ゴロゴロ音のはじまり
よく鳴らす子もいれば全く鳴らさない子もいる
猫のゴロゴロ音には個性が出ますので、隣の部屋にまで聞こえるくらい大きな音でゴロゴロする子もいれば、ほとんど喉を鳴らさない子もいます。正確には喉を鳴らしているわけではなく、ゴロゴロ音が出ている仕組みはいまだに判明していないのは猫ミステリーの1つです。
最初は母猫と子猫のコミュニケーションツールとして
猫のゴロゴロ音は、もともと母猫と子猫のコミュニケーションツールです。産まれたての子猫はまだ目が見えていないので、母猫は授乳する時に喉を鳴らすことで子猫に安心感を与えます。
そして、子猫は生後3、4日を過ぎると母猫のゴロゴロ音に共鳴するように喉を鳴らせるようになります。子猫は喉を鳴らすことで母猫に「ちゃんとおっぱい飲めてるから大丈夫だよ」ということを伝えます。
1. 甘えたい
子猫時代の名残り
ゴロゴロ音は子猫の頃だけのものではなく、成猫になっても喉を鳴らします。猫は子猫の行動を成猫になってからも見せることが多くあります。甘えたい気持ちの時に前足でフミフミしたり、嬉しい時にしっぽをピーンと立てたりするのと同じように、喉を鳴らすのも子猫の頃の名残りです。
飼い猫は子猫気分を残しやすい
猫は生後3ヵ月ほどで徐々に母親離れをして自立します。しかし、飼い猫の場合は飼い主さんと共に生きていきますので、完全な野良猫ちゃんと比べると子猫気分が抜けにくい環境にいます。そして、飼い猫は多くの場合に避妊去勢手術を受けるということも、成猫になった後も子猫気分が抜けない要因になります。
2. 満足してるよ
これも子猫時代の名残り
なでられた時やごはんを食べた後などにゴロゴロと喉を鳴らす時は「満足」「快適」などの気持ちの表われです。これも子猫時代に起因しているのですが、子猫は喉を鳴らすことで母猫に「ちゃんとおっぱいを飲めているよ」ということを伝えます。
この名残として、飼い主さんに「満足しているよ」と伝えるために喉を鳴らすこともあります。なでられた時に喉が鳴り始める場合にも、飼い主さんに「気持ちが良いなぁ」「ごきげんだよ」ということを伝えているのでしょう。
猫は人間にも猫流のコミュニケーションを取る
猫は相手が猫であってもそうでなくても、種別を区別せずに猫同士と同じコミュニケーション方法で接します。また、猫は自分のお世話をして愛情を注いでくれる飼い主さんのことを母猫のような存在として認識していることも多いため、ついつい子猫気分で喉をゴロゴロ鳴らしてしまうのかもしれません。
3. 不安だな
「甘えたい」「満足」などのポジティブな場面だけでなく、何かに恐怖を感じていたり体調不良の時などの「不安を感じている時」にも喉を鳴らします。不安を感じて喉を鳴らすことには2つの理由があると考えられています。
自分自身を安心させるため
子猫は母猫のゴロゴロ音を聴くことで安心感を抱きます。このことから、自分で喉を鳴らしてゴロゴロ音を聴くことによって安心感を感じ、不安感を紛らわそうとしていることが考えられます。
自己回復力を上げるため
猫のゴロゴロ音の周波数は20~50ヘルツです。この周波数には骨密度を上げる効果や、副交感神経を優位にして身体の緊張をほぐす効果があることが判明しています。
フランスでは猫のゴロゴロ音を聴いてリラックスする方法の本が出版されているほどです。猫は自分で鳴らしたゴロゴロ音を聴くことによって体調不良の身体を癒しているのではないか、という考えもあります。
まとめ
今日のねこちゃんより:ミーコ♀ / 4歳 / キジトラ / 2.8kg
愛猫のゴロゴロ音を聴くと、何とも言えない幸福感が湧いてきますよね。しかし、猫は「甘えたい」「満足」などのポジティブな気持ちの時だけでなく、恐怖や体調不良などによって不安を感じている時にも喉を鳴らすことがあることを知っておく必要があります。
猫ちゃんがゴロゴロ音を出していたとしても、元気や食欲がないなどの異変がある時には要注意です。ゴロゴロ音はもともと母猫と子猫のコミュニケーションツールであり、お互いに「安心感」と「満足」を伝えるためのものです。
それが転じて、自分自身を癒すために鳴らしていることもあるというのは興味深いですね。