猫が過剰に鳴いている時の心理5つ

猫が過剰に鳴いている時の心理5つ

猫は意外とよく鳴きます。これには猫の様々な気持ちが込められています。問題のないものもあれば、精神的に不安定であったり、病気が潜んでいることもあります。ここでは猫が頻繁に鳴く理由と対処法についてご紹介いたします。

どうしたの?心配になるほど猫が鳴く理由

鳴く子猫

猫は静かであまり鳴かず、集合住宅でも一緒に暮らせるという印象が強いでしょう。しかし実際は、猫も意外とよく鳴きます。猫が鳴く理由は、一種の言語のような役割を果たしているからです。

猫はボディランゲージでコミュニケーションする

本来猫はボディランゲージでコミュニケーションをとる動物です。猫同士の会話では母猫と子猫の関係を除き、ほとんど「ニャー」と鳴くことはありません。猫が主に鳴くシチュエーションがあるとすれば「鳴き合い」と呼ばれるオス同士の戦いくらいでしょう。

人間と上手に暮らす為に鳴く

しかし人間と暮らす中で、人間が言葉を話すということに気がつきます。そして人間に思いを伝えるためにはボディランゲージだけでは不十分だという結論に至ったのです。つまり、猫が鳴くこと自体は人間との生活に適応するための自然な行動といえます。人間社会の中で、人間とともに生活するためには全く鳴かないということは稀なのです。多かれ少なかれ猫は鳴きます。

ただし、時々飼い主さんが心配になるほど鳴くことがあります。一体どのような理由でそうなってしまうのでしょうか。そこで、猫が過剰になく場合の理由についていくつかご紹介いたします。

1. 構ってほしい

鳴く猫

一昔前の猫は、主にネズミや害虫などを駆除する役割を持つワーキングキャットでした。人間との関係も、端的にいえば雇い主と労働者のような関係に近いものでした。しかし現代の猫事情は大きく異なります。ともに暮らしコンパニオンアニマルとしてより身近な存在になりました。

よって、幼い頃から飼い主さんと暮らす猫は、飼い主さんを母猫のような存在として認識している場合が多いのです。一方人間も、猫を愛おしい存在として甘えてくれることに大きな喜びを感じています。クールな印象の強い猫も、このような関係性からよく甘え、構ってほしいとアピールします。そしてその手段が鳴いて訴えるというものになります。

甘えた声で鳴かれると、つい構ってしまいます。それが持続することで、猫は鳴けば構ってくれると覚えるのです。そして要求に応えてくれない場合は、その要求が通るまで泣き続けるようになってしまうのです。

2. 寂しい

遊ぶ猫

猫が寂しいと思うこと自体が不思議だと感じる方もいらっしゃるかもしれません。猫は人間に関心を持たず、単独でいることを好むイメージが強いでしょう。確かに猫は過剰に構われることは好まず、ひとり遊びも上手にできます。しかし、人間に無関心なわけではありません。

特に最近では単身で猫と暮らす方も増え、お互いに心の拠り所となっているケースも多くなっています。だから、寂しがり屋の猫も想像以上に存在するものなのです。これも、先ほどと同様に一昔前とは関係性が大きく変化したことと関わりがあります。甘えっ子で寂しがり屋の傾向が強い猫は、飼い主さんの姿が見えないと途端に不安になってしまいます。だから大きな声で鳴いて訴えるのです。

3. おやつが貰えると思っている

おやつを食べる猫

猫が鳴いている最中におやつを食べさせた場合、猫は鳴けばご飯やおやつが貰えるのと認識するようになります。そして激しく鳴くと、人間もついおやつで解決しようと思ってしまうものです。しかしこれは悪循環に陥る可能性があります。

猫はおやつほしさに過剰に鳴くようになり、人間は静かにしてもらうために反応してしまいます。間食は肥満の原因にもなります。これが引き金で病気を引き起こす可能性も高いため、鳴くことに対する解決策としておやつを取り入れる行為は危険です。

4. 発情中

寄り添い合う猫

発情期の猫の鳴き声は、驚くほど大きく騒がしいものです。発情中に鳴くのはオスもメスも同様で、意外にもメス猫のほうがやや低めの声で鳴く傾向にあります。激しく鳴くと集合住宅の場合は近所迷惑になります。また、たとえ一軒家であっても近所迷惑になる可能性が高いほど、凄まじいものなのです。そして何よりも飼い主さん自身の眠りの妨げになります。

5. 怪我や体調不良によるもの

診察される猫

猫が過剰に鳴く背景には、怪我や病気が潜んでいることがあります。今までとは明らかに鳴き方が異なる場合や、ある一定の行動を取ったときのみ過剰に鳴き叫ぶ場合は身体に触れて、痛がる部位がないか確かめてみましょう。

目立った外傷が見当たらないときは、他にも食欲不振や嘔吐、元気がないなどの症状がないか振り返ってみましょう。そして、気になることがあれば動物病院を受診するようにしましょう。

ちなみに高齢の猫の場合は、認知症による症状である可能性も考えられます。そして脳腫瘍でも激しく鳴くことがあります。認知症や脳腫瘍は、猫としてはあまり馴染みがないかもしれません。しかし実際にこれらの病気は、猫も罹患することがあるので参考にしてみてください。

猫が頻繁に鳴くときの対処法

パソコンを眺める猫

猫が頻繁に鳴く場合、まずはその理由について考えてみてください。ここで先ほども紹介しましたが、鳴くからといっておやつを食べさせることは好ましい対処法とはいえません。それ以外の方法で、いくつか理由別に対処法をご紹介します。

甘えている場合の対処法

飼い主さんを母猫のような存在として見ている猫は、甘えたい・構ってほしいと頻繁に鳴くようになります。この場合は、鳴いてすぐに反応してはいけません。静かに落ち着くまで敢えて無視をします。そして完全に落ち着いてから要求に応えてあげるようにしましょう。ここで大切なのは、静かになったら反応してあげることです。こうすることで騒ぐと遊んでもらえないけれど、静かにすれば飼い主さんが応えてくれると覚えてくれるようになります。

発情が原因の場合の対処法

先に述べたように、発情中の猫の鳴き声は驚くほど騒々しいものです。これは人間にとっても苦痛ですが、実は猫にとってもストレスの原因になります。もし繁殖を望まない場合は避妊・去勢手術を検討しましょう。手術を受けることで完全に鳴き声を改善できるとは断言できませんが、頻度や声の大きさなど改善される余地は十分に考えられます。手術について不安がある方は、一度かかりつけの動物病院に相談してみてください。

遊び盛りの子猫の場合の対処法

子猫の場合は一度思いっきり遊ぶと、その後はしばらく眠り続けます。遊んでほしいと訴えてきている場合は、寝落ちするまで遊び相手をしてあげることもひとつの手段です。将来的にわがままになるのではないかと心配になるかもしれませんが、猫も成長とともに人間の生活スタイルにある程度は馴染めるようになります。

飼い主さんが相手をしてくれるタイミングと、忙しいタイミングなどを少しずつ理解していくのです。ただし、これには毎日確実に遊び相手をしてあげる時間を確保する必要があります。必ず遊んでくれると安心することで、猫もひとりの時間を過ごしながら待てるようになります。

高齢猫の場合の対処法

猫も高齢期に入ると、少しずつ体が衰えてきます。若い頃は人間以上に優れていた聴覚や嗅覚も、永続的に優れているのではありません。視力も失い、今まで当たり前のようにできていたことが自由にできなくなってくるのです。猫は人間のように言語を操ることができないため、その苦痛や不安を言葉で訴えることはありません。その代わり、鳴いて訴えることはあります。

先の項目で認知症や脳腫瘍を例に挙げましたが、これらの病気がなくても高齢期の猫は不安を感じやすい状態になります。不安が持続するとストレスが慢性化します。これが認知症の引き金や悪化の原因にもなり得ます。よって、少しでも安心して過ごせるように工夫が必要です。視力を失ってしまった場合は、目が見えていた頃の家具の配置を極力維持してください。

そして聴覚が維持されているうちは、できるだけ声をかけてあげるようにしましょう。「〇〇ちゃん、ここにいるからね」と飼い主さんの声がするだけでも随分心強いものです。耳が聞こえにくくなってきたら、日頃から撫でている部位を優しく撫でてあげましょう。撫でられる感触で安心することができます。

程よく自立した猫に成長するためにできること

ひとり遊びをする猫

野生の猫は、単独でも逞しく生きていけるように母猫が自立させます。人間と生活する猫の場合は、完全に独立することはありません。よって、成猫になっても子猫らしさを残していることが多いのです。鳴いて訴える頻度が多いことも、野生の猫のように自立していないということも理由のひとつです。

もちろん単独で生きていけるほど厳しく接する必要はありません。ただし、精神的に程よく自立することは、日中ひとりで留守番ができるようになるためにも重要です。帰宅後に鳴き疲れて声がかれているという事態に陥らないためにも、次のような習慣を子猫の頃から身につけさせておきましょう。

  • お気に入りのおもちゃでひとり遊びができる
  • 食事や水をひとりで摂取できる
  • ひとりでお昼寝ができる

全ての猫がお留守番が得意な訳ではない

猫は一度覚えると何でもひとりでできるイメージがあるでしょう。しかし、意外にも飼い主さんが見ていないとできないという猫も存在するのです。だから同じ空間にいても敢えてひとりで過ごさせる習慣を意識して、身につけさせることが大切なのです。これができないと留守番ができず、帰宅後に部屋が荒れていたり、食事や飲水、排泄ができずに体調を崩すという最悪の事態にも発展しかねません。

夜間の就寝中に、一緒の布団で眠ったりそばにいることは辞めさせる必要はありません。ただし、日中は安心して過ごせる空間を見つけ、そこで穏やかに飼い主さんの帰宅を待てるように応援しましょう。大好きな飼い主さんと離れることに強い不安がある場合は、飼い主さんのにおいの着いたTシャツや丸めた靴下などを寝床に置いておくこともおすすめです。これを実行する場合は、誤飲の原因になるボタンや装飾品のないものにしてください。

まとめ

たまじろう

猫は我々人間が思う以上に人間を身近な存在として懐き、頼りにしています。特に現代の猫はこのような傾向が強いように思われます。だから些細なことで不安になり、頻繁に鳴いたり、鳴き声自体も大きくなることがあります。

日頃から適度な距離感を保ち、ひとりでも過ごせるように心がけましょう。また、これらの生活をしているのにも関わらず急に鳴く頻度が多くなったり、鳴き方に変化が見られる場合は怪我や病気を疑うことも大切です。

猫は全身が被毛に覆われているため、小さな傷には気がつきにくいものです。触れて痛がる場所があるときや、何をしても鳴き続けているときは動物病院で診てもらうようにしてください。

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