国内初!人工授精で生まれた「ツシマヤマネコ」が福岡市動物園に来園│再来年以降の繁殖を目指す

国内初の人工授精で生まれたツシマヤマネコ

今年3月に国内初の人工授精により誕生したメスのツシマヤマネコ「ひい」が、先月11月25日、福岡市動物園にやってきました。

ツシマヤマネコは現在絶滅が危惧され、国内の生息数は推定100頭弱とされています。ひいは、今年国内で生まれた貴重な4頭のうちの1頭です。

環境省と公益社団法人日本動物園水族館協会は「生物多様性保全の推進に関する基本協定」を締結しており、この協定に基づいて、現在全国9施設がツシマヤマネコの飼育下繁殖に取り組んでいます。

今回の転園もこの取り組みの一環で、ツシマヤマネコの仔猫を他の個体に慣れさせることが目的とのこと。

ひいは10月によこはま動物園ズーラシアから名古屋市の東山動植物園に転園し、さらに今度は福岡市動物園に移動となりました。

また、ひいと同時期に生まれた「アカツキ」というオスのツシマヤマネコも東山動物園から福岡市動物園に移動となり、ひいと共同生活を送ります。この2頭はいずれも非公開で飼育される予定です。

ひいをはじめとする4頭の仔猫はまだ若いため、いずれも再来年以降の繁殖を目指します。

道路建設や交通事故死などで個体数が激減

ツシマヤマネコはもともと対馬地方にのみ生息する猫種で、国の天然記念物であり国内希少野生動物種にも指定されています。

体全体に斑点模様があり太くて長い尻尾を持ちますが、大きさはイエネコとほぼ同じです。

河川の改修や道路建設などで住む場所が限定されるとともに、交通事故死などが増加したことにより個体数が激減したとみられます。

このため、個体数の回復に向けて今後の飼育下繁殖には大きな期待がかかります。いつか野生のツシマヤマネコをたくさん見られる日が来るとよいですね。