鄧小平の白猫黒猫論
鄧小平の白猫黒猫論(しろねこくろねころん)というのを、聞いたことはあるでしょうか。
白猫黒猫論。 これは、1904年~1997年まで実在した中国の政治家である、鄧小平(とう しょうへい)によるとても有名な持論です。
鄧小平は「黄色の猫(社会主義の人)や、黒い猫(資本主義の人)といった違いにおいては何も気にしない。それよりも大事なのは、ねずみが獲れたかどうか(国の経済面を成功に導いているかどうか)という点だ」という意味で、鄧小平はこのような意見を述べたのではないかと推測されています。
鄧小平は猫やねずみといった可愛らしいものをモチーフを使用した例え話ですが、そこに込められている意味はとても深いことが分かりますね。
ここからは鄧小平の白猫黒猫論について詳しくご紹介させて頂きます。
鄧小平とは
鄧小平(とう しょうへい)
由未知 - 本影像可以从美国国家档案和记录管理局获得,已经编入ARC识别码(国家档案识别码)183157。,公有领域,链接
鄧小平の白猫黒猫論には「黒猫」や「白猫」という言葉が入っていることから分かる通り、これは猫をたとえに使った 鄧小平の持論になっています。
鄧小平がこの持論を持ち出すきっかけになったお話から、まず紹介していきましょう。
鄧小平の白猫黒猫論が生まれた経緯
当時、中国の最高指導者であった毛沢東(もう たくとう)は、部下である劉少奇(りゅう しょうき)と周恩来(しゅう おんらい)に、
「猫に唐辛子を食べさせるには、どうすべきだと思う?」
ご存じの方も多いように、猫は唐辛子のような辛い食べ物はとても苦手な生き物です。
そもそも、人間用に味付けされたごく普通の食事ですら、猫にとっては「味が濃すぎる」と感じるため、唐辛子のような物は猫にとって、とんでもなく嫌な物なのです。
質問の本質
この質問は例え話であって、実際に猫に唐辛子を食べさせる方法を論じていたわけではありません。
どのようにしたら、共産主義を嫌っている資本主義者の人たちに、共産主義を受け入れてもらえるか?という質問を、猫と唐辛子に置き換えた質問でした。
劉少奇の意見
そのことを踏まえた上で、劉少奇はこのように答えます。
「猫を無理やり押さえつけて、口を開かせ、唐辛子を口の中に放りこめばよい」と。
すると毛沢東は、「力ずくで相手を強制するのは良くない」と答え、劉少奇の意見を却下しました。
次に、周恩来はこのような意見を出しました。
周恩来の意見
「3日間ずっと猫に餌をやらない状態にしておき、その上で唐辛子を肉の中にそっと包み込み、食べさせればよい」と。
しかし、毛沢東は「時間をかけて、相手をだますのはペテンだ」と答え、周恩来の意見も却下したのです。
そして毛沢東は、
「自分だったら、猫の尻に唐辛子をつけておく。そうしたら、猫はヒリヒリした感触が気になって、思わず自分からお尻の唐辛子を舐めるだろう」
と言いました。
劉少奇と周恩来が提案した方法は、嫌々食べさせたり、騙して食べさせたりするものでしたが、毛沢東の提案した方法は、自発的なものだったのです。
この意見を聞いた劉少奇と周恩来は、非常に感心し、納得をしたそうです。
ここでようやく、今回の本題である鄧小平の白猫黒猫論が出てきます。
鄧小平の意見
上記のエピソードを後から聞いた鄧小平は、結局3人とも猫に唐辛子を食べさせたのだからいいではないかと思ったそうです。そしてそれを鄧小平は「黄色い猫も黒い猫も、ねずみを獲るのはいい猫だ」という言葉で表現しました。
この鄧小平の言葉は、たちまち有名になり、現在でも多くの人が知る言葉として語り継がれています。
鄧小平の黄色い猫
鄧小平の「白猫黒猫論」という名前でこのエピソードは広まっていますが、当時、鄧小平がたとえに使ったのは、黄色い猫と黒い猫だったそうです。
鄧小平は、いかにして生産力を増大するかという考えを第一にして政治を行っていた人物であり、この言葉からも鄧小平の考えが表れています。
まとめ
人によって価値観や考えは異なるものです。
しかし「価値観や考えはどうであれ、成功に導くことができたのならそれが一番良い」という発想は、鄧小平の白猫黒猫論のように、社会問題ではなくても、毎日の生活や仕事においても使える考え方ですね。
鄧小平の「白猫黒猫論」は、そんなちょっとしたアイデアを与えてくれるヒントの言葉ではないでしょうか。