いつも与えているフードは愛猫の年齢に適していますか?

いつも与えているフードは愛猫の年齢に適していますか?

飼い主さんからの相談で多いものが、「もうシニア用フードに変えた方がいいの?」、「まだ仔猫用フードを与えており切り替えた方がいいの?」といった、年齢に合ったフードの選び方です。それぞれカロリーや栄養素の含有量が違います。健康のために適切なフードを選び与える必要があります。

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記事の監修

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫のフードはどれを選べばいいの?

食べている4匹の猫

一般的にキャットフードとして売られているフードは、猫に必要な栄養素がすべて入っている「総合栄養食」といいます。
総合栄養食には成分表にが必ず記載されています。メインとして与えるフードを選ぶ際には、まずそのフードが総合栄養食と書かれているか確認をしてください。

猫の総合栄養食とは

栄養バランスのよいフード

毎日与える食餌としてつくられています。
猫ちゃんに必要な栄養素をすべて含んでおり、お水と一緒に与えるだけで健康を保てるよう、栄養バランスを調節しています。そのためフードが適している年齢(成長レベル)が記載されているものがほとんどです。
「幼猫・キトン・成長期」「成猫・アダルト・維持期」「高齢・シニア期」などです。

キャットフードには、総合栄養食の他に、以下のようにされているものもあります。

間食

ちゅーる系やササミなどいわゆる「オヤツ」のことを指します。嗜好性が高いためご褒美として与える場合が多いです。少量なら問題はありませんが頻繁に与え過ぎたり、一回に与える量が多過ぎたりすると、カロリーオーバーとなり肥満の原因になりますので、適量を守りましょう。

療法食

病気や症状に合わせて栄養素の量を調節、追加してつくられています。 例えば腎臓食の場合はタンパク質含有量を少なく調節しています。そのため自己判断で療法食に切り替えて与えてしまうと逆に体調不良の原因になってしまったり病気を悪化させてしまう事がありますので、療法食を与える際は必ず検査を受けたり、獣医師と相談する必要があります。

補足

他にも、「一般食」や「副食」などの表示を見かけることがあると思います。一般食や副食は、それだけでは不足する栄養素がありますので、メインで与える総合栄養食と共に与えてください。

木下 明紀子
獣医師
獣医師
木下 明紀子

東京農工大学農学部獣医学科卒業。その後、動物病院にて勤務。動物に囲まれて暮らしたい、という想いから獣医師になり、その想い通りに現在まで、5頭の犬、7匹の猫、10匹のフェレットの他、ハムスター、カメ、デグー、水生動物たちと暮らしてきました。動物を正しく飼って、動物も人もハッピーになるための力になりたいと思っています。そのために、病気になる前や問題が起こる前に出来ることとして、犬の遺伝学、行動学、シェルターメディスンに特に興味を持って勉強しています。

猫の年齢にあったフードとは

フードを食べる猫

「幼猫・キトン・成長期」

この時期はおよそ生後約1、2ヶ月〜1才までの事をいいます。生後約6ヶ月でだいたい成猫と変わらない大きさまで成長するため、必要なエネルギー摂取量が多い時期です。そのため高タンパク質や高カロリーの他、骨をつくるのに必要なカルシウムやリンも豊富に含まれています。しっかりと摂取しなければ発育不全となり体調を崩す場合もあります。 しかし消化機能が不完全のため一度に与える量を少なめにし、その分回数を増やして与える事が大事です。

しかし消化機能が不完全のため一度に与える量を少なめにし、その分回数を増やして与える事が大事です。

  • 生後1〜3ヶ月は一日4〜5回
  • 生後4〜6ヶ月は一日3〜4回
  • 生後7ヶ月以上は一日2〜3回

を目安に与えるといいです。

仔猫の時期にドライフードやウェットフードなど他の種類のフードを与えると、成猫になった時に「ドライフードしか食べない」など、決まったフードしか食べなくなる傾向が少なくなるといわれています。

「成猫・アダルト・維持期」

猫ちゃんの年齢が1才〜8才前後の時期をいいます。成長期が終わり、幼猫と比べ必要なエネルギー量は少なくなります。また避妊(去勢)手術を受けた場合は、ホルモンの影響で太りやすくなります。手術後に大半の猫ちゃんが体重が増え、肥満傾向になりがちです。
そのため成猫用のフードは幼猫のフードと比べカロリーが低めに調節されていますが、きっちり一日量を決め与える事が肥満防止につながります。成猫用の中でも、さらに「避妊・去勢後用」がある製品もあります。

また猫は結晶尿石症(ストルバイトやシュウ酸カルシウムなど)になる場合も多いので、原因のミネラル成分であるマグネシウムなどを調整してつくられている製品もあります。

「高齢・シニア期」

主に10才前後から高齢期といわれていますが猫ちゃんの年齢が7〜8才ぐらいになると老化がはじまります。高齢になると若い頃と比べ運動量が減るため必要カロリーは少なくなり、基礎代謝量も低下します。成猫用フードよりカロリーが低めに調節されているものもあります。

他にも機能の低下した腎臓にの働きが落ちやすくなるため負担を減らすためかけないよう、タンパク質の量を減らしていますたものもありますし、消化の良い良質なたんぱく質を使うことを大事にしている製品もあります。
食欲があって元気でも、成猫用のフードをそのまま与えてしまうより、高齢猫用のフードを与えた方が、老化した体にかかる負担が減ったり免疫力を向上・維持させるのに役立つでしょう。フードの切り替えと、動物病院での定期的な血液検査健康診断をおこなう事がとても大事です。

また噛む力や胃腸の働き、飲水量が低下することが多いため、水分が多く含まれているウェットフードに変えてあげるのも良い方法の一つです。

まとめ

フードを迷う猫

年齢ごとに必要なカロリーや栄養素のバランスが違います。年齢に合ってないフードを与えて続けると体調を崩したり病気になりやすくなる原因になります。猫ちゃんの年齢に合ったフードを与える事が病気の予防や健康維持に繋がります。フードだけではなく血液検査も含めた定期健診を受ける事で、病気の早期発見や症状の進行スピードを遅らせる事ができます。

適切なフードを選んだとしても一日に与える量が多いと太ってしまい、その影響で糖尿病や泌尿器疾患を引き起こしやすくなるため、意味がなくなってしまいます。そのため、きちんとフード量を測る事が大切です。
毎日与える食餌だからこそ猫ちゃんの健康を大きく左右します。
日頃から気をつけて与え、全ての猫ちゃんが長生きしてくれる事を願っています。

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