猫も夏バテする!
高温多湿が特徴の日本の夏は、年々暑さが増して35℃を超える日も多くなり、人間でも体調管理が大変な中、動物たちも過酷さを感じています。もともと砂漠の乾燥地帯に住んでいた猫は、比較的に暑さに強いと言われますが、全身毛で覆われているため、猛暑の中での体調管理には注意が必要です。
夏場にご飯を食べない、元気がないなど症状を見せたら夏バテかもしれません。「夏バテくらいなら放っておいても大丈夫だろう」と軽く考えていると、別の病気にかかってしまう可能性もあります。
日ごろから体調の変化をしっかり観察しましょう。また、夏バテの症状が見られたら、悪化させないためにも動物病院に相談しましょう。
猫が夏バテした時に見られる症状
猫は、自分の体調の悪さを周囲に悟られないようにする習性があります。飼い主さんでも体調の変化に気づかずに発見が遅れてしまう場合があります。夏バテした時に見られる症状を事前に確認しサインを見逃さないよう、愛猫の様子を普段から注意して観察することが大切です。
食欲がなく痩せる
猫は体温の上昇を防ぐために暑い時期は食事の量が減ることがあります。ただし、あまりにも食べない場合は、夏バテの可能性があります。いつも喜んでくれるご飯も全然食べない、涼しい場所でじっとして動かないなどが続く場合は動物病院を受診しましょう。
吐く
猫は吐くことが多い動物ですが、夏場に食べていないのに嘔吐した場合は、胃腸が弱まっている可能性があります。症状が悪化すると、血便を引き起こすこともあるので、すぐに動物病院を受診しましょう。
下痢をする
食べなかったり、水を飲まなかったりすると下痢を起こし、長引くと脱水状態になってしまい危険です。また、下痢は他の病気の可能性もあるので軽く考えずに獣医に相談しましょう。
トイレの回数が少ない
猫はもともと水をあまり飲みませんが、夏バテで体力が低下している時に水を飲まないと脱水症状を起こしてしまうことで、トイレの回数が少なくなります。
毛づくろいの回数が減る
猫は一日に何度も毛づくろいをすることで、体を清潔な状態に保ち、気化熱を起こして体温を下げています。夏バテになると体に熱がこもってしまい、唾液の分泌量が減ることで毛づくろいができなくなってしまいます。
ぐったりしている
夏バテになると食欲不振になり体力が落ちてしまいます。寝てばかりいる、遊ばない、疲れたようにしているなど、ぐったりしている場合は注意が必要です。
夏バテではなく熱中症の可能性も
夏バテは、高温多湿の状態が続くことで体調不良になり、症状は数日から数週間かけて現れます。一方、熱中症は、気温が急激に上昇したことで体温が上がってしまい、体温調整ができなくなり短時間で症状が現れます。
軽度の熱中症
口を開けてハアハアと息が荒い場合は、軽度の熱中症の可能性があります。猫は基本的に鼻で呼吸をするので、口呼吸をしている時は要注意です。体温が39℃以上ある、よだれを垂らす、落ち着きがない、粘膜の充血、心拍数の増加など、いつもと様子が少しでも違う場合は、早急に動物病院に相談しましょう。
中度の熱中症
症状が進むと嘔吐、下痢、歩行困難、、脱力、40℃以上の発熱などの症状が現れます。
重度の熱中症
重度になると、発作、意識不明、痙攣などの症状に陥ります。命に関わるので、大至急動物病院へ連れて行きましょう。ショック症状を防ぐために、輸液や点滴などの治療が行われます。
猫の夏バテ対策と予防法
猫は「気温の上昇によって体温調整ができなくなる」「温度差が激しくて体がついていけない」などの原因により夏バテを起こしてしまいます。では、猫の夏バテを防ぐには、どんなことに注意すれば良いのでしょうか。夏バテ対策として、日ごろからできることを紹介します。
快適な室内環境をつくる
猫にとって快適な温度は26~30℃位と、人間にとってはやや高めです。室温が25℃前後で湿度も高くなく風通しが良いなどの場合は、エアコンなどの冷房器具を使わなくても良いですが、30℃以上になる場合は注意が必要です。
直射日光が当たると温度や湿度が上昇しやすくなるので、遮光カーテンやブラインドを閉めることで、1~2℃温度を下げることができます。また、猫のいる部屋は閉め切らずに、自由に歩き回れるようにしておきましょう。飼い主さんが家にいる時は、網戸にして新鮮な風を室内に入れることも大切です。ただし、脱走には十分気をつけてください。
ちなみに、猫は扇風機の風に当たっても涼しいと感じることがなく、扇風機の動きは興味をそそるおもちゃになってしまいます。体当たりしたり、よじ登ってケガをしてしまうことがあるので、扇風機の取り扱いには注意が必要です。
水をたくさん飲ませる
水分が不足すると夏バテになってしまいます。喉が渇いた時にすぐに水分補給できるように、水は一箇所だけでなく、色々な場所に設置しておきましょう。日当たりが良いなど気温が高い場所に水を置くと腐りやすくなるため、設置場所には注意が必要です。また、お水はこまめに取り替えたり、循環式給水器を利用するなど、いつでも新鮮な水が飲めるようにするのも大切です。
トレーの上に凍らせたペットボトルを置いておくと、表面に付いた水滴を舐めて水分補給できる場合もあります。また、氷をそのまま猫に舐めさせるのも有効です。夏場に氷で遊びながら水分が摂れるのでおすすめです。
食事から水分を補給する
水を飲まなくて困っている時は、普段の食事を工夫することで水分補給できます。ドライフードを与えている場合は、水を少し加えてふやかしたり、ウェットフードを混ぜることで食事から水分も補給できます。
ウェットフードの「CIAOちゅーる」は、猫が大好きなおやつとして知られていますが、水分が約90%も含まれているので水分補給にも役立ちます。夏の暑さで食欲がない時の栄養補給にもなるので、夏バテ気味の猫にピッタリです。
少量のまたたびを水に溶かす方法もおすすめです。またたびの香りを楽しみながら水分補給できます。また、ご飯を食べてくれない場合は、少量のまたたびをフードにかけることで、いつもと違う香りに誘われて食べてくれることもあります。
ブラッシングする
猫は厚い被毛で覆われており、冬に防寒性の高い毛が生え、5~6月頃に換毛期をむかえます。この時期にブラッシングで余計な毛を取り除くことで通気性が良くなり、暑さ対策につながります。
暑さ対策グッズを使う
猫は暑いと感じた時に、お腹を出してのびをすることがあります。この行動は、体にこもった熱を外に逃がすために行っているのです。暑さ対策グッズなどで体を冷やしてあげましょう。
冷感素材を使用したマットやブランケット、プレートなどが販売されているので、愛猫が使いやすそうなものを用意してあげましょう。
夏バテしやすい猫のタイプや種類
夏バテしやすい猫のタイプや種類を紹介します。
長毛種
長毛種の猫は毛が多く、短毛種に比べて暑さに弱いタイプが多いです。毛玉ができてしまうと通気性も悪くなるので、こまめにブラッシングを行いましょう。できれば朝晩2回が理想ですが、愛猫の様子を見ながら行いましょう。
鼻ぺちゃな短頭種
鼻がぺちゃっとつぶれている短頭種の猫は、鼻腔が狭いため熱が発散しにくく夏バテや熱中症になりやすいタイプです。
肥満体型
太っている猫は体内に熱がこもりやすいので、体温が上昇しやすくなります。
子猫やシニア猫
子猫やシニア猫は、健康な成猫に比べて肺の機能が弱く、体温調節がうまくできないため夏場に体調を崩しやすくなります。また、シニア猫は暑さを感じても水を飲んだり涼しい場所へ移動したりするのが面倒になり、そのまま夏バテしてしまうこともあります。
まとめ
体温調整が苦手な猫は、高温多湿な日本の夏に体調を崩しやすくなります。夏の暑い時期は、食事や水分補給、空調の管理などに注意することが大切です。夏バテや熱中症は軽く考えると大変危険です。少しでも異変を感じたら、できるだけ早く動物病院を受診して重症化を防ぎましょう。