猫とのスキンシップの前に確認すべきチェック項目5つ

猫とのスキンシップの前に確認すべきチェック項目5つ

人馴れした猫にとって、スキンシップは大切なコミュニケーションの一環です。しかし、その方法やタイミングを誤ると信頼を失ってしまうこともあります。今回は、スキンシップの重要性と、触れ合い方について紹介させていただきます。

猫にとってスキンシップが大切な理由

顎を撫でてもらう猫

猫というとクールで、深い交流を好まないイメージがあります。だから、あまり関わり過ぎてしまうとストレスになってしまうのではないかと心配になるでしょう。しかし、実際にはその逆で、猫にもスキンシップが必要なのです。特に幼い頃から人間と暮らす猫は、飼い主さんと触れ合う時間が少ないと不安になってしまうことがあります。猫は適切にスキンシップを図ることで、次のような効果が得られます。

  • 安心感
  • ストレス軽減
  • 幸せホルモンの増加が期待できる

猫は、人間を同族種の存在として認識しています。つまり、猫から見た我々人間は同じネコ科の動物なのです。更に、猫らしい動作ができないことから「身体が大きくなりすぎた鈍臭い猫」と思われているようです。そして、より身近な存在である飼い主さんは、母猫やきょうだい猫のような親密な関係の猫として見ています。だから、親子やきょうだい同士の触れ合いのようにスキンシップを図ることで、まずは安心感を得ることができます。このように安心した状態で、精神的にも穏やかな生活を送ることで自ずとストレスも減らすことができます。

オキシトシンの効果

また、撫でられることで幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌が促される効果が期待されています。これは撫でてもらった猫だけではなく、撫でている飼い主さんのほうにも同様の効果が見られます。猫と人、双方にオキシトシンが分泌されるのです。このオキシトシンは、幸福感が得られるだけではなく他者への信頼感が増す効果や、より親密な関係になりたいという想いが強くなる効果があります。

警戒心が強く、人との関わりを望んでいないように感じてしまいがちな猫ですが、人との交流を望み、触れ合うことで、より絆が強くなります。スキンシップは猫と人、双方の健康面だけではなく関係性の構築においても重要な鍵となるでしょう。

猫と触れ合う前に確認したいこと

キスされる猫

猫も人との交流を望むのであれば、積極的に関わりを持つことが大切なのでしょうか?そこはやはり猫。犬のように頻繁に触れ合えば喜ばれるというわけではありません。適切なスキンシップは、ストレスの軽減に繋がるものの、極端に関わりすぎてしまうと逆にストレスが増してしまいます。そこで、猫と触れ合う前に確認してほしいことをいくつかご紹介いたします。

1.手は清潔ですか?

人と手を重ねる猫

まずはじめに、飼い主さん自身の手は清潔でしょうか?これは持病を抱える猫を除き、神経質になり過ぎる必要はありません。ただし、帰宅後や調理後、食後など猫の目や口に触れてしまうことで害になる危険性がないかどうかは確認してください。例えば外出先で猫と触れ合ってきた場合、感染症が移るリスクがあります。直接触れ合っていない場合でも、リスクがゼロではありません。飼い主さん自身の風邪予防もついでに、帰宅後はきちんと手洗いを済ませてから猫と触れ合うようにしてください。

また、飼い主さんが食べ物に触れた後も注意が必要です。特にネギや玉ねぎ、チョコレートなど、猫が口にしてはならない食べ物を食べたり調理した後は手を洗う習慣をつけることを心がけるようにしましょう。

2.人馴れした猫ですか?

警戒する猫

全ての猫が同じようにスキンシップを望んでいるとは限りません。特に人馴れしていない猫は尚更です。まだ人との交流経験が浅い猫に対しては、こちらも慎重に関わらなければなりません。この場合、深い交流よりも人に慣れることが最優先です。

人の存在に気がついたときに、耳を後ろに倒し(通称イカ耳)、目を見開いていたら警戒しているサインです。この状況で無理に触れようとすると攻撃されていまう可能性があります。まずは目を逸らし、「何もしないよ」と優しく声をかけ、身を低くして見守るようにしてください。そして徐々に距離を縮めてから触れ合うようにすると、良い信頼関係を築くことができます。

3.スキンシップを望んでいますか?

人と見つめ合う猫

人馴れしている猫であっても、常にスキンシップを望んでいるわけではありません。猫と触れ合うときに重要なのは「今、交流を望んでいるか」ということです。元々単独で生活してきた猫にとって物事の基準は、基本的に自分自身の考えが優先されます。よって、スキンシップを求めていないタイミングで触れ合ってしまうと機嫌を損ねてことがあり、最悪の場合は信頼を失ってしまう可能性があります。一緒に遊びたいと思っている猫の"今"の気持ちに応えてあげることが大切です。

4.撫でる場所は大丈夫?

頭を撫でられる猫

触れ合うタイミングが重要であることと同様に、撫でる場所も重要です。猫にはいくつか触れられたくない場所があります。それは次の3箇所です。

  • お腹
  • しっぽ
  • 肉球

腹部は急所にあたります。基本的に動物は、よほどの信頼がない限り、腹部に触れられることを苦手としています。中でも猫は特に警戒心が強いので、その傾向も強く出ています。猫は心を許してくれると、お腹を見せてゴロンと転がる行動を取ることがあります。これは「遊ぼう」と誘うサインです。ただし、これはあくまでも遊びに誘う仕草であって「お腹を撫でて」と言っているわけではありません。犬の場合は、このような行動を取ったときにお腹を撫でてあげると喜びます。よって、混同しやすい動作のひとつになります。猫の場合は、腹部は基本的には触れないことを心がけましょう。稀に特定の人物のみ、腹部に触れることを望む猫もいます。

続いてしっぽに関しては、大切な神経が集結している部分なので、触れることはもちろん強く掴んたり、誤って踏んでしまうと痛みを伴います。人間にはしっぽがないので、その痛みを図り知ることはできませんが、痛いので要注意という認識だけはしっかりと持っておきましょう。

また肉球も、猫にとっては大切な役割を担う部分であることから、デリケートな部位といえます。人間にとって猫の肉球は癒しであり、猫によって異なる色も魅力でしょう。我々にはないものということもあり、触り心地や色を楽しむために、つい触れてみたくなってしまいます。しかし、触れられることを好まない猫の肉球は、無理に触らないように配慮することが大切です。猫にとって肉球は、高所からのジャンプによる衝撃を吸収したり、自分のにおいを残すためのツールになります。猫にとっての役割を理解してあげましょう。

5.香りをまとっていませんか?

アロマエッセンス

アロマや香水、ボディミストなどは、リラックス効果があるとして女性に支持されています。しかしながら、猫と暮らすご家庭ではできるだけ使用しないことをおすすめします。猫の嗅覚は人間よりも鋭く、微かな香りであっても不快に感じてしまうことがあります。

また、アロマに関しては、特にエッセンシャルオイル(精油)は非常に危険です。ここに含まれる成分が、猫の肝臓では分解できずに命を落とす危険性が極めて高いからです。これは、犬用であっても同様です。人間や犬には分解できるものが、猫には不可能なのです。

よって、猫と暮らす場合は残念ながらアロマを避ける必要があります。更に、外出先でこれらに触れた場合も気をつけなければなりません。最初の項目と重なりますが、手洗いを徹底し、猫と触れ合う場合は香りを身にまとうことを控えましょう。因みに猫が苦手とする主な香りは柑橘系です。みかんやグレープフルーツに触れた後も、よく手を洗ってから遊ぶように心がけましょう。

猫が喜ぶスキンシップとは?

顎乗せする猫

先の注意点から猫とスキンシップを図るには、タイミングや触れ合い方がポイントであることがお分かりいただけたと思います。では、具体的にどのような関わり方をすることで、猫が喜んでくれるのでしょうか?ここからは、猫と触れ合うコツについてご紹介いたします。

猫のペースに合わせる

最も分かりやすいタイミングは、猫のほうからすり寄ってきたときです。猫が顔や体に頬を擦りつけてくることは、一種のマーキングに属します。これは、決してネガティブなものではありません。猫の頬には臭腺があり、そこから放出されるにおいを大切な相手に残しています。

これは「この人は私だけの大切な人」という意味があります。つまり、独占したいほど好きということです。そしてこの行動が見られるタイミングは、撫でる絶好のチャンスになります。擦り付けてきたほうを掌で優しく撫でてあげましょう。また、目を見つめて「ニャー」と鳴いているとき、おもちゃを咥えて来たときなどがベストタイミングです。

このように、猫の行動は理解しにくいようですが、よく観察していると慣れてくるものです。適切なスキンシップを図るためには、猫のペースに合わせて触れ合うことが理想的といえるでしょう。

撫でてほしいポイントを理解する

先の項目では、猫が触れられたくない場所についてご紹介いたしました。ここでは猫が撫でられるとリラックスできる場所を紹介させていただきます。

  • 耳の後ろ
  • 顎の下
  • 背中

猫は、顔周辺や背中を撫でられると喜んでくれます。これらに共通することは、「自分では毛繕いができない場所」です。人間も、痒いところがかけず、誰かにかいてもらうとスッキリすると思います。猫もこれに近い感覚と理解すると分かりやすいでしょう。猫は親しい仲であれば、お互いに毛繕いをし合うアログルーミングという行動を取ります。これは、親しくなれば人間でも可能です。

猫が顔や手を舐めてくれたら、お返しに顔周辺を撫でてあげましょう。スキンシップといっても、難しく考えずに最初は猫の行動を真似てみることからはじめるとスムーズにできるでしょう。

抱っこは短時間に限る

猫は拘束されることを嫌います。だから、体の自由を奪われる抱っこが苦手な猫が多いのです。もし、スキンシップの一環として抱っこをしたいと思うのであれば、短時間に留めておくことが大切です。猫の機嫌が良いタイミングで抱き上げ、軽く撫でたらそっと降ろすを毎日繰り返すことが重要です。極わずかな時間であれば、不快に思うこともなく、飼い主さんが喜んでくれることも相まって、心地よいものとして認識してくれるようになります。ただし、短時間であっても嫌がる場合は猫の気持ちを尊重してあげてください。

猫の本能を引き出す遊び

猫は人との生活に馴染んだとしても、野生の本能を強く残しています。そして、この本能を引き出すことこそ良い刺激のある生活に繋がります。この野生の本能は、遊びの中で引き出すことが可能です。ネズミや蝶々を模したおもちゃを用いると、狩りをした気分を味わうことができます。また、上下運動ができる環境も、高所から天敵の行動を見張る観察ができます。適度に野生の感覚を取り戻すことで、ストレスの軽減に繋がります。猫が猫らしく、健やかに過ごすことができるのです。

スキンシップ中に意識したいこと

背中を撫でられる猫

スキンシップの重要性は、コミュニケーションや遊びばかりではありません。猫に触れる際に、健康面もチェックすることができます。毎日改めてヘルスチェックをするのは大変ですが、触れ合いを通してチェックすることで、猫への負担もなく確実に確かめることができます。スキンシップ中は特に次のようなことに意識を向けてみましょう。

  • 撫でられて痛がるところはないか
  • 体に傷がないか
  • 不自然な腫れがないか
  • 口の中が綺麗なピンク色をしているか
  • 遊んでいる最中に口呼吸をしないかなど

まず、体に異変がないかを確かめましょう。優しく触れているのにも関わらず、痛がったり、触れられることを極端に嫌がらないかがポイントです。また、口を直接開けられる場合は、撫でながらさり気なく口のチェックもしてみましょう。難しい場合は猫じゃらしを咥えるタイミングか、要求がある際に「ニャー」と鳴いているときに口の中や色を見てみるように心がけましょう。健康であれば、綺麗なピンク色をしています。

また、遊びに夢中になった後、口を開けてハァハァと呼吸していないかもチェックしましょう。猫は犬とは異なり、このような口を開ける呼吸(開口呼吸)は見られないのが普通です。もし頻繁に見られるようであれば、一度動物病院を受診するようにしましょう。

まとめ

花梨

我々人間にとって猫が、大切な家族の一員であるように、猫も身近な存在である飼い主さんは、母やきょうだいのように大切に思っています。そして、人との生活に馴染んだ猫は適度に触れ合うことを望んでいます。

猫はクールで、人間に関心がないと長年誤解されてきました。しかし現代では猫と人、双方が求める関係性の変化に伴い、より深い絆で結ばれる関係になっています。とはいえ、まだまだ野生の本能を残している猫は、犬のように常にスキンシップを図ることに喜びを感じるわけではありません。猫の気持ちを大切にしながら関わるように心がけましょう。

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