猫の避妊手術は必要なのか
- 飼い主さんの判断に委ねられる
- 一般的には繁殖予定の無い猫は避妊手術をした方が良い
一般的に猫に避妊手術を受けさせるかどうかについては、繁殖をする予定の猫でない限りメス猫には避妊手術を受けさせた方が良いとされています。
避妊手術は絶対にしなければいけない訳ではありません。猫に避妊手術を受けさせるか否かは、飼い主さんの判断に委ねられることをまず、お伝えします。
猫の避妊手術の費用
- 開腹手術で1万5千円から3万円
- 腹腔鏡手術になると10万円程度
- 助成金(補助金)がある地区町村もある
猫の避妊手術の費用は、動物病院により異なります。一般的には、開腹手術で1万5千円から3万円程度が相場のようです。他に血液検査や内服薬代金などが追加になります。
腹腔鏡手術になると10万円程度かかる事も。手術前に病院に確認してみると良いでしょう。野良猫の手術を行う場合、多少割引がある動物病院もあります。
また、地域によって避妊手術の助成金(補助金)が貰える場所もありますので、調べてみましょう。
猫の避妊手術の方法
猫の避妊手術の方法は、2種類あります。お腹を開いて手術を行う「開腹手術」と、小さな穴を開け、そこから器具を差し込んで行う「腹腔鏡手術」です。それぞれの方法を見ていきましょう。
開腹手術
開腹手術は現在、一般的に行われている手術方法です。キズが腹腔鏡手術よりも大きく回復に時間がかかる為、1泊入院することがほとんどです。病院によっては日帰りできる所もあります。腹腔鏡手術よりも費用が安い傾向にあります。
【開腹手術の手順】
1.全身麻酔
2.お腹の毛を剃り、消毒を行う
3.メスを入れる
4.子宮と卵巣を取り出して切除
5.縫合する
腹腔鏡手術
腹腔鏡手術は、猫への負担が軽い手術方法として注目されています。まだ行っている病院は少ないのですが、これから増えていくかもしれません。
開腹手術では1泊入院する事が多いですが、こちらの手術方法ではほぼ100%日帰りとなります。開腹手術よりもキズが小さくて済みますしメリットは多いのですが、その分費用は割高となります。
また、手術を担当する獣医師のスキルによって、手術時間が開腹手術よりも短くなる事もあれば、長くなる事もあります。
【腹腔鏡手術の手順】
1.全身麻酔をかける
2.お腹の被毛を剃り、消毒を行う
3.手術に必要なモニターを装着する
4.お腹の真ん中に2mm~5mm程度の穴を開ける
5.その穴からトロッカーと呼ばれる筒を入れて、炭酸ガスを入れ視野を確保する為にお腹を膨らませる
6.トロッカーにカメラを入れる
7.穴をもう1~2カ所開ける
8.それらの穴から手術器具を入れ、卵巣と子宮を切除
9.切除した卵巣と子宮を穴から取り出す
10.開けた穴を縫合
避妊手術後は…
- エリザベスカラー
- 術後服
術後は手術後を舐め壊してしまわないように、エリザベスカラーを付けるか、術後服を着させると良いでしょう。エリザベスカラーは猫の動きが制限される為、ストレスを与える可能性もあります。
また、多頭飼いの場合、他の猫がキズを舐めてしまうこともあるので、その場合は術後服を着せた方が安全です。
術後服は市販されているものもありますし、簡単に手作りすることもできます。是非、挑戦してみてはいかがでしょうか?
避妊手術をすると性格が変わるのか?
- 子猫のままの性格
- 穏やかになる傾向
また、猫に避妊手術を行うと、性格が変わってしまう、という話もあります。傾向としては、子猫のままの性格でい続けたり、発情期のストレスが掛からないので穏やかになったりするようです。
これを良しと考えるかどうかは、飼い主さんによるでしょう。
猫の避妊手術のメリットとデメリット
猫の避妊手術のメリットとデメリットを、お伝えします。
メリット
猫の避妊手術のメリットは、以下の通りです。
- 生殖器系疾患や乳ガンの予防
- 発情期にかかるストレスの軽減
- 殺処分対象となる猫の減少
避妊手術は卵巣や子宮を切除する為、生殖器系に関連し発生しやすい病気の予防をすることができます。また、乳腺に出来る乳ガンの発症率も大幅に低下させられます。
発情期に猫にかかるストレスの軽減もできますし、大きな鳴き声や脱走など、飼い主さんにとって困った行動も減らすことが可能です。何より、子猫が産まれなくなりますので当然、殺処分の対象となる猫がいなくなることもメリットと考えられます。
デメリット
猫の避妊手術には、デメリットも存在します。
- 下部尿路症候群や糖尿病のリスク増大の可能性
- 肥満
はっきりとした事は分かりませんが、下部尿路症候群や糖尿病にかかるリスクを増やしてしまう可能性が指摘されていますが関連性の根拠の有無は不明です。また、避妊手術を受けた猫は太りやすくなるという事実もあります。
確かに、筆者宅の避妊手術済みの猫は、それほど多くのご飯を食べていないにも関わらず、ぽっちゃり体型になってしまいました。手術前よりも食事管理と運動量には気を使う事は確かかもしれません。ですが個体差がありますので、必ず太りやすくなるとは限らないようです。
猫の避妊手術の失敗例
猫の避妊手術を受けさせる時、失敗することはあるのか、気になるポイントです。猫の避妊手術での失敗には、以下のようなケースがあるようです。
- 卵巣の取り残し
- 尿管へのキズ
- 神経的な後遺症
- 術後、猫が興奮した事での自傷
- 開腹して初めて避妊手術済みだと分かった
手術前に充分な検査を行っていなかったり、獣医師の熟練度によって臓器にキズをつけてしまったりする事で、上記のような失敗例が起こる事がありますがまれです。
また、大人しい猫ほど病院という慣れない環境に興奮し、しかも麻酔から覚めた後は興奮しやすくなりますので、自分で爪や歯を傷つけてしまうケースも存在します。
ずっと人に飼われている猫ならまだしも、しばらく飼い主がいなかった猫などの場合、まれに避妊手術済みだった、という事もあるようです。
避妊手術で命に関わるような致命的な失敗は少ないものの、可能性はゼロではありません。飼い主さんが信頼できる病院や獣医師選びが大切となります。
猫に避妊手術と殺処分について
猫は日照時間が長くなる春になると発情期を迎え、メスはほぼ100%の確率で妊娠をします。猫は1回の出産で複数匹の子猫を産みます。更に、その子猫たちは、生後半年を過ぎた頃から発情期を迎え、更に子猫を出産し始めるのです。
都会に住む猫は人間の使う灯りによって、季節に関係なく発情期を迎えることもあるそうですから、放っておくとどんどん子猫が増えていく事が想像できるでしょう。
飼い猫の場合であっても同様です。もし繁殖をさせても、産まれた全ての子猫に責任を持ち、面倒を見るか里親を見つけるという飼い主さんならば良いのですが、中にはいつの間にか増えた子猫の世話に困って保健所に持ち込む方もいます。
野良猫から産まれた子猫はもちろん、そのような無責任な飼い主の飼育放棄で殺処分の対象になる子猫は、年間数万匹に及ぶのです。
たとえ完全室内飼いであっても安心はできません。発情期は外に出たがり、中には網戸を破って脱走してまで外に出ようとする猫もいます。
鳴き声も普段より大きくなりますし、集合住宅などの場合は特に、ご近所への迷惑が気になる事もあります。以上の事を勘案し、慎重に避妊手術を受けさせるかどうか、検討しなければいけません。
人間の勝手な判断で病気でもない猫にメスを入れるのはモラル的に問題がある、などとする声もありますが、避妊手術をせずに子猫が生まれ、その子猫たちが殺処分になってしまう可能性がある事も考えて頂けると良いと思います。
難しい判断ではありますが、避妊手術をするかしないかは愛猫と飼い主さんにとってベストな選択が望まれます。
まとめ
健康な愛猫の体に、メスを入れるなんて、と悩む飼い主さんも多いでしょう。猫の避妊手術については判断が難しいですが、慎重に懸命に決めたい所です。
40代 女性 しおり
我が家の猫ちゃんも、1匹は出産をさせないと決めていたので避妊手術を受けさせました!
乳ガンや子宮の病気も防ぐこともできますのでメリットがありますね。
そして、もしも逃げ出したときに望まない妊娠で可哀想な子猫を増やさないためにも、避妊手術は必要だなと日頃から感じます。
外にいる猫ちゃんも保護して避妊手術を受けさせるボランティアもしています。近所では、可哀想な子猫を見かけなくなり効果はてきめんです。開腹手術は可哀想な気もするのですが、ガンなどの病気になるほうが、辛いので手術は受けさせましょう。