猫がふみふみしながらのどをゴロゴロ鳴らす理由
子猫がふみふみする姿は、よくマッサージに例えられますよね。正式には「ニーディング」や「ミルクトレッド」といい、母猫のおっぱいのまわりを刺激して、母乳を出やすくする行動です。
この行動の名残として、毛布や飼い主さんのお腹をふみふみしながら、嬉しそうにゴロゴロ鳴らしているのです。最高の愛情表現なので、飼い主さんはたくさん応えてあげましょう。
また、それ以外にもいくつか理由があります。ここでは3つ紹介します。
安心して相手に甘えようとしている
大好きな飼い主さんが近くにいて、落ち着ける雰囲気のときにふみふみします。飼い主さんを母猫と重ね合わせているのかもしれません。
また、耳を澄ますとゴロゴロも聞こえてくるはずです。猫からの親愛の証ですので、思いっきり甘えさせてあげましょう。
とろんとした目でのんびりふみふみしたり、真剣な顔で一生懸命ふみふみしたり、いろいろな猫がいます。ご家庭の猫がどんな表情をしているか、こっそり観察してみてはいかがでしょうか。
リラックスして居心地の良い寝床を整えている
お気に入りの毛布やブランケットにふみふみしている場合は、安心して眠れる環境が整っている証拠です。寝る前のルーティンにしている猫もいるので、静かに見守ってあげましょう。
飼い主さんにふみふみしたり、甘えたりしているなら「一緒に寝よう」と誘っているのかもしれません。満足いくまで一緒にいてあげてください。
空腹を感じてごはんの催促をしている
母猫が子猫に母乳をあげるとき、ゴロゴロと鳴らしているのをご存じですか?
これは生まれたばかりの子猫に自分の居場所を伝えるためのもので、子猫がおっぱいを探せるのはこの鳴き声のおかげなのです。
また、それに応えるように子猫は「お腹すいたよ」「満足だよ」という意味合いで、ゴロゴロと鳴らすようになります。
もし飼い主さんのまわりでゴロゴロ鳴らしているなら、お腹がすいたり、何かおねだりしたいのかもしれません。よく観察して要望に応えてあげましょう。
猫のふみふみする仕草が現れやすい年齢
猫のふみふみは2〜3歳頃までと言われています。とはいえ、全くしない猫もいれば、ずっとやり続ける猫がいるのも事実です。いつまでもやめないからといって、心配する必要はありません。体調に異常がなければ好きなだけふみふみさせてあげましょう。
ここではふみふみする仕草が現れやすい年齢について3つ紹介します。
母猫に甘えたい盛りの子猫
子猫は、母猫のおっぱいを前足でふみふみしながら母乳を飲みます。
もし生後3ヶ月に満たない子猫であれば、母猫に甘えたい盛りです。柔らかい毛布やブランケットを用意して、母猫との幸せな時間を想い出させてあげましょう。
性成熟期を迎えたオス猫
ふみふみする仕草には、甘えやリラックスとは別の意味を持つ場合があります。
それは発情期です。一般に、生後6ヶ月〜12ヶ月頃におこるもので、オス猫が毛布を噛んでうなり声をあげながら、ふみふみする行動をとります。
これはマウンティングという行動で、毛布をメス猫に見立てて交尾の練習をしているのです。ほとんどの場合は去勢手術をすればやめさせることができます。
ただ、マウンティングは交尾以外にも見られ、自分の優位性を示すために行う場合もあります。特に同居猫がいる場合に多く、あまりにもヒートアップしているようであれば、飼い主さんは仲裁に入ってあげましょう。
子猫気分が抜けない時は成猫になってもよく行う
生後3ヶ月より早くに母猫から離された猫は、成猫になってもふみふみする傾向にあります。
家猫の場合は、飼い主さんが母猫の代わりです。1日中近くにいてくれて、甘えたいときに甘えられる。そんな状況で暮らす猫は、成猫になっても子猫気分が抜けず、ふみふみしてしまうのです。
猫がふみふみしながらのどをゴロゴロ鳴らす時の注意点
猫がふみふみしながらのどをゴロゴロ鳴らすのは、機嫌がいいときだけではありません。ストレスや不安を飼い主さんに伝えたい場合もあります。
猫が何を訴えたいのか日頃からよく観察して、ふみふみゴロゴロの意味を理解してあげましょう。
ストレスや体調不良による仕草でないか確認する
猫は強いストレスがあるときや、苦しみ、恐怖、痛みなどを感じている場合にもゴロゴロと鳴らします。
これはストレスから解放されたい、自分を落ち着かせたいという気持ちの表れで、嬉しい時のゴロゴロより低音であるのが特徴です。
猫は自分の体調不良を悟られないようにするため、気付くのが遅れるかもしれません。いつもの様子と違うと感じたら、早めに動物病院を受診しましょう。
布を吸ってかじる仕草が見られた時は止めさせる
ふみふみしながらゴロゴロ鳴らすだけなら、止める必要はありません。しかし、布をかじったり、噛みちぎったりする場合はやめさせるべきです。
その理由は、ウールサッキングという常同障害の可能性があるからです。
ウールサッキングは、子猫の頃に母猫と一緒にいられなかったり、母猫の愛情を満足に受けられなかったなど、甘えることに執着している猫に多いのが特徴です。
布を吸うこと自体は問題ないのですが、噛みちぎった布を飲み込んでしまうと、消化管に詰まり手術が必要になります。
ウールサッキングの症状が見られる場合はやめさせるようにして、それ以外の場合でも、お気に入りの毛布にほつれが出始めたら交換してあげると良いでしょう。
ただし、新しいものに急に替えると、ふみふみしなくなる恐れがあるので、今までのものと併用して、徐々に移行するようにしましょう。
猫がのどをゴロゴロ鳴らしてふみふみしなくなっても大丈夫?
子猫の頃は、のどをゴロゴロ鳴らしてふみふみしていたのに、急にしなくなったら心配になりますよね。
ここでは、どんなときにふみふみゴロゴロしなくなるのかを3つ紹介します。注意が必要な場合もあるので、猫の行動をよく観察するようにしましょう。
子猫が成長して親離れする時期なら問題なし
ふみふみゴロゴロは、子猫が母乳を飲むときの名残でおこる行動です。
親猫の愛情をたくさん受けて、その後しっかりと親離れ、乳離れができていれば、ふみふみしなくなっても問題ありません。
ふみふみをしたい対象物がないだけの可能性もある
ふみふみは、相手とのコミュニケーション手段として行うことが多いですが、手触りやふみ心地が気に入っただけの場合もあります。
お気に入りの素材がなければ、ふみふみは行いません。母猫を想い出せる柔らかいものを与えてみてはいかがでしょうか。
環境の変化があり神経質になっている時は対処が必要
猫は環境の変化に敏感で、ストレスを感じやすい動物です。
例えば、引っ越しで生活環境が変わった場合です。お気に入りの窓辺、お気に入りの家具が急になくなったら、動揺してしまいますよね。
そんなときは、使い慣れた食器やトイレ、毛布、おもちゃなどを用意して、猫が自分のペースで慣れるまで気長に待ちましょう。リラックスできる場所が見つかれば、またふみふみゴロゴロしてくれるはずです。
他にも、新しい猫が入ってきた場合にも強いストレスを感じます。
猫は縄張り意識が強い動物です。新しく入ってきた猫をライバルと判断すれば、追い払おうとするでしょう。時間とともにお互いを認め合い、仲良くなる場合もあります。
もしいつまでもケンカや威嚇が続くようであれば、部屋を分けたり、一階と二階で別々に生活させたりと、できる限り接触させないよう心がけましょう。
まとめ
この記事では、猫がふみふみしながらゴロゴロ言う理由についてご紹介しました。要点は以下の通りです。
<ふみふみしながらゴロゴロ言う理由>
- 飼い主さんに甘えたい
- 安心できる環境が整っていて嬉しい
- ごはんの催促やおねだりをしている
<ふみふみする仕草が現れやすい年齢>
- 母猫に甘えたい盛りの子猫
- 性成熟期を迎えたオス猫
- 2〜3歳でやめることが多いが、やめなくても大丈夫
<ふみふみしながらゴロゴロ言う注意点>
- ストレスや体調不良が原因でないかよく観察する
- 布を噛みちぎる行動が見られたらやめさせる
- 生活環境の急激な変化に注意する
猫がふみふみしながらゴロゴロ言うのには、さまざまな理由があることが分かりました。嬉しいとき、不安なとき、一番近くにいるのは飼い主さんです。嬉しいときはたくさん甘えさせてあげて、不安なときは側に寄り添ってあげましょう。