猫の爪を抜く手術とは?
猫の爪を抜く手術とは、どのようなものなのでしょうか。
猫の爪は、獲物を仕留めるときに使うなど、縄張りを主張するために野生に生息していたときには活躍していましたよね。天敵に襲われたときにも、武器として猫は爪を使っていたのですが、それを飼い主に向けられては怖いですよね。
そこで近年、海外で行われているのが猫の爪を抜く手術です。賛否両論ある、この猫の爪を抜く手術は一体どのようなものなのでしょうか。ご紹介させていただきます。
手術の名称
猫の爪を抜く手術は、「抜爪手術(ばっそうしゅじゅつ)」と呼ばれており、他には、
- 爪除去手術
- 爪手術
などと呼ばれています。
海外ではよく知られている抜爪手術
日本ではあまり聞いたことがありませんよね。しかし、海外では認知度の高い手術です。特にアメリカでは、猫を飼っている人が病院で抜爪手術をすることはよくあるようです。
しかし、猫の爪を抜くことは、虐待にあたると法律上禁止をしているところもあるのです。
抜爪手術が禁止されていたり賛否両論になったりしている理由
猫の爪を抜く手術は、賛否両論になっています。猫の手を支える爪、爪を支える部分をギロチンのようなもので切除するのですが、猫にとっては「苦痛で激痛でしかありません」。
本来備わっている猫の爪を、わざわざ抜くようなことをして、切除する必要はないのでは?と可哀想に思うのが当然で、批判が相次いでいるようです。
しかし、猫を飼っていると問題行動も多いので、しつけの一環として抜爪手術をされる方もいらっしゃるようです。
抜爪手術の費用など
猫の爪を抜く「抜爪手術」の費用は、おおよそ「4万~5万円程度」です。これには、入院費用も含まれています。
猫の爪を抜くときには、ギロチンのようなもので切除するので、痛みも伴います。それによって2~3日は安静にする必要があるので、入院をすることになるのです。
しかし、近年はギロチンではなく、レーザーでの爪を抜く手術も主流になっており、日帰りの場合もあるようです。
猫の爪を抜く手術方法
猫の爪を抜く手術方法は、どのようなものなのでしょうか。猫の爪を抜く手術は、イメージ的に痛そうですよね。
そのご想像の通り、猫の爪を抜く手術は激痛を伴います。そんな猫の爪を抜く手術方法はどのようなものなのでしょうか。ご紹介させていただきます。
爪を抜く手術(ギロチン型)
猫の爪を抜く手術は、「爪を抜く」イメージなのですが、手術方法としては「骨ごと切除をする」手術内容です。ですので、海外では「ディクロー手術(爪を取り除く手術)」と呼ばれています。
滅菌をしたギロチンのようなもので、猫の爪の生え際を骨ごと切り落とすものです。猫の爪の細部には、血管や神経もたくさん通っていますので激痛でしかありません。
人間で言えば、指の第一関節からギロチンで切り落とされている感覚と言っても過言ではないでしょう。
爪を抜く手術(レーザー型)
近年主流になってきているのが、レーザーで猫の爪を切除する手術方法です。末節骨ごと切除をする方法なのですが、神経や血管のシーリングで術後はすぐに歩ける猫もいるので日帰りが多くなっています。
ギロチン型の猫の爪の手術は4万~5万円なのですが、レーザーでの手術費用は5万円は越える傾向にあるようです。
猫の爪を抜く手術のデメリット
猫の爪を抜く手術のデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
猫の爪を抜く手術は賛否両論がある通り、猫にとってたくさんのデメリットがあります。そこでここでは、猫の爪を抜く手術のデメリットについてご紹介させていただきます。
かなりのストレスになる
猫にとって爪がないことは「ストレス」でしかありません。猫の爪研ぎは、
- ストレス発散効果がある
- 縄張りを主張する
などのために行うので、猫の「本能」的な行動です。
そんな猫の爪を抜くということは猫にとっては壮絶的なものです。猫の爪研ぎはリラックス効果もあります。自分を安心させるために爪研ぎをするのですが、これができなくなるので、猫には可哀想になってしまうでしょう。
ストレスで他の問題行動も増える
猫は爪を抜く手術をされると、その後の生活が激変します。猫は寝ることと、食べることと、グルーミングをすることに時間を費やしています。その他にも起きているときには爪研ぎも猫には重要な行動です。
そんな爪研ぎができないようにしてしまうと、猫はストレスによって他の問題行動が増えてしまうこともあります。あちこちにマーキングをしたり、無駄に鳴くようになってしまったりなどの行動が増えてしまうかもしれません。
精神的に不安定になる
猫は爪を抜く手術をされると、精神的に不安定になり、
- 食欲不振になる
- 元気がなくなる
などといった症状がでることもあります。本能的な欲求を満たすことができなくなってしまうので猫が精神的に不安定になってしまうでしょう。
後遺症があることも
猫の爪を抜く手術のあとには、「後遺症」がある場合も。具体的には、
- 歩行困難
- バランスがとれなくなる
- ふんばれない
- 合併症になる
これらのようなことがあるかもしれません。
室内飼いしか絶対にできない
猫の爪を抜く手術をしたあとには必ず、「室内飼い」にしなくてはいけません。爪は、猫にとって一番の武器です。
もし、手術後に猫が脱走をしてしまったり、外で放し飼いをしたりしてしまうと、身を守る手段がありませんので、他の猫に怪我をさせられてしまうなど、命の危険もあるでしょう。
痛み
猫の爪を抜く手術は、麻酔が切れると激痛が続きます。うまく緩和されていけば良いのですが、トイレで砂を掻いているうちに細菌が入り込み、化膿をしたり、痛みが続いたりしてしまうことがあるでしょう。
運動能力が低下する
猫の爪を抜いた後には、猫は酷いときには歩行困難などになってしまうこともあり得ます。またそれだけでなく、猫は爪がないことで家具から落ちかけたときなどに爪で引っ掻けることができないので、転落をしたり、高いところにうまく登れなかったりするようになってしまうこともあります。
猫の爪を抜く手術のメリット
上記のようなデメリットをみていると、「何のためにそんな手術をするの?」と疑問を持ちますよね。
しかし、猫の爪を抜く手術には、場合によっては飼い主や周りの他人にとって、メリットもあるようです。いくつかご紹介させていただきます。
飼い主や周りの人の怪我の防止
猫にも個々の性格があります。飼っている猫が臆病で攻撃的な猫だとすれば、どれだけ愛情を注いでも引っ掻いてくるようなことがありますよね。そんなときに、飼い主や周りの人の免疫が低いと、傷跡が腫れたり、猫ひっかき病などになってしまったりすることもあると思います。
そのような場合、どうしてもやめさせられないときに、この爪を抜く手術を受けることがあるようです。
猫自身のために
猫は生まれつき、水頭症やてんかんを持っていることもありますよね。そのような場合、発作が起こると激しく暴れて、猫が自分自身を傷つけてしまうことがあります。
そのようなときに、怪我をしてしまわないようにするために、猫の爪を抜く手術をすることがあるようです。
家具などを守る
どれだけ対策をしても、部屋を引っ掻き回して、物を壊してしまう猫もいますよね。家具だけだとまだ良いのですが、賃貸マンションなどの床まで激しく引っ掻かれてしまうと、飼い主も頭を悩ましてしまうかもしれません。
そんなときに、猫の爪を抜く手術をして解決させることがあるようです。
しかし、日本では猫にとってデメリットが多いので、あまり推奨はされていない手術なのです。
まとめ
猫の爪を抜く手術は、
- 攻撃的で問題行動が多い猫
- てんかんなどの発作を起こす猫
を飼っている場合に受けることが多いようです。
アメリカでは一般的ではありますが、猫の痛みや後遺症、ストレスのことを考えると、なるべく手術というこの選択肢ではなく、違う対策でなんとかしてあげたいものですね。