猫の育児放棄
まず、育児放棄とはネグレクトとも呼ばれ、自分の子に対し正しい養育を行わない事を言います。人間の育児放棄の例をあげると、
- 食事や水分を与えない
- お風呂に入れない
- おむつや着替えをさせない
等、親がするべき世話をしない事を育児放棄、又はネグレクトと呼びます。また、このほかにも、急用や、やむを得ない場合を除いて、娯楽のために幼い子だけを残し外出する場合や、泣いている子を放置する等も育児放棄だと言われる場合があります。
これは人間だけに起こるものでは無く、子を授かるすべての動物に起こり得る事ですから、もちろん猫にも育児放棄は存在します。猫の場合も、母猫が
- 授乳しない
- 子猫の毛繕いをしない
- 排せつを促す事をしない
- 抱いて暖める事をしない
等、母猫がしてあげるべきお世話をしない事があります。これを猫の育児放棄と言います。
猫が育児放棄する原因
では、猫が育児放棄してしまう原因ですが、主に
- 初めての出産
- 完全室内飼い
- 子猫が不健康
- 人間のニオイが付いた
等の理由が考えられます。
初めての出産の場合、産んだもののお世話の仕方がわからず育児放棄をしてしまうケースがあります。そして完全室内飼いの場合、飼い主が一度手助けをしてしまった事により、母猫が飼い主に育児を任せっきりになってしまう事も。
そして一番多い原因と言われているのが子猫が不健康の場合です。昔から猫は健康そうな子猫のお世話を優先すると言われている為、小さすぎる子猫や明らかに病気だという事がわかっている子猫は、育児放棄してしまう事も。
ひどいと思われがちですが、猫は昔の名残で単独行動をする習性がある為、将来一人で生きていかなければいけない事を母親はよくわかっています。ですから一人で生きていけないだろうと思う子猫に対して、このような行動をとるのでしょう。病気で生まれた子猫をすぐに食べてしまう猫もいると聞いた事がありますが、その理由も同じだと言われています。
そして室内飼いの場合、特に注意しなければいけない事は、人間のニオイが付いてしまわないようにする事です。猫によっては人間のニオイがついた事により自分の子だと言う認識が薄れ、育児放棄してしまう可能性もあるそうです。
猫が育児放棄してしまった場合
もちろん生まれたばかりの子猫は母親の力無しでは生きていけません。その為、母猫の育児放棄に気が付いたら、人間が手助けをしてあげる事が必要になってきます。
やはり子猫にとって一番良いのは、母猫にしっかりと育児をしてもらう事。そこで、母猫が落ち着いて育児を出来る様に、暗くてひと気の少ない場所に段ボールとタオルケット等を用意して、落ち着いて子育てが出来る場所を作ってあげましょう。
母猫が横になっている時に子猫をお腹に乗せてみると、見事に育児を再開してくれたという嬉しいお話もある反面、母猫が本気で怒り、子猫を噛み殺してしまうなんて恐ろしい事件も。ですから育児放棄された子猫を母猫に近づける際には、母猫の状態をよく観察し行ってくださいね。
母猫に安心して子育てが出来る場所を用意したり、子猫を近づけてみたりしても改善されない場合は、代わりに私たち人間が世話をしてあげなければいけません。離乳期前の子猫の場合、一人では何も出来ません。ですから、授乳や排せつの促し、体温管理等、母猫が本来すべきことをすべて代わりにしてあげる必要があるのです。
猫の育児放棄を助けよう
私たち人間が助けてあげる必要があるのは、上にも書いた通り
- 授乳
- 排せつの促し
- 体温管理
大きく言うとこの3つになります。
子猫用のミルクを哺乳瓶やスポイトで与えましょう。人間用の牛乳を与えるのは子猫に必要な栄養が入っていない事、お腹を下してしまう可能性がある事からNGとされています。
又、生まれたばかりの子猫は自らの力で排せつする事ができません。従って、母猫が陰部を舐める事で刺激し排せつを促すのですが、母猫がそれをしない場合は、ぬるま湯で濡らしたガーゼ等やコットン等の柔らかい物で、トントンと軽く子猫の陰部を刺激してあげましょう。
生まれたばかりの子猫は体調管理も出来ないので、母猫が抱いて暖めるのですが育児放棄されてしまった場合、母猫に暖めてもらえずに体温が下がり死亡してしまう事があります。そこで子猫をタオル等で包み暖めてあげる必要があります。
寒い冬には湯たんぽやカイロをうまく使用し、しっかりと子猫の体温管理をしてあげる必要があります。
まとめ
出来れば母猫に子育てをしてもらうのが一番なのですが、猫も様々な理由で育児放棄をしてしまいますので、これといった原因もはっきりとわかりません。
生まれたての子猫を人間が触る事によって、母猫が嫌がり育児放棄してしまうケースも少なくはないそうなので、生まれたばかりの子猫を触る事は絶対にやめましょう。子猫の事は母猫に任せるのが良いですね。
もしも猫の育児放棄に気が付いた時には、信頼できる獣医さんに相談し、適切な世話の仕方を聞く事が一番だと言えます。育児放棄されてしまった子猫を助けられるのは、私たち人間だけなのです。