パステルカラーの三毛猫ってどんな猫?
三毛猫は古くから日本で愛されている種類で、一般的には「黒・茶・白」の3色の毛を持つ猫です。毛色それぞれのコントラストがはっきりしているという特徴があります。
三毛猫の中でも毛色や模様によって分類でき、通常の三毛猫よりも黒と茶の色味が淡い種類が「パステル三毛」と呼ばれる猫です。パステル三毛にはどんな特徴があるのか見てみましょう。
従来よりも淡い色合いの毛をもつ三毛猫
パステル三毛は、遺伝子の影響で通常の三毛猫よりも薄く淡い色合いを持ちます。黒毛は灰色(ブルー)、茶毛はクリーム色と、名前の通り「パステルカラー」のような毛色です。
「妖精」や「天使」と称される事もあるほどの美しさと、普段過ごす中でなかなかお目にかかれない珍しさが相まったミステリアスな魅力が人気の種類です。
模様の出方や毛の長さによって見た目はさまざま
三毛猫には、毛色の配置や模様によってさまざまな見た目の個体が存在します。
- 3色の中で黒色の割合が多い「黒三毛」
- 白の割合が多く所々黒や茶が入る「とび三毛」
- 毛色の中にしま模様の入っている「縞三毛」
- 額のM字としま模様が特徴の「キジ三毛」
- 黒色と錆のような茶色が混ざった「サビ猫」
- 黒茶の毛色が薄まった「パステル三毛」
「パステル三毛」とネットで検索をしてみると、同じ色味でも模様や見た目の系統が全く違う猫の画像が出てきます。1匹1匹に異なる特徴があるのです。また、私たちがよく見かける三毛猫というと短毛のイメージが強いですが、長毛種でも三毛の猫は存在します。
パステルカラーの三毛猫が生まれる背景
日本にいる三毛猫と海外からきた猫が繁殖し、パステルカラーの猫が生まれるようになったと言われています。
パステルカラーの三毛猫が生まれる背景には、猫の毛の色に関わる遺伝子の働きが関係していて、毛色に関わる9種類の掛け合わせと、それぞれの優劣の組み合わせによって決定されるのです。
三毛猫の毛色を黒→灰色・茶→クリーム色に薄めているのには、「ダイリュート」という遺伝子が影響しています。
ダイリュート遺伝子が作用して毛色が薄まる
ダイリュートというのは英語で薄めるという意味の単語で、名前の通り毛色を薄める作用のある遺伝子です。ダイリュート遺伝子は「D」という記号で表され、ラージD(優勢)・スモールd(劣勢)という2つに分類されます。
毛色がパステルカラーになるのは、2つともスモールdの「dd」になった場合のみで、どちらかがラージになった場合は毛色が薄まりません。
そのため通常よりも出生確率が低いのです。三毛猫以外にも、バイカラーの猫や黒猫など単色の猫でも「dd」のダイリュート遺伝子を受け継ぐと淡い色味の猫が生まれます。
日本猫でなくてもパステルカラーの三毛猫は生まれる
三毛猫と言うと日本固有の種だと思いがちですが、海外でも黒・茶・白の3色が入った猫種がいて「キャリコ」という名前で親しまれています。
- ノルウェージャンフォレストキャット
- メインクーン
- スコティッシュフォールド
- マンチカン
- ミヌエット
など、日本猫だけでなく私たちの身近にいる洋猫もダイリュート遺伝子の影響によって毛色が薄まってパステルカラーの三毛猫になるのです。こうして生まれたパステルの三毛猫は「ダイリュート・キャリコ」と呼ばれています。
オスのパステルカラーの三毛猫は極めて珍しい
三毛猫のオスは非常に珍しいと聞いた事がある方も多いと思いますが、オスの三毛が生まれるのは性別を決める性染色体にあった時で、確率にすると、なんと3万分の1匹程度。
確かに珍しいですよね。オス猫の染色体はXY、メス猫の染色体はXXで、三毛猫になるには染色体がXXでないといけないために全体の99%がメスとして生まれます。
しかし、稀にオス猫のX染色体が増えてしまう「クラインフェルター症候群」という異常によって、XXYの染色体を持つオスが生まれてくる事があるのです。
三毛猫のオスは子猫のうちから体が弱かったり、不妊になり子孫を残せないハンデを抱えてしまいます。
パステルカラーの三毛猫の性格
ふんわりした見た目と優しそうな雰囲気を纏っているパステル三毛。性格は通常の三毛猫とほとんど変わらず、いわゆる「ツンデレ」な性質です。素っ気ない時もあれば可愛らしく甘えてくる事もあるなど、気まぐれな性格は見ていて飽きません。
また、自分のやりたい事を貫き通す、メス猫の性格の特徴とも言えるわがままで気まぐれな一面を見せる事もあります。
猫の性格は育った環境や幼少の頃に経験した事が影響して個体差が出やすいので、今回紹介する性格の一覧が全てではありません。あくまで傾向として参考にしてみてくださいね。
プライドが高く気まぐれ
パステル三毛は賢くプライドが高い傾向があり、好き嫌いの激しさも持ち合わせているなど気まぐれな性格です。相性の悪い猫や好きでない人には見向きもせず、仲の良い猫や気に入った人には自分から寄っていきます。
自分のスタイルを崩さない、マイペースな性格とも言えるでしょう。パステル三毛をしつける際は過剰に叱りつけたりしないように気をつけましょう。知性が高く賢いので、教えた事を覚えるスピードは早めです。
自立心があり過度にベタベタしない
ほとんどの個体がメスである三毛猫(パステル含む)は、自立心があり、甘えたい時以外はベタベタせず飼い主とも程よい距離感を保ちます。冷静で大人しく聞き分けが良いので、初めて猫を飼う方でも比較的飼いやすい種類です。
家族に対して愛情深く接する
メスならではの強い母性本能から、家族に対する面倒見がとても良いです。自分の子供や家族に対しては愛情深く接し、身を挺して守る強さも持っています。
自分の子供でなくても受け入れた猫には心を開き、穏やかになるので相性が合えば多頭飼いも可能です。猫同士の相性が合わない場合は拒絶反応を見せたり、場合によっては攻撃的になる事もあります。
パステルカラーの三毛猫を迎え入れる方法
「自宅にパステル三毛を迎え入れたい!」と思っても、珍しい種類のためどこで探せば良いか分からないですよね。ペットショップを回って探す方法もありますが、なかなか希望に沿った猫は見つからないかもしれません。
そこでおすすめしたいのが、保護猫を譲渡会で探す・里親を募集しているサイトで探すといった方法です。
保護猫を譲渡してもらうのは尊い命を救う事にも繋がるため良い方法ですね。純血種のパステル三毛を探している場合は、ブリーダーに相談して譲り受けるという選択肢があります。
保護猫として迎え入れる
保護猫でパステル三毛というとあまりイメージが湧きませんが、施設や探すタイミングによっては保護されていて出会える可能性があります。事前にリサーチをして、色々な施設に足を運んでみたり、保護団体が開催する譲渡会に出向いたりしながら探してみましょう。出会えた時の喜びはひとしおですよ。
譲渡の際にかかる値段は、保護団体によっても変わりますが約3〜6万円です。稀にパステル三毛の野良猫がいる場合もありますが、見つけても勝手に連れて帰らずに、見つけた地域の保護団体や自治体に確認を取ってください。
純血種の猫を探す時はブリーダーに相談する
パステル三毛の純血種を探す場合は、ブリーダーに直接相談してみるのがおすすめです。パステル三毛は通常の三毛猫の4分の1程度の出生確率なので、事前に相談しておくと生まれたタイミングで紹介してもらえる可能性が高まります。
ブリーダーの元で販売されている純血種のパステル三毛は通常の三毛猫よりもやや値段が高めで、毛色や品種、血統によって約15〜30万と値段の差は大きいです。
里親募集のサイトで探して迎え入れる
- ペットのおうち
- ジモティー
- ハグー
など、猫の里親を募集しているサイトにパステル三毛の募集が載っていたりします。募集ページには猫の性格や健康状態、譲渡に伴うルールなどが書かれているため、あらかじめちゃんと目を通してから連絡をしましょう。
譲渡の際には、ワクチン接種費用や寄生虫駆除費用などの負担があります。
まとめ
従来の三毛猫よりも淡い色合いがなんとも可愛らしいパステル三毛。模様や色の配置、毛の長さなど、1匹1匹それぞれ異なる個性を持っています。性格の傾向は母性本能が強く愛情深い反面、ツンデレのような「これぞ猫」という気質を持っています。
パステル三毛が生まれるには、劣勢のダイリュート遺伝子という毛色を薄める遺伝子が2つ合わさる必要があるため、私たちがよく見かける三毛猫の4分の1程度の出生確率と非常に珍しいです。
また、パステル三毛の99%はメス猫で、オスは生まれても染色体異常により体にハンデを抱える可能性があります。
パステルカラーの三毛猫は日本猫だけでなくマンチカン・ミヌエット・メインクーンなどの洋猫でも生まれ、ブリーダー経由で譲り受けられたり、保護猫の譲渡会や里親募集のサイトなどで引き取り手を探していたりしますので、気になる方はチェックしてみてください。