ハイキング中に飼い主とはぐれてしまった飼い猫
2021年10月、カナダのジャスパー国立公園を7週間もさまよっていた猫のドラコが無事保護されました。
カナダのエドモントンに住むアリックス・ジェナ・リゼールさんとジャン・フランソワ・リゼールさん夫婦、さらに愛猫「ドラコ」と「シリウス・ブラック」にとってジャスパー国立公園は特別な場所でした。
彼らのお気に入りはバレー・オブ・ザ・ファイブ・レイクスのハイキング道です。
シリウスはバックパックに入ったまま景色を眺めるのが好きなのに対し、ドラコは険しい道を歩くのが大好きでした。
しかし2021年8月19日、飼い主が最も恐れていたことが現実となります。
別のハイカーを見て怖くなり逃走
幅の狭いハイキング道を歩いていた時、頭の上にカヌーを担いで前方から歩いくるハイカーを見て怖くなったドラコは、一瞬にしてリードをつないでいたハーネスから抜け出し、山の中へ消えて行ってしまったのです。
リゼールさん夫婦は以降懸命にドラコの捜索を行い、張り紙を張ったり1,000ドル(約115,000円)もの褒賞金を提示したりもしました。
時おりハイカーからドラコの目撃情報が届き、その度に夫婦はジャスパー国立公園へ戻って捜してみましたが収穫はありませんでした。
数週間の間ボランティア住民による公園内の捜索が行われるうちに、やがて木々の葉が色づいて気温が低下。山の頂上にはうっすらと雪が積もり始めます。
ドラコはリードなしで外へ出たことがありませんでしたが、飼い主はドラコが山の中で狩りを楽しみ過ぎているのではないかと心配していました。
ドラコは雪が好きなため、気温が下がっても帰りたがらないかもしれません。
おやつを仕掛けたトラップによりようやく保護された迷い猫
キツネやコヨーテ、クマやオオカミなど危険な動物が多く生息する山。その中で49日間も過ごしたのち、ドラコはおやつを仕掛けたトラップによりようやく捕獲され飼い主の元へ戻ることができました。
ドラコの捜索に加わった地元住民のひとり、オウェイン・トーマスさんがメディアに語ったところによると、彼はドラコを捜してトラップを仕掛けたりするのに300kmもの距離を歩き回ったそうです。
毎日何かしら手掛かりを見つけたり姿を目撃したりしていたため、「いつかは保護できるはず」と粘り強くドラコを捜索しました。
国立公園管理者が捕獲トラップ設置を特別に許可
また、動物用トラップを仕掛けるのは国立公園では違法ですが、今回は国立公園の政府管理機関であるパークスカナダもトラップの設置を許可しました。
トーマスさんらは大富豪でもない飼い主夫婦から褒賞金をもらうのは間違っている気がする、として褒賞金を辞退しています。
アリックスさんはドラコがいないのはとても寂しかったものの、ジャスパーの住民が捜索に協力してくれる姿を見て改めて人間への信頼に目覚めたそうです。
一方、獣医の診察を受けたドラコは何の異常もないことが確認されました。おそらくネズミなどを食べて生き延びていた可能性が高いとのこと。
現在、都会の自宅へ戻ったドラコは飼い主に思い切り甘えて過ごしています。