猫にアイスを与えてはいけない理由
家でアイスを食べていたら、愛猫が寄ってきたという経験はありませんか?
ついついアイスをあげてしまいたくなりますが、実は人間用のアイスを猫にあげるのはNGです。というのも、アイスクリームの種類によっては、猫が食べてはいけない成分が含まれているものがあるからです。
今回は、猫にアイスクリームを与えてはいけない理由をお伝えします。伝えします。
猫は乳製品が消化できない
猫は「乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)」といって、牛乳や生クリームなどの乳製品を消化することができません。
そのため、乳糖を含むアイスクリームはうまく消化できず、下痢を起こすことがありますので、バニラ味のソフトクリームやラクトアイスなど、乳糖を多く含むアイスは与えないようにしましょう。
危険なチョコや抹茶が含まれる可能性がある
アイスには、チョコレートや抹茶がよく使われます。しかし、チョコレートや抹茶は、猫にとって危険な食材です。
チョコレートや抹茶に含まれるカフェインや、チョコレートの原料であるカカオに含まれるテオブロミンが、激しい興奮や毒性反応を引き起こす可能性があるからです。
猫がチョコレートや抹茶を食べると、以下のような症状が起こり、最悪の場合、死に至ることもあります。
- 過剰な興奮
- 嘔吐
- 不整脈
- 呼吸が荒くなる
- ふらつき
体重5kgの猫がビターチョコレートなら約25g、抹茶なら約3gを食べると中毒症状が出始めると言われています。しかし、個体差があり、これより少量でも症状が出る場合があります。
そのため、チョコレートや緑茶を含むアイスは猫に与えてはいけません。
また、消化器官が未完成な子猫には、少量でも中毒を起こす危険があるので、1歳未満の子猫には人間のアイスクリームは絶対に与えないようにしましょう。
ナッツ中毒に注意
ナッツ類はアイスクリームによく使われています。
猫がマカダミアナッツ、アーモンド、クルミなどのナッツ類を食べると中毒を起こすことがあります。猫がナッツ類を食べると、以下のような中毒症状が現れ、大変危険です。
- 嘔吐
- 下痢
- 呼吸困難
- ケイレン
猫にナッツ類を与えないことはもちろん、ナッツ類入りのアイスを誤って猫に食べさせないように注意しましょう。万が一食べてしまった場合は、様子を見ずにすぐに動物病院に連れて行き、獣医師の診断を受けてください。
高カロリーで肥満の原因になる
人間が食べるアイスは、とても甘く、カロリーも糖分も高い食べ物です。人間にとって甘くて高カロリーであれば、体の小さい猫にとっては糖分過多となります。
少しくらいなら大丈夫だろうと思っている飼い主さんも多いようですが、少ないと思われる量でも猫にとってはかなりの量になり、肥満の原因になるのです。
ブレインフリーズが起こる
人間が冷たいものを食べて頭がキーンとなる現象を、ブレインフリーズ、またはアイスクリーム頭痛と言います。人間同様、猫も冷たさを感じると頭が痛くなり、強い刺激で体が固まってしまうことがあるようです。
猫にアイスキャンディーを舐めさせるとブレインフリーズが起こり、口を開けたまま固まってしまうので、それを面白がって動画を撮る飼い主さんもいらっしゃるようです。
しかし、意図的にブレインフリーズを誘発する行為は、猫にとって好ましくないことなので、面白半分にアイスを与えることはやめておきましょう。
猫の感染症が人間にうつる可能性がある
猫が舐めたアイスを人が食べると、猫の唾液が人体に入り込み、パスツレラ症という感染症を引き起こす可能性があります。
パスツレラ菌は、ほぼ100%の猫が保有しており、猫の唾液の中に含まれています。症状は、軽い風邪のようなものから、肺炎などの呼吸器系の症状まで様々です。
健康な人ではほとんど症状が出ないことが多いですが、高齢者や子供など抵抗力の弱い人は特に注意が必要です。かわいい愛猫においしいものを分けてあげたい気持ちはわかりますが、猫が舐めたあとのものは食べないようにしましょう。
猫がアイスを食べてしまったときの対処法
猫がアイスを少し舐めた程度であれば、問題はないでしょう。猫がいつもと変わらない様子であれば、そのまま自宅で様子をみてもOKです。
しかし、猫が嘔吐や興奮などの症状を示している場合は、アイスを食べたことによる中毒の可能性があります。すぐに猫を動物病院に連れて行き、治療を受けてください。
また、よく問題になるのが、猫がアイスを気に入って離さない時の対処法です。
無理に手で取ろうとすると、猫はアイスを守るために攻撃してきます。この場合は、ストローなどで息を吹きかけて、猫が逃げる瞬間を狙ってアイスを取り返しましょう。
猫は飼い主が食べているものに興味を持つことがよくあります。目を離した隙にアイスを食べられたりしないよう、くれぐれもご注意ください。
猫がアイスを欲しがるときの対処法
愛猫がアイスに過剰に興味を持ち、何度断っても近寄ってくることはありませんか?そんなときは、猫がアイスから目を離すように仕向けるように工夫しましょう。
何度ダメだと言っても欲しがるときの対処法や、猫が食べてもいい手作りアイスの作り方をお伝えします。
他のもので気をひく
もし猫が常にアイスを気にしているようなら、「ちゅーる」やおもちゃなど、猫の興味をそそるものを与えましょう。そうすれば、猫はアイスではなく別のものに気を取られ、人が持っているアイスが気にならなくなります。
それでも猫がアイスを欲しがる場合は、あなた自身が猫が行けない場所にアイスをもって移動しましょう。猫が人間のアイスを食べないように、アイスから遠ざける工夫をしてみてください。
体温を下げることができるものを用意する
猫がアイスを欲しがるのは、上がりすぎた体温を下げたいからかもしれません。夏場など体温が上昇しやすい環境では、猫も人と同じように冷たいものを欲しがります。
そんなときは、体を冷やすためのペット用冷製マットを置いたり、室温を下げたり、猫が水を飲める場所を増やしたりすることがおすすめです。
そうすることで、猫が冷たいアイスを欲しがるのを止められるかもしれません。
猫用アイスを手作りする
どうしても猫にアイスを与えたいなら、自分で作るのもいいのではないでしょうか。人間用ではなく、猫用のアイスであれば、危険なものは入っていないので、安心して食べさせることができますよ。
クリーミィリッチという猫用のアイスキットが市販されていますが、専用の容器にペーストを流し込んで凍らせるだけなので、簡単に作ることができます。
また、ちゅーるに少量の水を加え、皿や専用容器に入れて凍らせれば、猫用アイスを作ることも可能です。ただし、ブレインフリーズが起こる可能性があるので、猫用アイスは1週間に1回程度にとどめておくとよいでしょう。
まとめ
猫に人間用のアイスクリームを与えてはいけません。人間のアイスクリームには、猫が食べてはいけない成分が含まれている場合があるからです。
また、猫がアイスを食べるとブレインフリーズを起こしたり、猫が舐めたアイスを人が食べて感染症にかかったりするといったこともあります。
万が一、アイスを食べてしまった猫がいつもと違う様子を見せたら、すぐに動物病院に連れて行くことを忘れないようにしましょう。
猫がどうしてもアイスを欲しがったら、人間のアイスの代わりに猫用アイスをあげるのも良いアイデアです。人間のアイスの代わりに猫にアイスを与えて、アイスの味を共有しましょう。