猫の去勢手術の基礎知識!メリットや適切な時期、費用の相場から方法まで

猫の去勢手術の基礎知識!メリットや適切な時期、費用の相場から方法まで

猫にとって去勢手術は必要なのでしょうか。オス猫をお迎えして、去勢の手術をどうするべきか悩んでいる方は、改めて猫に去勢手術が必要とされる理由や、そのメリットやデメリットについて確認してみましょう。去勢手術に掛かる費用や、助成金についてもご紹介します。また、猫の去勢手術後は日帰りできるのか、術後の猫の性格が変わることはあるのか、などについても詳しく見ていきましょう。

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監修:獣医師 平松育子先生

(ふくふく動物病院)

猫の去勢手術はした方がいい

去勢前の猫

猫に去勢手術をさせるべきかの結論としては、猫の繁殖を考えていない限り、猫の去勢手術はした方がいいと言えます。オス猫に関しては妊娠する可能性はないものの、発情期には縄張り争いや喧嘩も激しくなる為、怪我をする可能性も高くなりますし、交尾や喧嘩によって、猫免疫不全ウィルス感染症(FIV)等の感染症に掛かる可能性も十分にあります。ですので、オス猫の場合は去勢を行うメリットが大きいのです。

猫の去勢手術をする5つのメリット

外にいる去勢済みの猫

1.オス猫の発情による性的欲求を抑える効果

まず、去勢済みの猫は「発情による性的欲求」を抑えることができます。
完全室内飼いのメス猫が発情期を迎えると、大きな声で鳴き続けたり、必死に脱走しようとしたり、お尻をくねくねと動かしながら辛そうに擦り寄ってきたりする等の行動が見られます。

去勢手術をしていない猫は、満たされる事のない本能的な欲求に苦しみながら過ごすのです。去勢手術をする事で、このようなストレスから解放する事ができます。

2.オス猫の発情による問題行動を抑える効果

猫の去勢手術を行うと、去勢をしていないオス猫に起こりがちな「問題行動」を抑えることが出来ます。

執拗に外に出たがったり、家具や壁に尿を吹きかける尿スプレーをしたり、攻撃的になり食欲が低下するといった、問題行動がみられます。

未去勢の猫に見られる問題行動の例

  • 外に出たがる
  • 尿を吹きかける
  • 攻撃的になる
  • 食欲が低下する

特にオス猫の「尿スプレー」は、通常の尿よりもニオイもきつく、本能的な行為であり、止めさせる事が非常に難しい為、頭を悩ませる飼い主さんが多いようです。これらの問題行動も、去勢手術によって抑える事ができます。

3.オス猫の病気のリスクを軽減する効果

猫の去勢手術を行う事によって疾患にかかるリスクを減少させる事ができます。それぞれ、オスメス特有の病気に関して、避妊・去勢手術を行う事でリスクを減少する事ができるとされています。

  • オス猫:精巣腫瘍、前立腺肥大等の生殖器の疾患
  • メス猫:乳がん、子宮や卵巣の疾患

4.オス猫の繁殖行為による感染症を防ぐ効果

猫を去勢すると、繁殖行動における感染症の発生率を下げることができます。
外へ自由に出入りしている猫の場合、繁殖行為や喧嘩によって猫免疫不全ウィルス感染症(猫エイズ)や猫白血病等にかかる可能性が高くなります。猫の去勢を行う事で、オス猫の場合は行動範囲も狭くなり、性格も穏やかになる事が多いことから、怪我のリスクを減少させる事ができます。

  • 猫免疫不全ウィルス感染症(猫エイズ)のリスクを減らす
  • 猫白血病のリスクを減らす
  • 怪我のリスクを減らす

5.安易な妊娠、出産を避けることができる

生まれてくる全ての命に責任を持てないのであれば、猫には去勢手術をするべきです。里親を見つければいい、オス猫だから関係ないと言う方もいらっしゃいますが、万が一里親が見つからなければ、その猫は殺処分になってしまう可能性もあります。また、外で生まれた命が不幸になってしまう可能性もあります。

不幸な猫を増やさない為にも、安易な妊娠出産は絶対に避けましょう。

猫に避妊・去勢手術をする2つのデメリット

太っている去勢済みの猫

1.全身麻酔のリスク

猫の去勢手術には、全身麻酔を必要とします。全身麻酔については、人間同様アレルギー反応等のリスクが伴います。

2.太りやすくなる

猫の去勢手術後はホルモンバランスが変わる事や、食事量が増えるのに対し、空腹時の代謝率が減少する為、太りやすくなります。

上記の2つ以外に、下部尿路症候群のリスクや、糖尿病の発症率を高める可能性があると言われる事もありますが、その原因や関係性ははっきりと解明されていません。

猫の去勢手術をする時期

去勢前の子猫

猫の去勢手術を行う時期は、成熟を迎える前の「生後6~8ヶ月」に施術するのが一般的です。オスメス同様に、生後6ヶ月を目安に避妊・去勢手術をする事が多いようです。
時期はいつがいいのか?と悩んでいる方は、この6~8ヶ月を基準に考えましょう。

ただ、2016年頃よりアメリカでは猫の去勢の新たな適正時期として、猫の不妊手術適齢期を「生後5ヶ月齢」にするという活動も始まっており、国内でも早期手術を推奨する獣医師も徐々に増えつつあります。

個々の体調や体質、品種等によって多少時期が異なる場合がありますので、かかりつけ医に相談しましょう。

去勢手術をする日程

猫の去勢手術の日程に関しては、初めての発情期までに余裕を持って予定をたてましょう。

と言うのも、我が家の愛猫は手術の予定日に、術前検査で肝臓の数値に異常があり、手術を中断、2週間の服薬が必要になりました。

そうこうしているうちに、初めての発情期を迎えてしまい、辛そうに鳴き続けながら体を擦り付ける愛猫を見て、とても辛い思いをさせてしまったと猛省しました。

発情期を経験した猫の去勢手術

また、一度猫が発情期を迎えると、去勢手術を行った後にも、発情期と同じような行動をとる場合があります。特に、2回以上の発情期を迎えた猫の場合、その確率は上がるとされています。

猫の発情期に関しては、生まれ月の気候によっても変わる事があるので、かかりつけ医としっかり相談し、愛猫に最適な去勢手術の時期を見つけてあげて下さいね。

猫の去勢手術にかかる費用

猫の避妊・去勢手術にかかる費用を計算

猫の避妊・去勢手術にかかる費用や、助成金についてご紹介します。

猫の手術費用

  • 去勢手術(オス猫)15,000~20,000円程度
  • 避妊手術(メス猫)20,000~30,000円程度

こればかりは、猫の避妊・去勢手術を受ける動物病院によって様々です。一般的に手術費用には、術前の問診・聴診・触診費用が含まれています。血液検査などは手術費用に含まれないことがほとんどです。 また、メス猫の避妊手術の場合は卵巣切除手術か、卵巣子宮切除手術なのかでも多少金額に差が出るようです。手術の内容や、検査費用等についても事前に詳しい説明を受けましょう。

手術後の診察費用

猫の去勢手術を受けるとなると、手術費用以外にも何かと費用が発生します。まず、手術後は抗生物質や痛み止め等の投薬があります。これらは、去勢の手術費用とは別途料金が必要になる事がほとんどです。

動物病院によって異なりますが、お薬代や診察料等で1回1,500~2,000円程度の費用が必要になります。

また、これも動物病院にもよりますが、手術後数日で、傷の状態確認の為に診察を受け、その後の抜糸の為に再受診します。この回数も、傷口の治り具合によって異なります。

抜糸が不要な場合もありますが、傷口からの感染症には十分に注意する必要がありますので、異変を感じた場合はすぐに受診しましょう。

また、去勢手術前の検査で異常が発見され、手術を中断する事になっても検査の費用等は支払う必要があります。我が家の場合、既に麻酔も使用していた事から15,000円程度の費用を支払い、改めて手術を受ける際にも術前検査が必要になるので、満額の25,000円を支払いました。

一口に猫の去勢手術の費用と言っても何が起こるかは分からないので、念のため猫の去勢手術をする際には、予算に余裕を持っておくようにしましょう!

猫の去勢手術の費用を抑える補助金・助成金

現在、殺処分を減らす為に、自治体から猫の避妊・去勢手術への補助金・助成金が支払われる場合があります。補助金・助成金の金額は自治体によって様々ですが、オス猫の去勢手術の場合は2,500~5,000円前後、メス猫の避妊手術の場合は2,500~8,000円前後が支給されます。

地域猫の場合、飼い猫の場合等、状況に合わせて支給される金額が変わる自治体もあるようですので、お住まいの自治体へ問い合わせてみましょう。

保護団体と提携している病院の場合

また、保護団体と連携している動物病院等で、一定の条件を満たす場合に限り避妊・去勢手術を低価格で施術してくれる場合があります。条件とは、地域猫限定の場合や、野良猫を保護した、譲り受けた場合等が多いようです。

保護団体と提携している動物病院等も増えてきており、保護団体からの紹介の場合はオス猫の場合5,000円、メス猫の場合10,000円等と、通常の半額以下で施術してもらえる場合もあります。

保護団体から猫をお迎えする場合は、避妊・去勢手術について相談してみるといいかもしれませんね!保護団体からの紹介がない場合でも、野良猫を保護した場合に限り、半額以下で避妊・去勢手術を施術してくれる病院も増えてきています。

お住まいの地域で、そのような活動を行っている動物病院があるかどうか調べてみて下さいね。

猫は去勢手術をしたら日帰りできるのか

キャリーバッグに入る猫

去勢手術をした愛猫を、すぐに家へ連れて帰れるのかどうか心配になる飼い主さんは多いですよね。一般的に猫の去勢手術は日帰り可能です。または、1泊程度の場合が多いようです。

猫は飼い主さんと離れ、慣れない場所で怖い思いをする事になってしまいます。状態が落ち着いていれば、早く家に連れて帰って休ませてあげて欲しいという考えの獣医さんも多いということから、去勢手術後の猫でも日帰りをすることが一般的です。

愛猫の性格によっては、病院にいる間中、警戒して鳴き続けたり、食べ物を一切口にしなかったりする場合もあります。

実際に、我が家の愛猫は日帰り手術だったので、夜にはお迎えに行ったのですが、声がかれてしまっていました。手術後、ケージの前を誰かが通るたびに威嚇し、水も一切飲まず、隅で小さくなっていたそうです。

愛猫の性格によって、去勢の日帰り手術をお願いした方がいい場合もありますので、事前に病院へ相談しておきましょう!

猫が去勢手術をする時の流れ

猫の去勢手術をする獣医

去勢手術前

猫は去勢手術前日の夕方~夜、または当日の朝から絶食・絶飲になります。可哀相だから…とフードを与えてしまうと、全身麻酔をかけた際、誤嚥による窒息等の恐れがありますので注意してください。絶食・絶飲のタイミングについては、獣医師からの説明をしっかりと聞いて下さい。

去勢手術中

猫に全身麻酔をかけ必要な検査を経てから、問題がなければ執刀されます。去勢手術時間自体は非常に短く、実際の時間は「約10分」だそうです。去勢や避妊の手術前の準備に時間が掛かることが多いようです。また、愛猫の去勢手術開始前、終了後に電話をしてもらえる場合もありますので、心配な飼い主さんはそれもお願いしておくといいですね。

去勢手術後

無事に猫の去勢手術が終わり、麻酔が完全に切れた事を確認、異常がなければ家に連れて帰る事ができます。去勢手術当日は、なるべく安静にしておいて欲しいところですが、意外にも日常生活とさほど変わりなく過ごす猫が多いようです。

我が家の場合は、一目散に水を飲みに行き、ご飯を食べた後、一睡もしていなかったからかすぐに腕の中で眠りに落ちました。私が用事をしている時は、キャットタワー等にも普通に登っていて、こちらの方が冷や冷やした程です。

去勢手術後、何よりも注意したいのが「猫に手術の傷口を舐めさせない事」です。エリザベスカラーを付けてくれると安心なのですが、やはり1週間近く付ける事になりますし、嫌がる子が多いので、何かしらの対策が必要になります。

「術後服」を使うのもおすすめ

術後服を着ている去勢後の猫

去勢直後の猫にはエリザベスカラーを付けていると、上手くキャットタワーに登れなかったりもするので、お留守番中は特に心配です。そんな時は、術後服の利用をおすすめします。

通販等で猫専用の術後服も販売されているのですが、お値段は少し高めですし、使用頻度も低いものなので、不要なタイツやTシャツなんかがある場合は手作りしましょう!

不要なタイツやTシャツの袖を切り取り、足としっぽを出す部分を切り取るだけの簡単術後服です。汚れたらすぐに捨てられますし、タイツだと伸縮性もあるので、猫も違和感が少なかったようです。是非お試し下さい。

去勢手術後の猫の性格

去勢を行った猫

猫は、去勢手術を受けると性格が少し変わる子が多いようです。

  • 穏やかな性格になる
  • 甘えん坊な性格になる
  • 成長が止まる

オス猫・メス猫共通して挙げられる去勢・避妊手術後の性格の傾向は、主に上記の3つです。「猫は去勢手術をすると、心も体も丸くなる」なんて言われる事がありますが、まさにその通りですね。

オス猫は、性的欲求によるストレスや、縄張り争いに対する意識等が薄れる事によって、穏やかな性格になる子が多いようです。また、男性ホルモンの分泌が低下する事によって、中性的な性格になる傾向も。

また、猫の去勢手術をする事によって、心の成長が止まり、いつまでも子猫気分のままという子も非常に多く、飼い主さんに甘える事が増える場合も。

猫の去勢手術をすると性格が変わると聞くと心配になりますが、全くの別の猫になる事はありませんし、どちらかと言うと術後は穏やかな甘えん坊になる子が多いので、心配は要りません。

猫の去勢手術が失敗した時の影響

サンダルに乗っている子猫

全身麻酔によるショック反応により突然死する

人間の手術同様、猫の去勢手術も100%安全な手術ではありません。少なからずリスクが生じます。比較的安全とされている猫の去勢手術であっても、全身麻酔によるアレルギー反応、ショック反応によって突然死してしまったケースもあるようです。

ただ、そういったリスクも考慮し、万が一に備えた準備と設備で去勢手術に挑まれています。納得がいくまで、獣医師からきっちりと説明を受けましょう。

後遺症が残る

猫の去勢手術中に尿管や神経等に器具が接触する事で傷が付いてしまい、後に後遺症として症状が出る場合が稀にあるようです。去勢手術も生身の人間が行うので、100%安全とは言えないのが正直なところです。

猫の去勢手術における失敗は稀

ただ、これらは非常に稀なケースです。可愛い我が子が手術を受けるとなると、とても不安になりますが、猫の去勢手術はとても大切なものですので、まずは信頼できる獣医師さんを見つけて下さいね。

猫に去勢手術をすると繁殖能力を無くす

子猫と去勢をしていない親猫

猫は非常に高い繫殖力を持っています。オスの場合はメスの鳴き声やフェロモンに反応して不定期に発情します。生後半年頃には成熟を迎え、メスの場合は1月~9月頃まで、4~10日程度定期的に発情します。

猫は交尾をする事によって排卵する為、交尾をすればほぼ100%妊娠が成立するとされています。また、出産後2ヵ月程で妊娠が可能になる為、多ければ年に4回の出産を迎える場合もあります。

一度の出産で2匹~6匹の子猫が生まれる事を考えると、外へ自由に出入りさせている猫の場合、年間20匹前後の子猫が生まれる可能性もありますね。

生まれてくる全ての子猫の命に責任を持てるのであれば、問題ないかもしれませんが、現実的に不可能と言えるのではないでしょうか。

また、人間同様に猫の出産にも様々なリスクがあり、命がけで命を産み落とします。体に掛かる負担を考えても、安易に妊娠、出産を繰り返すべきではないでしょう。

室内飼いの場合

完全室内飼いだから妊娠する、させる可能性はないと言われる方もいらっしゃいますが、発情期を迎えたメス猫はオス猫を探して鳴き続け、オス猫はメス猫を探す為に必死に脱走しようとします。

発散する事のできない性欲求と一生闘いながら暮らさなければならないのです。このような事を考えても、猫にとって避妊・去勢手術は必要な事だと言えますね。

まとめ

去勢手術を行う前の猫と飼い主
  • 猫の繁殖を考えていない限り去勢手術はしたほうがいい
  • 猫の去勢手術を行うと安易な出産を避ける事ができる
  • 猫の発情による性的欲求を抑える事ができる
  • 猫の病気のリスクを軽減する事ができる
  • 繁殖行為による感染症を防ぐ事ができる
  • 猫の去勢手術は全身麻酔のリスクがある
  • 猫が去勢手術を受けると太りやすくなる

以上、猫の去勢手術についてご紹介しました。

私自身はメスの猫を飼っているので、愛猫が避妊手術を受ける際は、心配で心配で…とにかく避妊手術について色々と勉強しました。

やはり避妊手術に踏み切れたのは、かかりつけの獣医師さんを信頼しているからだと思います。

私が心配性な事は理解してくれているので、一つ一つ丁寧に説明して下さいました。

これから避妊・去勢手術を受ける予定の方も、猫をお迎えする予定の方も、愛猫を安心して託す事ができる獣医師さんを見つけて下さいね!

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