おむつカバーやサスペンダーを使うのをおすすめします。
おむつカバーは、おむつの上から履かせて胴回りを止めることができるタイプが主流ですが、全身に着せられるロンパースタイプもあり、よく動く子でも安心です。
猫用おむつを使用する際の注意点
おむつを使用する際は、愛猫の健康を害さないためにもおむつの下の被毛や肌を清潔に保ち、肌に炎症が起きていないかや衛生状態をこまめにチェックしてください。
かぶれていないかチェックする
おむつの中は空気が通りにくく非常に蒸れやすい状態になっています。雑菌の繁殖やおむつの擦れ、排泄物によるダメージ、おむつ替えの時に拭く刺激などで「おむつかぶれ」が生じてしまうのです。
お尻周りは皮膚が繊細なので、赤い湿疹ができたり、かぶれやただれなどのトラブルが起こる可能性が高いので、こまめにチェックをしましょう。
下痢をしたら清潔にする
猫が下痢や軟便をしてお尻が汚れた場合は、おむつ替えの際にぬるま湯で流し、ティッシュや柔らかい布で優しくお尻を拭いてください。
長いこと便が付きっぱなしになってしまったり、拭く時に摩擦が起こるとおむつかぶれや炎症につながるので注意が必要です。
しっぽに負担をかけない
しっぽ穴から横漏れしないようきっちり付けるのが、実はしっぽの部分を締め付けすぎてしまい負担をかけている可能性があります。
猫のしっぽには大切な神経がたくさん集まっていて、非常に敏感な部位です。しっぽの穴が小さくてきつい場合は少し広げて緩めてあげましょう。
犬用のおむつを代用していて、脱げるなどサイズが合わないのであれば、猫の体やしっぽの形に合わせた作りになっている猫用のマナーウェアがおすすめですよ。
動物病院で付け方の指導を受ける
おむつを上手に付けられなかったり、どうしても猫が嫌がってしまう時は動物病院で獣医師に相談して付け方の指導を受けましょう。猫の健康状態や状況から見た適切な交換頻度や、おむつ着用中の詳しい注意点も教えてくれます。
いざという時の猫用おむつの作り方
市販されている猫用おむつが高くて続けられない、合うものが見つからないと言った時は、人間用で代用したり手作りをするのも手です。
人間用を代用する場合、しっぽ穴部分を「逆T字型」に切り込みを入れて作ります。×型に切るよりも漏れを防ぎやすいです。
テープタイプはお腹側にテープが来ると嫌がる可能性が高いので、背中側に来るように止めましょう。パンツタイプは履かせた後にウエストの部分をゴムやテープで止めるか、おむつカバーや犬用のサスペンダーで止めると脱げにくいです。
また、ペットシーツや靴下をアレンジして手作りする方法もあります。ペットシーツのアレンジは、真ん中よりやや上に逆T字の切り込みを入れて広げてしっぽを通します。お腹側と背中側に余った部分を巻き、ガムテープでずれないように止めたら完成です。
靴下のアレンジでは、ダイソーなど100均で売っている紳士用の長めの靴下と尿取りパッドにしっぽ穴を作り、脚・お尻・お腹の部分にも切り込みを入れます。
尿取りパッドは生理用ナプキンでも代用可能です。伸縮性があって適度にフィットしてくれるので、猫の負担が少なく、おむつ移行前に慣らしたい時にも使えますよ。
まとめ
猫用おむつは老猫の介護だけでなく、病気やケガで排泄が上手くいかない子やオス猫のスプレー対策、災害時の備えとしても役に立ちます。おむつを選ぶ際は決して安さだけでなく、
- 猫の体に合ったサイズか?
- しっぽの周りにフィットしているか?
- 通気性が良いか?
を確認しましょう。排泄した事が色で分かるサイン機能が付いているとなお便利です。できるだけコストを抑えたい方は、尿取りパッドを入れて使うとおむつ自体の交換回数が減り節約できますよ。
下痢をしたり排泄した後はおむつかぶれや炎症が起きやすいので、お尻周りを優しく拭いて清潔に保ってください。
着用時、きつく締めすぎてしっぽに負担をかけないような注意が必要ですが、ちょうど良い締め具合や付け方のコツが分からない場合は動物病院で指導してもらいましょう。
コストやサイズ感が気になる場合は、人間用のおむつで代用したり、靴下やペットシーツに穴を開けてアレンジする方法もおすすめです。猫の快適な生活のため、少しでも参考になれば幸いです。