シンガプーラは抜け毛が少ない?被毛の特徴や対策を紹介

シンガプーラは抜け毛が少ない?被毛の特徴や対策を紹介

公認猫種の中では1番小さな猫であるシンガプーラは大きな目が特徴の可愛らしい猫です。被毛が短く抜け毛も少ないので、お手入れも楽だといわれていますが本当なのでしょうか?お手入れや対策についてもご紹介します。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

シンガプーラは抜け毛の少ない猫って本当?

シンガプーラの横顔

シルクのような滑らかな被毛がきれいなシンガプーラは、短毛で抜け毛も少ないのでお手入れが楽な猫種だといわれています。

実際にペットを飼ってみると「意外と抜け毛が多い」ということもあると思いますが、シンガプーラは抜け毛が少なく、お手入れが楽なのは本当のようです。

シンガプーラの被毛は根元がアイボリーで一本一本の毛に濃いブラウンの帯状の模様が入っています。結果として全体的にセピアカラーに見える被毛が光でキラキラと輝いて見えるのがとても魅力的な猫です。

猫の毛には「オーバーコート」と「アンダーコート」という2種類の被毛があり、外部の刺激から皮膚を保護する役割を担っているのが「オーバーコート」、主に体を保温する役割を担っているのが「アンダーコート」です。

猫は種類や個体によって、オーバーコートとアンダーコートの両方が生えている「ダブルコート」を持つ猫と、主にどちらかの被毛しか生えていない「シングルコート」の猫に分けられます。

シンガプーラはシングルコートの猫と言われていて、オーバーコートが主体で生えており、アンダーコートが生えていない分、抜け毛が少ないというわけです。

保温の役割を果たす「アンダーコート」が無いので、寒さに弱いという特徴もあります。

シンガプーラはシングルコートの猫ですが、年に2回の換毛期があり、その時期には毛が生え替わるので抜け毛の量が多くなるそうです。換毛期は「春」と「秋」なので、いつも通り過ごしていても毛がたくさん抜けるようになり、普段よりもお手入れや掃除を念入りにしなくてはなりません。

シンガプーラの抜け毛のお手入れ方法

起立をしているシンガプーラ

シンガプーラの被毛のお手入れはブラッシングが基本です。抜け毛対策としても被毛を美しく保つためにも定期的にお手入れしてあげましょう。被毛のお手入れは飼い主さんとのスキンシップの一環としても大切です。シャンプーだけでは対応しきれない場合、シャンプーをすると良いでしょう。

週に2~3回のブラッシング

シンガプーラは、週に2~3回のブラッシングで十分です。

換毛期ではなく、抜け毛が気にならない時には週1~2回ほどでも大丈夫です。ブラッシングで滑らかで艶のある毛並みを保ちましょう。

換毛期は抜け毛の量が増えるぶん、普段よりも頻繁にブラッシングをしたり一回一回のお手入れにかける時間を増やしたりしてお手入れしてあげるとよいでしょう。

短毛のシンガプーラは、強い力でブラッシングをすると、皮膚がこすれて痛い思いをしてしまいます。被毛や皮膚を傷める可能性もあるので、柔らかい素材のラバーブラシや獣毛ブラシを使って、優しくブラッシングをしてください。ラバーブラシは特に、ブラシをかける強さや頻度にも気を付けてください。

ラバーブラシは抜け毛を取り除くだけでなく、マッサージによる血行促進効果もあります。ブラシについた抜け毛も取り除きやすいのでブラッシング後の後片付けも簡単でいつもブラシを清潔な状態にしておけます。

抜け毛を一通りラバーブラシで取り除けたら、獣毛ブラシを使って毛並みを整えましょう。毛の艶がよくなり、被毛がますます美しくなります。獣毛ブラシは、猪毛や豚毛、馬毛のものなどがあります。毛のかたさが違いますし、取っ手のありなしや大きさなど、様々な製品がありますので、自分と愛猫に合ったものを選びましょう。

シンガプーラは飼い主さんとのコミュニケーションが大好きな甘えん坊な性格ですが、慎重な一面もあるので慣れるまではブラッシングを怖がる子もいるかもしれません。子猫のうちからブラッシングを習慣にして少しずつ慣らしていくようにしましょう。

慣れないうちやどうしてもブラッシングが苦手な猫に、無理矢理抑え込んでブラッシングをするのはよくありません。一度に全身をブラッシングできなくてもいいので、毎日少しずつ練習のつもりでコツコツとお手入れに慣らしていきましょう。

また、優しく声をかけながらなでるような気持ちでブラッシングをしてあげることも大切です。頑張ったときにはたくさん褒めて、ご褒美におやつをあげるのも良いでしょう。

換毛期(春・秋)のシャンプー

短毛でシングルコートのシンガプーラは基本的にシャンプーの必要がないのですが、抜け毛がたくさん出る時期のお手入れにはシャンプーも有効です。

ただし、洗われるのを嫌がる猫は多く、極端に怖がる子を強引に洗おうとすると、引っ掻かれて飼い主さんがケガをしてしまう危険性もありますし、猫にとってもとても嫌なことになりますので、猫が嫌がる場合には無理にシャンプーをしないようにしましょう。汚れたり、皮膚のケアのためにどうしてもシャンプーが必要なのに猫が嫌がる場合には、トリミングサロンや動物病院にお願いしましょう。どうしても自宅で洗う必要がある場合には、愛猫の様子を見ながら少しずつ慣らしていったり、シャワーの音や水流の強さ、シャンプーをする場所を落ち着ける場所にするなどの工夫をしましょう。

シャワーの音を怖がる場合、初めは水圧を弱めにして、お尻のほうから徐々にお湯をかけてみましょう。シャワーのお湯を直接猫の体にかけないで、一旦手で受けたお湯をかけてあげても良いしょう。シャワーではなく桶にためたお湯を使う方法もあります。また、皮膚や被毛のタイプに合わないシャンプーを使うことで皮膚や毛が乾燥し過ぎてしまうことがあるので、刺激の弱いものや肌質、毛質に合ったシャンプーを探してみてください。

また、シャンプーの後は必ずタオルとドライヤーを使って乾かしてください。生乾きのままだと、蒸れますし、雑菌が繁殖して臭いのもととなって。また、寒がりのシンガプーラの体を冷やしてしまうこともあるでしょう。お風呂上りに寒くないよう室内の温度管理にも気を遣ってあげましょう。

もし、どうしても愛猫が嫌がって自宅でシャンプーができなさそうなら、トリミングサロンでシャンプーをしてもらうのも一つの手です。

中には濡れるのを全く嫌がらず、お風呂が大好きという猫もいます。愛猫が喜ぶならシャンプーの回数を多めにしてもいいですが、もともと猫は自分で行うグルーミングだけでもある程度の清潔さが保てますのでやりすぎには気をつけましょう。

シンガプーラの抜け毛掃除のコツ

猫のブラシ

基本的に抜け毛が少ないシンガプーラですが、それでも室内のいたるところに多少の毛は落ちてしまいますので、掃除は欠かせません。抜け毛掃除にはコツがあるので、愛猫とキレイな部屋で過ごすため参考にしてみてください。

高いところから低いところへ順に掃除する

掃除は「高いところから低いところへ」という順番で進めていくのが基本です。猫の抜け毛は空中を舞って棚などにも入り込んでしまうので、はたきなどを使って床に落とします。

猫がよく乗っている家具や通り道になっているところは特に抜け毛が落ちやすく、はたきだけでキレイに取り除けない場合はハンディ掃除機を使うと便利です。

エアコンのフィルターにも抜け毛が付着してしまうので、定期的に汚れ具合をチェックしてみてください。

特に換毛期は、猫の抜け毛がたまってエアコンが十分に機能できないことがあります。フィルターを取り外して刷毛や掃除機を使って汚れと抜け毛を取り除きましょう。

床・家具の掃除のやり方

高いところの抜け毛を落とせたら、フローリングやカーペットに掃除機をかけて、抜け毛やその他のホコリなどをあらかた吸い取ります。

カーペットは掃除機だけで完全に抜け毛を除去することが難しいので、粘着クリーナーで仕上げをしましょう。

猫が毛づくろいをした後やシャンプーやブラッシングの後は、抜け毛が大量に出てしまうので、すぐに床掃除をすることをオススメします。

抜け毛が風などで散らばる前に、フローリング用ワイパーや粘着クリーナーでその都度さっと掃除しましょう。

また、ソファやキャットタワーには抜け毛が付着しやすいです。これらの場所は、ゴム手袋やゴム張りの軍手をつけた手でなでるようにすると、繊維に絡んだ抜け毛も上手く集めることができます。自分の手を使うので、細かいところもキレイに掃除できます。布製品に付着して毛を取るための専用の製品も色々と販売されています。

掃除を楽にするコツとして、掃除しやすい環境をあらかじめ整えておくのもオススメです。物が多い部屋はそれだけ掃除が大変ですし、毛足の長いカーペットは抜け毛が絡みやすく、お手入れに手間がかかります。

よって、初めから掃除のしやすい素材のものを選び、掃除の導線を確保した家具の配置を心がけ、抜け毛が溜まりやすい家具の隙間をできるだけ作らないといった工夫をすると、毎日の掃除がかなり簡単になります。

飼い主さんの日々の負担を減らすことは、猫との暮らしのうえでも大切なので、掃除のしやすい環境を整えてみてください。

空気清浄機を使う

猫の毛は軽いので空中を舞ってしまいます。定期的に窓を開けての換気も有効ですが、可能であれば空気清浄機を設置するのもオススメです。空気清浄機は抜け毛だけでなくニオイ対策としても頼もしい存在です。

猫の抜け毛やフケが舞っている部屋で過ごすと、飼い主さんが猫アレルギーを持っている場合、症状が出やすくなるでしょう。くしゃみが出たり目がかゆくなったり、皮膚が腫れたりします。猫アレルギーのない飼い主さんでも空気清浄機を使用して空気をできるだけきれいに保つのは良いことでしょうが、猫アレルギーがあって猫を飼っている方は、より空気清浄機が役に立つでしょう。空気清浄機を使うとアレルギー症状が起きなくなるわけではありませんが、猫アレルギーの原因となるフケや猫の唾液のついた毛が空中に舞うのを減らしてくれます。

ペットのニオイに効果的な機能を備えたものが数多く販売されていますので、適したものを選んでください。空気清浄機も使っていると、抜け毛がフィルターにたまるので定期的にお手入れをしましょう。

まとめ

体勢を低くして近づくシンガプーラ

シンガプーラは短毛でシングルコートの猫なので、抜け毛が少なくお手入れが楽です。ただし、ブラッシングによるお手入れは被毛を健康的できれいなものにするためや体のあらゆるところを触られるのに慣れさせるためにも大切ですし、飼い主さんと愛猫のスキンシップの時間にもなりますので定期的に行うと良いでしょう。

春と秋には換毛期で抜け毛が多くなるので、ブラッシングの回数を増やしたり必要ならシャンプーをしたりといつもより念入りにケアをしましょう。

愛猫と快適に過ごすためには室内の掃除も欠かせません。場所や家具の素材に合わせた掃除の仕方を意識し、普段から掃除を楽にする環境づくりにも工夫しましょう。窓を開けて換気したり空気清浄機を置いたりするのも効果的です。

人懐っこく、コミュニケーションをとるのが大好きなシンガプーラとの暮らしでは、被毛のケアもきっとお互いにとって楽しい時間になります。愛猫を可愛がりながら、抜け毛対策をしてますますキズナを深めてください。