老猫の最期を看取るために
私が動物病院で働いてきた中で入院中に亡くなってしまったケースがありますが、老猫の最期は安心するお家で過ごすという選択肢もあります。愛猫にとって最期は治療に専念して亡くなりたいのか、それとも大好きな飼い主さんの元で安らかに亡くなりたいと思うのでしょうか。
愛猫とのお別れが突然訪れてやってくるため、事前に最期をどのように迎えるのか考えておくとともに、老猫の最期のサインを見過ごさないようにすることが必要だと思います。
老猫の最期のサインを知る
いつかは大切なパートナーである猫とのお別れがやってきます。
老猫の最後のサイン
- 意識を失う
- 口呼吸
- 呼吸のリズムが変わる
- 心拍数が下がる
老猫の最期のサインはいくつかありますが、特に重要視すべきことは意識を失ってしまうことだと思います。意識を失い口呼吸をしはじめたら老猫の最期が近いサインです。呼吸が浅くて早かったり、あるいはゆっくりと深い呼吸をしているのならば、あと残された時間はあと数時間ということも予想されます。
また心臓の鼓動(心拍数)の変化や徐々に下がってゆっくりとなっていった場合も、老猫の最期が近づいているため要注意です。通常、健康な場合の心拍数は120〜180回/分ですが、老猫の最期が近づいてくるとほとんどが心拍数が下がりゆっくりになります。
老猫の胸に耳を当てたり、聴診器を使って心臓の鼓動を確認しましょう。
猫の看取りガイドも参考に
老猫の最期を看取ることは、とても辛いです。お家で最期を訪れることもあれば、入院中に旅立っていくこともあります。できれば長年、共に過ごしてきた老猫の最期を大好きな飼い主さんの元で旅立ってほしいと誰もが願うことだと思います。
私も飼っている愛猫の最期はお家で看取り、安らかに旅立ってほしいなと思っています。老猫の最期をどのように看取るのか、非常に悩むことだと思います。ですが飼い主さんが大切なパートナーであった猫に対して思って選んだのならば、安らかに天国へ旅立っていくと私は思います。
しかし、どんな選択肢を選んだとしても「あの時こうすればよかった…」と後悔の種が1つ、2つ…と出てくるかもしれません。”少しでも長生きしてほしい“、“最期まで幸せであってほしい“という飼い主さんに向けて「猫の看取りガイド」という1冊の本があります。
著者は、猫専門病院「東京猫医療センター」の院長を務めている服部幸さんです。愛猫との最期を悔いなく過ごす方法を含め、猫の終末期における日常ケアやかかりやすい病気、またお家で看取る際の食事内容や運動・介護について紹介しています。
他にも愛猫が天国へ旅立っていくときに、臨終前後に飼い主がしてあげれることなども詳しく書かれていたり、飼い主に向けてのメンタルケアについても書かれています。是非、この機会に読んでみてはいかがでしょうか。
老猫を最期に苦しませないためには
老猫の最期は住み慣れたお家で迎えたいと願っているが、いざ愛猫が別れのサインである意識を失ったときに動物病院へ駆け込んで運ばれてくることも少なくありません。
以前と比べて獣医療の進歩や飼い主の意識向上によって、猫の寿命が伸び長生きするようになりました。その一方で長生きする分、ほとんどが何らかの病気によりその生涯を終えるようになりました。
最終的に決めるのは飼い主さん
- 最後まで治療に専念する
- 治療はせずに痛みを取り除き最期を迎える
獣医療の進歩により治療方法も多種多様になり、ずっと共に過ごしてきた愛猫に対して最後の最後まで治療に専念するか、それとも治療よりも残された時間を心や体の苦痛を取り除き、穏やかに過ごせるようにする終末医療(ターミナルケア)にするのか。
病院側は愛猫のためにできる治療プランを提案しますがどのように老猫の最期を迎えるか、治療プランを決めるのは飼い主さんです。
その大きな選択肢をなかなか決めれずに悩んでしまうと思いますが、愛猫のことを誰よりも知っているのは飼い主さんです。だからこそ愛猫がどのように最期を迎えたいのか、あらかじめ大まかに考えておくことが、愛猫にとっても飼い主さんにとっても辛い思いをせずに過ごせることができるのではないかと思います。
愛猫の最期が近づいたとき、この先の治療プランや最期をどのようにしたいかなど、ご家族や病院側とよく話し合っておくとよいかもしれません。
最期が近い猫の特徴
あるアンケート調査では全体の約4割程が猫を含め、ペットの死が老衰であったという回答がありました。人と同様にペットも年々長生きするようになったことが大きな背景にあるのではないでしょうか。
最後が近い猫の様子
- 食事、水を受付ない
- 甘える
- 隠れる
- 体温、心拍、呼吸数の低下
- 瞳孔が開く
- よだれ、失禁、粗相
老猫の最期が近くなると食欲が落ち、ご飯や水を受けつけなくなりほとんど動かなくなります。その頃になると残された時間はそう長くはなく、猫自身もお迎えがきたと感じたのか飼い主さんに対して「ありがとう」と伝えにきたのか最後の力を振り絞って起き上がりしきりに甘えたり、あるいは本能により人目がつかない薄暗い静かな場所に隠れて過ごすようになります。
老猫の死期が近付くと飼い主さんの呼びかけに対して反応が薄くなったり、体温が下がる、心拍数・呼吸数の低下などがおこるようになります。次第に日中でも瞳孔が大きく開きっぱなしで細目になったりと普段と顔つきが変わるようになります。
また口からヨダレを垂らすようになったり、失禁なども見られるようになります。亡くなる様子は眠るように安らかに息をひきとることもあれば、大きく体を硬直したりなど猫によってそれぞれ異なります。
お別れはとても辛く寂しいが、安心して天国へ旅立っていけるように最期は体を優しく撫でてあげたり、声をかけてあげましょう。
猫の看取りの記事があるブログ
「老猫ソマとの別れ 家族全員で看取り〜天国から見守っていて〜」
ソマリのソマちゃんのお話しで、転落事故によりソマちゃんは足を1本失ってしまいます。明るさと元気で過ごしてきましたが、16才を過ぎた頃からソマちゃんが横になる時間が増えるようになり、飼い主さんご家族は延命治療は希望せず、自然にお別れが来るのを待つ事を選びました。ソマちゃんはフラフラになりながらも歩いては転び、起き上がっては転びを繰り返していたそうです。最期の最期は大好きな家族に抱きかかえられ天国へ旅立っていき、ソマちゃんは幸せだったと私は思いました。
「老猫さんとの暮らし〜最後を看取る〜」
老猫のごり子ちゃんのお話しです。本当の最期を病院で治療や処置を受けるのか、あるいはお家でゆっくりと自然にお別れを待つのか、このブログを読んで愛猫との死別の時をどのように過ごしてあげるか、とても考えられました。私も同じように「もっと検査すべきだった」「あの時こうしてあげればよかった」と後悔の念が出てくると思ったからこそ、いつかは訪れてくる愛猫とのお別れを考えていこうと思いました。
「3月17日(木)〜トムさんは旅立ちました〜」
甲状腺機能亢進症などの病気と戦ってきたトムちゃんのお話しです。飼い主さんは今まで頑張ってきたトムちゃんに対して最期はなるべく楽にしてあげたいという気持ちで、天国へ旅立つ最期の最期まで寄り添い、その詳細を事細かく書いてあり、私もこのように看取ってあげたいと思いました。
「愛猫の死」
そして最後に紹介するブログは杉本彩さんの愛猫ドンちゃん、タマちゃん、トムちゃんのお話しです。お家で看取った方がよかったのか、苦しみを取り除いてあげられたのではなかったのかと私も愛猫とのお別れを考えた時に同じ気持ちになりました。後悔しない選択肢は勿論のことですが、それでも出てきてしまう後悔をどのように向き合うのか、愛猫との死別の悲しみをどう乗り越えていくのか、優しい言葉で綴られており、後悔の念に押しつぶされないためにも多くの飼い主さんに読んでもらいたいと思いました。
まとめ
大切な家族の一員でパートナーである愛猫といつかはお別れがくる日がきます。老猫の最期のサインはいくつかありますが、ほとんどが意識を失い天国へ旅立っていきます。
愛猫の最期をどのように過ごしてあげるのか、とても悩んでしまいと思います。治療に専念するのか、あるいは安心するお家で自然にお別れが訪れるのを待つのか、大きな選択肢を選ぶのは愛猫のことを誰よりも知っている飼い主さんになります。
飼い主さんが大切なパートナーであった猫に対して思って選んだのならば、安らかに天国へ旅立っていくと私は思います。お別れが近づいてくると食事や水を一切口にせず飼い主さんの呼びかけに対して反応しなくなったり、低体温、心拍数や呼吸数の低下などがおこったり、いつもと顔つきが変わるようになります。
どんな選択肢を選んだとしても「あの時もっとしてあげればよかった」と後悔の気持ちが出てくると思います。少しでも後悔しないように、できることならば愛猫との最期をどう過ごしたいか考えておいておくといいのかもしれません。
安心して天国へ旅立ってあげれるように「ありがとう」と最期の気持ちを伝えてあげましょう。
50代以上 女性 ミュウ
教えて下さい。
50代以上 女性 春月