猫の歯茎が黒い原因と考えられる病気

猫の歯茎が黒い原因と考えられる病気

猫が口を開けた時に、歯茎が黒くて気になったことはありませんか?猫の歯茎が黒いのは、病気なのでしょうか?猫の歯茎がきれいなピンク色ではなく黒い時の原因と考えられる病気を解説します。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の歯茎が黒い状態とは

歯茎を見られている猫

猫の健康な歯茎の色は?

猫の歯茎が健康な状態の時は、引き締まっていて、赤みがかったピンク色をしています。赤みが強かったり、腫れていなければ問題はありません。猫は歯茎が健康であれば、フードの咀嚼もスムーズで、よだれをたらすこともありません。食べるために、猫の歯茎の健康は重要です。

猫の歯茎が赤くなっていたり、腫れている時は歯周病が考えられます。3歳を過ぎると、猫も歯周病になりやすくなるので、歯みがきなどのケアをしてあげることも必要です。猫の歯周病がひどくなると、歯が抜けてしまうこともあり、こうなるとドライフードが食べにくくなってしまいます。猫の歯茎だけでなく、舌や口の中が全体的に赤い場合は、口内炎のこともあります。

猫の黒い歯茎はどういう状態?

猫の歯茎が黒い状態というのは、猫の歯茎全体はピンク色をしているものの、一部がシミか模様のように黒くなっているものです。猫の歯茎だけでなく、舌や上あごの裏も黒いことがあります。

猫の黒い歯茎は、ピンク色の歯茎が、一部分だけ黒くなっている状態です。まれに猫の歯茎の黒い部分が腫れていたり、盛り上がっていたりすることもあります。黒い部分がしこりのようになっていると、病気の可能性があります。

猫の歯茎が黒い原因

口をあけている猫

1.色素斑

猫の色素斑は、茶トラの猫に多く見られるのですが、子猫の頃からある黒い斑点です。もともと猫の歯茎の一部に黒い模様があっても、子猫の時には小さく、気づかないかも知れません。猫が成長するにつれ黒い斑点も大きくなりますので、成猫になって初めてわかる場合もあります。

猫が大きくなってから気づくと、突然猫の歯茎が黒くなったように思えてびっくりしてしまいますよね。猫の歯茎の黒い原因が色素である場合、歯茎だけでなく、舌や上あごの裏なども黒くなっていることがあります。黒い部分が大きいと気になりますが、腫れていたりしなければ、心配のないものです。

2.血腫

血腫、つまり血豆です。硬いものを噛んだ時などに猫の歯茎が傷ついてできます。始めは赤黒かったものが、日がたつにつれて黒くなります。血腫で猫の歯茎が黒くなっているなら、次第に小さくなって治りますので、心配はありません。血腫がだんだん大きくなる、何度も繰り返すなどという場合は、獣医さんに診てもらいましょう。

猫の歯茎が傷つくと、ばい菌が入って炎症を起こしてしまうこともあります。時々口の中をチェックしてあげて下さい。

3.悪性黒色腫(メラノーマ)

悪性黒色腫(メラノーマ)は、メラニンを作る細胞から発生する皮膚ガンのひとつです。猫の歯茎の黒い部分が盛り上がっている場合は、悪性黒色腫(メラノーマ)の可能性がありますので、注意が必要です。猫の歯茎の黒い部分は始めはほくろのようですが、だんだん大きくなります。時々口の中を確認して、小さかった黒い部分が大きくなっていくようなら、気をつけて下さい。猫の歯茎の黒い部分が盛り上がっており、口臭やよだれの症状があれば、この病気を疑います。嚥下障害や食欲不振になることもあります。

悪性黒色腫(メラノーマ)の疑いがあるなら、一時も早く動物病院へ連れて行かなくてはなりません。気づくのが遅れると、進行してしまうからです。動物病院では、まず検査をし、検査の結果によって、摘出手術や放射線治療を行います。

猫の歯茎に、黒ではなくピンク色のできものがある時は、エプーリスと呼ばれる良性の腫瘍であることがほとんどです。ただし、良性であっても大きくなりますので、切除手術が必要です。腫瘍は見た目で判断できません。悪性か良性か、腫瘍の種類は何なのかは実際に摘出して検査しなければわかりません。見た目で判断しないようにし、猫の歯茎に気になるできものがあるなら、早く獣医さんに診てもらうことが大切です。

猫の歯茎が黒い時の治療方法

歯茎を治療中の猫

色素斑で黒い場合

猫の歯茎が黒い原因が色素斑であるなら、治療は必要ありません。黒い部分が悪性化することもないので、心配いらないものです。猫の歯茎の黒い部分が模様なのか、盛り上がっているのか判断に迷う場合は、獣医さんに相談して下さい。

血腫で黒い場合

血腫は、何が原因かわからないことが多いのですが、自然に治ります。血腫が何度も同じ場所にできたり、だんだん大きくなる場合や、血腫なのかしこりなのか判断に迷う時は、獣医さんに診てもらいましょう。

悪性黒色腫(メラノーマ)で黒い場合

猫の歯茎の黒い部分が盛り上がっていて、検査の結果悪性黒色腫(メラノーマ)と診断された場合は、摘出手術になることが一般的です。悪性黒色腫(メラノーマ)では、転移する可能性がありますので、抗ガン剤治療も行います。転移があったり、手術が困難な場合は放射線治療が行われます。悪性黒色腫(メラノーマ)は、名前に黒とつきますが、黒ではなく赤いしこりができることもあります。ただ、猫で悪性黒色腫(メラノーマ)にかかるのは、まれです。

まとめ

歯を見せている猫

猫の歯茎が黒くなる原因は、色素によるものや血腫、悪性黒色腫(メラノーマ)などが考えられます。猫の歯茎が黒い理由が色素斑なら生まれつきの模様のようなものなので問題はありませんが、まれに病気のことがあります。悪性黒色腫(メラノーマ)であれば、一刻も早く治療をすることが必要です。

猫は、歯周病など口の中のトラブルが起こりやすいですが、なかなか口の中を見せてくれない猫も多く、気がつくのが遅くなりがちです。普段から猫の口を開けることに慣れさせたり、歯みがきなどのケアもしてあげましょう。猫の口の中をチェックすると同時に、よだれが出ていないか、フードはちゃんと食べられているか、気をつけて見てあげて下さいね。飼い主が猫の異変に気づいてあげることが、大切な猫を守ることになります。

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