寝てばかりの高齢猫に気分転換を!散歩で猫ちゃんの脳と心をリフレッシュ!

寝てばかりの高齢猫に気分転換を!散歩で猫ちゃんの脳と心をリフレッシュ!

年をとるほど猫は眠る時間が長くなります。経験豊富な猫にとって、家の中は知ってる物や音だらけ。退屈して寝ていることも多いのです。そんな彼らを、お散歩で刺激してみるのはいかがでしょうか。まずは玄関から1歩外へ。ベストとリードがあれば、さあ出発です!

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

散歩前の準備

こちらを向いた白黒猫

まず、お散歩の前に、準備しておいて欲しいのがこの3点です。

  • 迷子札
  • ハンドルベスト
  • リード

ハンドルベストとは、お散歩の時に首輪代わりに使用するもので、両前肢を穴に通し、背中側をしっかり合わせて着せるベストのこと。猫は驚くと、突発的にしかも全力で逃げて行きますが、この時猫の身体をがっちり支えてくれるのがハンドルベストなのです。

首輪でも良さそうなものですが、実は猫の首輪は力が入ると外れる仕様になっているものが多く、役に立ちません。また、外れないタイプの首輪でも、首が絞まったり抜けたりするので、猫のお散歩には向かないのです。

この他に、背中がひも状になっている胴輪がありますが、あっさり抜けるので、お散歩にはおすすめできません。

猫との散歩で常に気をつけておきたいこと

左を向いた赤いベストのキジトラ猫

まず、犬のようなテンポの良い散歩は無理だと、心しておきましょう。そして、普段どれだけ動きがゆっくりだとしも、いざとなった時の猫のスピードには、人間は絶対に追いつけないということも。

  • 決して油断しないこと
  • ひとりきりにしないこと

が、迷子にさせないポイントです。

困った動きをされた時の対処方法

てきぱき歩かず、生け垣やよその庭などへ入りたがる

猫のペースに合わせてゆっくり歩き、すぐに手の届く程度の距離を保ちましょう。よその庭に向かった時は、すぐに抱っこです。

知らない物音に驚いて、急に逃げ出す

出かける時は近い場所から始め、いきなり知らない場所へ行かないこと。また、うっかり犬の側に近づかないよう、なるべく早く見つけて、その場を離れるようにします。

追いかけると、さらに逃げる

後ろから慌てて追いかけると、猫はおびえてさらに逃げます。不自然なほどゆっくり歩いて、危険がないことを知らせながら近寄りましょう。また、見つめながら追いかけると、猫は捕食者に追いかけられている気分になります。なるべく目を合わせないようにしながら追いかけるのも、コツの1つです。

嫌がったら止める

外に出るのを嫌がったら、何か理由があるのです。すぐに屋内へもどりましょう。

逃走ルートを教えておく

自力で家に戻れるように教えておくと安心です。

  • 家の周りのニオイをかがせ、自分の家の特徴を覚えさせる
  • 玄関ドアや掃き出し窓などを開けっぱなしにし、室内へ逃げ込める入り口を確保、教えておく

どれだけ気をつけていても、100%の保証はありません。せめて、自分の家だけは覚えておいてもらいましょう。

散歩の始め方

右を向いた赤いベストのキジトラ白

では、お散歩トレーニングを始めてみましょう。

①ハンドルベストとリードを付ける

まずは、室内で、ベストやリードに慣れてもらいましょう。外に出るのは、少し慣れてからの方が安心です。

②床に置いて玄関ドアを少し開けて外をのぞかせる

リードはしっかりつかんでおきます。いきなり聴覚や嗅覚を刺激する情報が大量に押し寄せてくるので、最初はとても怖がるかもしれません。室内に戻るようなら、そのまま戻してあげましょう。

③猫が動き出すまで待つ

猫が第一歩を踏み出すまでには、時間がかかります。ながめるだけで、外に出るまで何日もかかるかもしれません。しかし、無理強いはせず、猫が安心だと確信を持つまで待ちましょう。

④歩き出したら、そっと後ろをついて行く

普段通り歩くと、猫は追い立てられていると勘違いし、走って行ってしまいがち。足音には必ず慣れてくれますので、それまでは足音を控えめに、そっとついて行きましょう。

⑤立ち止まったら、自分も立ち止まる

行く行かないは猫に任せます。回数を重ねれば安心だと確信できる場所が増え、どんどん歩くようになります。

※遠くへ行く必要はない
体力が落ちて、走って逃げる自信がなくなってきている高齢猫は、遠くへ行きたがらないものです。玄関先やお庭で満足そうなら、それを尊重しましょう。

1歩外に出たら、猫のご機嫌な時間につながった!

我が家の場合、病気治療の気分転換にと、猫を抱いて外を見せたのがきっかけでした。その時はすぐに家に入りましたが、何度かそれを繰り返すうちに、猫の方から催促するようになりました。これを「散歩」と呼んでいいかどうかは疑問ですが、「心のリフレッシュを図る」という意味では、まちがいなく散歩でした。

そのうち、先に立って歩くようになったのです。もっとも、しばらく歩くとすぐに道端に座るか寝そべってしまい、運動効果はほぼありませんでしたが、少なくとも外の刺激たっぷりな時間を楽しむようになり、家の中で起きて活動する時間も多少増えたのです。

残念ながら、最近は、外に出しても3分と持たずに家に入ってしまうようになりました。足腰が衰え、何かあっても逃げ切れる自信がないのかもしれません。それでも外の空気は格別らしく、すぐに庭に出られる場所がお気に入りの寝床になっています。仮に1歩も歩かなくても、19歳の彼にとってはこれも立派なお散歩なのだと、飼い主は考えています。

まとめ

右を向いたヒョウ柄ベストのキジトラ白

猫を外に出すにあたっては、迷子にならないように細心の注意が必要です。しかし、いったん外に出ると、寝てばかりだった高齢猫がキビキビとした動きを見せるようになるのには驚くばかりです。

お散歩トレーニングは、最初は玄関先ばかりで人間はあまり楽しくありませんが、猫にとっては大冒険。楽しい余生を送り、病気治療の気分転換にもぴったりなお散歩で、飼い猫ちゃんの脳と心を刺激してみませんか?

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