猫の口元にある膨らみ「ω」の名前は?
猫をイラストであらわすときに「ω」の形がよく使われていますよね。あのぷっくりとした、なんともいえないかわいさがある猫の口元部分の「ω」に正式な名前がついていることをご存知でしょうか?
今回のは「ω」正式名称と、よく呼ばれる名前、マズルとの違いについてもご紹介します。
正式名称は「ウィスカーパッド」
猫の鼻下にある左右に向かってひげが生えているぷっくりしている場所「ω」の正式名称は、ウィスカーパッド(Whisker Pad)と呼ばれ、「ウィスカー(ねずみや猫の頬ひげ)」「パッド(詰め物や枕)」で、ひげが集まる場所を意味しています。
ひげが生えている根っこの部分は、ぽつぽつと毛穴がみえて、猫の顔の中心にあるとても魅力的なパーツです。個体によって、ふくらみの形や模様もさまざま。そっくりな兄弟猫でも、ウィスカーパッドの柄で見分けがつけられるかもしれません。
「ω」にはいろいろな呼び方がある
猫好きの間はウィスカーパッドではなく、「ω(オメガ)」「ひげ袋」「ふぐふぐ」「鼻タブ」「ひげだまり」など、ぷっくり丸い部分の特徴をうまくとらえた呼び方が多く使われています。
やはり、猫が好きな人がつけただけあって、ふんわりとした感じがよく出ているかわいい名前がたくさんありますね。中でも「ふぐふぐ」は、猫を飼っている人の間では一般的といえるほど有名な名前です。
ウィスカーパッドとマズルの違いは?
「マズル」も猫の特徴的でかわいいパーツなので、よく耳にするのではないでしょうか。実は、ウィスカーパッドとマズルは同じ意味で使われることが多いのです。
マズルとは、猫の鼻からあごにかけての部分と、口の周り全体のことを指します。人間でいえば、マスクをしたときに隠れる部分と同じですね。ふくらんだヒゲが生えている部分である「ウィスカーパッド」はマズルの一部です。
マズルの特徴
猫のマズルは部分的に呼び方が違い、ウィスカーパッド以外の部分の名前をご紹介します。
ノーズレザー
猫の鼻にある毛のない部分。色は猫によって異なり、ほとんどがピンク色ですが、茶色や黒色の猫もいます。湿り具合で、体調や眠いときなどの変化がわかる部分です。
ウィスカーブレイク
猫の頬とウィスカーパッドの境目にあるくぼみのことです。長毛種の猫は、顔の毛が長くてふわふわしているので、ちょっとわかりにくい場所ですね。こんなところにまで名前がついているのは驚きです。
猫の口元にあるウィスカーパッドの役割
ウィスカーパッドは、猫が生活するために欠かせない働きをしています。ひげが前後に動くことや、顔の幅よりも長く生えているのには意味があるのです。
そんなかわいいだけではない、ウィスカーパッドの機能的な役割と構造についてご紹介します。
ひげと連動して感覚を検知するセンサー
ひげ1本1本の根元に神経と血管が集中した袋があり、ひげが受けとった小さな振動を検知することができます。そのため、歩くときに通る幅が十分かどうかを判断し、バランス感覚を保つのに役立っています。
さらに、猫の弱い視力をヒゲのセンサーが補い、近くのものを感知することで、暗いところでも歩けるようにしています。夜行性の猫にとって、これはとても重要な役割なのです。
また、ヒゲは空気の小さな変化を感知するのにも使われます。空中から獲物や敵の動きを感じ取ることができるので、狩りをする猫にとってヒゲはなくてはならないものなのです。
ウィスカーパッドが膨らむことで感情をひげで表現している
猫のウィスカーパッドが膨らんだり緩んだり、さまざまな動きをするため、猫の感情に応じてひげの向きが変わります。
前方を向いているとき
興奮している、または緊張している 猫は獲物を見ると興奮し、ヒゲを前に向けます。猫が警戒して獲物との距離を測っているとき、緊張して動かない状態のときも同じように前を向きます。
窓から鳥を見たとき「カッカッカッ」と鳴いているときなど、ひげを確認すると前方を向いているのが確認できるかもしれません。
後方を向いているとき
猫が怖がっているときなどは、耳を伏せて低姿勢になっていますよね。この時のひげは顔にそって後方を向いています。他にも、大きな音などに驚いた時なども後方を向いています。こんな様子をみたら撫でたり抱っこするなど猫を安心させてあげましょう。
上に向いているとき
褒められた時や、うれしい時などは、ひげがぐっと上を向いてV字のように上を向きます。
また、かまって欲しくてしっぽを立てながら近づいてくるなど、甘えたい時も同じようにひげは上を向いています。そのとき猫は機嫌が良いので、たくさん遊んであげてください。
下に向いているとき
危険がなく無防備な状態の時、ひげは下に向いています。お腹を出してゴロゴロしていたり、「眠いなぁ…」とぼんやりしていたりすることもあります。退屈な時もひげが下に向いているので、猫の機嫌を損ねない程度に、おもちゃで気を引いてあげるといいかもしれませんね。
猫のひげを1本1本しっかりと支えている
ウィスカーパッドは、猫のひげの1本1本を支える土台のような役割を担っています。触るとやわらかく感じますが、太いひげを支えるために皮膚は厚く、ほとんどが筋肉で脂肪はありません。
猫のひげは、感情を表現したり、周りの距離を感じたり、空気を感じたりするのにとても大切なものです。
そのため、ひげを切ったり抜いたりしてはいけません。猫にとって平衡感覚が乱れて歩きにくくなるし、感知センサーが弱くなれば敵を察知できなくなるので危険です。
また、非常に繊細なヒゲを引っ張ると、神経や血液が集中している根元の敏感な部分や、ヒゲを支えている厚い皮膚も傷つけてしまいます。
猫に過度なストレスを与えることになるので、ひげやウィスカーパッド周りは優しく扱いましょう。
まとめ
猫のウィスカーパッドは、ぷっくりとした可愛らしさだけでなく、重要な役割があるので、優しく扱うように心がけたいですね。
ウィスカーパッドが支えているひげは、とても敏感と言われていますが熱さを感知することができません。
ストーブなどの熱で焦がしてしまったり、火傷をしてしまったりする危険性があるので、寒い冬場の暖房周りは柵を設けるなど、猫が近づけないように気を付けましょう。
床にヒゲが落ちていることがありますが、自然な抜け毛ですのでご安心ください。なかなか手に入らないレアアイテムで、コレクションしている人もいるくらいです。
ヒゲ専用のケースも販売されているので、捨てるのをためらっている方は集めてみてはいかがでしょうか。今回のウィスカーパッドのご紹介が少しでも役立てれば幸いです。