猫が水を飲まない原因と考えられる病気、その対処法

猫が水を飲まない原因と考えられる病気、その対処法

猫が水を飲まないようになるのはなぜなのでしょう…?水をあまり飲まない猫にとって、F.L.U.T.D.(下部尿路疾患)はかかりやすい病気。猫に水分を取らせる事は、猫の健康に長生きするためにとても大切なことです。また、水の飲み具合から猫の体調や病気の兆候も見つけることができます。いつも猫が水を飲まないと困っている…そんな時は是非参考にしてみて下さい。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫が水を飲まない時に考えられる原因

猫の口元の立派なおヒゲ センサーの役割をする大切なもの

普段からあまり水を飲まない猫が、いつも以上に水を飲まない…心配ですよね。そんな時に考えられる原因をいくつか挙げてみます。

  • 猫は病気の時水を飲まない
  • 猫にストレスがたまって水を飲まない
  • 容器が気に入らない
  • 口の中に違和感があるから
  • 老化現象

猫が水を飲まないのは体調が悪い(食欲も無い)から

体調が悪い時は、人と同じで猫も食欲がなくなってしまいます。血尿は出ていないか?下痢はしていないか?元気はあるか?吐いていないか?何かの病気の可能性もあるので、しっかり猫を観察しましょう。

猫が水を飲まないのは、ストレスが溜まっているから

かなりストレスが溜まっている場合には、ご飯を食べなかったり水を飲まなかったりします。普段の生活でそこまでストレスが溜まることはないと思いますが、引っ越し、家族が増えた、2匹目の猫を迎え入れた…など、環境に変化があった場合には猫に気を遣ってあげるようにしましょう。猫は環境の変化に敏感です。

猫が水を飲まないのは容器や場所が気に入らないから

猫用の食器の材質は陶器、ステンレス、プラスチックなど色々ありますが、猫によっては食器のこだわりが強い子もいます。中には「陶器の器以外ではご飯も食べないし水も飲まない」なんて、漫画に出てくる頑固親父みたいな猫も(笑)

また、猫は器にヒゲがつくのを嫌うことが多いです。口が狭く深い容器ではヒゲがついてしまうので、広く浅い器に変えてみるのもいいでしょう。

猫が水を飲まないのは、口の中に異常がある・怪我をしているから

虫歯や腫瘍などの異常があるケースもあります。「前は飲んでいたのに一切飲まなくなった」「様子がおかしい」場合は一度病院で診てもらうのが安心です。

猫が水を飲まないのは老化してきたから

年をとってくると動くのが億劫になり、余計に水を飲む量も減ってしまいます。老猫になるほど長生きしている場合、腎臓病になってしまっていることも少なくありません。腎臓病の悪化を防ぐためにも、しっかり水は飲ませたいところです。

猫が水を飲まない時の対処法

流水が好きすぎて流し台を占領する猫の図

猫用ミルクを与えてみる

猫が水をどうしても飲まない時に猫用ミルクを与えてみるという手があります。猫はが食べ物や飲み物を口にする時は、まず臭いをかぎますが、水ではどうしても匂いがしません。猫用のミルクは独特の甘い香りがしますので、その香りにつられて猫が水を飲んでくれるかもしれません。

猫が水を飲まない時に、猫用のミルクを与える際は、40度~50度ぐらいのぬるま湯にミルクをスプーン1杯ほどを入れて与えるといいでしょう。冷たい水ではミルクが溶けない場合もありますので、必ずぬるま湯で作る事をお勧めします。

猫用の水飲み場の場所を変えてみる

  • 猫が水を飲まない時はトイレの臭いがしない場所に移動する
  • 猫が水を飲まない時は人通りが少ない所に移動する
  • 他のペットが水飲み場にしていない所に移動する
  • 猫用ミルクを使ってみる

猫が水を飲まない時は、猫の水飲み場を変えてみましょう。可能な限り、猫のトイレからは遠ざけるようにすると、水を飲まない猫でも、お水を飲んでくれるようになる可能性があります。猫はとてもきれい好きで特にトイレの臭いがする場所で、猫は水を飲まない、ご飯をたべないようになります。

また、猫が水を飲まない時場所を変更する時は、人がよく出入りする場所は避け、他にもペットを飼っている場合は離して置くようにしましょう。

冬、猫が水を飲まない時はお湯を与える

  • 40度ぐらいのぬるま湯を与えてみる
  • 冷たすぎるお水は猫は飲まない

冬場、猫が水を飲まないのは、『お水が冷たすぎる』、『水飲み場まで行くのが寒い』と思うため、猫は水を飲まないという事が考えられます。

夏場は猫も通常より多く水を飲みますが、冬になると気温も下がり、水も夏場よりずっと冷たくなります、そして、水飲み場まで行くのも寒くておっくうになり、水を飲まないようになる事がよくあります。

寒い冬に猫が水を飲まない時は「ぬるま湯」を与えてみるのも1つの手です。猫によってはぬるま湯のほうが好きだという子もいます。この際のぬるま湯は猫の体温に近い40度ぐらいが理想的でしょう。

あまりにも熱いお湯を飲ませるのは火傷をさせてしまうだけでなく、その後猫がお水をさらに飲まないようになる可能性もあります。

猫の水飲み容器を変えてみる

猫がお水を飲まないのは、容器が気に入らなかったり、高さが合わないなどの理由が考えられます。

猫が水を飲まない時、いつも使っているお水のお皿が低すぎる時は、お皿の下にすのこや鍋式等を挟んであげると丁度いい高さになり、水を飲まない猫でも積極的にお水を飲んでくれた!という飼い主さんも居ます。

ヘルスウォーター ボウル M

ヘルスウォーター ボウル M
1,944円(税込)

有名なのがオーカッツ社の「ヘルスウォーターシリーズ」という陶器の器。特殊な人工機能石を含んだ陶器で作られており、お水などの味を美味しく変化させるというもの。Amazonのレビューでも高評価でお水をごくごく飲むといった投稿もあります。お水以外にもご飯をいれてもおいしく変化するそうです!

筆者は水の器にはこれを使っています。水の味が変わったかまではわかりませんでしたが、重量感もあって丈夫で、淡い綺麗な色をしてるので気に入っています。

猫の水飲みを流水(自動給水器など)にする

猫が水を飲まない時には、自動給水器を試してみてはいかがでしょうか?

猫が水を飲まない時に自動給水器を試す飼い主さんはたくさんいます。有名なものだと、「ドリンクウェル」「ピュアクリスタル セラミックス」「ネイチャーズファウンテン」「セラミックファウンテンビッグ」など。まだまだ沢山種類があります。

筆者は猫が水を飲まない時、「ステンレスファウンテン」を買いました。うちの猫の場合、最初は確かに食いついてくれたのですが、割とすぐ飽きてしまいました(笑)

フィルター取り替えの必要があったり、モーターの水垢を取ったりと少し手間はかかってしまいますが、これで水を飲まない猫が水を良く飲んでくれるようなら安いもの!

愛猫が水を飲まない時、水道やお風呂場で流れる水に興味をもっていたり、飲んでいるのを見かけたのであれば、猫が水を飲まない時に自動給水器を試してみるのもいいのではないでしょうか。

自動給水器を設置しても水を飲まない場合、場所が気に入らない可能性がありますので、買っても水を飲まない!という場合は場所を高い位置にしたり、トイレから離してみたりするとうまくいくかもしれませんよ。

ペットセーフ ドリンクウェル プラチナム ペットファウンテン

ペットセーフ ドリンクウェル プラチナム ペットファウンテン
7,150円(税込)

猫が水を飲まない時『ラチナム ペットファウンテン』もおすすめです。猫は蛇口から出る水を飲みたがりますよね?それを猫用に実現させたのがこちらの商品です!蛇口は不衛生で不安…という飼い主さんにピッタリな商品です!

ジェックス ピュアクリスタル セラミックス 猫用

ジェックス ピュアクリスタル セラミックス 猫用
5,269円(税込)

ピュアクリスタル セラミックスは、循環式の自動給水器です。水を活性炭でろ過しいつでもきれいなお水を与える事ができます。お手入れは1週間に1度のお掃除と1カ月に1回のポンプのお掃除です。お水がいつもきれいなのはうれしいポイントですね!

ボンビアルコン (Bonbi) ネイチャーズファウンテン セラミック

ボンビアルコン (Bonbi) ネイチャーズファウンテン セラミック
5,750円(税込)

こちらもお水が中央から湧き出るタイプの自動給水器です。お水を循環させいつでも綺麗な状態でお水を飲ませられるのは飼い主としても安心ですね♪

パイオニア ペット プロダクツ セラミックファウンテンビッグ ホワイト

パイオニア ペット プロダクツ セラミックファウンテンビッグ ホワイト
8,553円(税込)

こりらの自動給水器は、他の商品とは違ったデザインなのが特徴です。水が流れるようなデザインがなんとも涼しげな印象。水を飲まない猫でも水が上から下へ流れるのを見ればきっと興味がわいてくるはずです。

猫の水飲み皿を洗う

  • 猫は汚い水は飲まない
  • 猫の水皿が汚い時は清潔にする
  • 匂いが残っている時は熱湯やお湯で洗う

猫が水を飲まない時、猫が使っている水飲み皿を見てください。埃が入っていたり、汚れていたり、水が汚かったりしていませんか?猫はとってもきれい好きです。汚い水を猫は飲まないので、もし汚れていたり埃が入っている場合はお皿を洗い、新しい水に取り換えてあげましょう。

また、猫の嗅覚はとっても敏感!洗い物に残った洗剤の匂いや成分がいやで水を飲まないという場合も。特にプラスチックの容器は傷もつきやすく匂いも移りやすいので、しっかりと洗い流し、匂いが残っている時はお湯で洗うなどして消臭しましょう。

猫に飲み水用またたびを使ってみる

猫が水を飲まない時の最後の手段として、お水にまたたびを入れて興味がわくようにしてみましょう。

猫が水を飲まない時のため、水に溶けるタイプのまたたびも商品化されています。またたびが好きな猫なら、びっくりするほどごくごく水を飲んでくれるようになります。ただし、あまり飲み過ぎもよくないので使用の際には注意が必要です。

猫が水を飲まない時のマタタビ水の作り方

猫が水を飲まない時は、粉末、または液体のマタタビを購入し、粉末であれば小さじ2/1、液体であれば4-5滴をいつもの水飲み皿にいれるだけ!固形のマタタビであればそのままポン!とお水に入れてみてください。ペットショップやホームセンターではマタタビ水という物がたまに販売されています。

またたび抽出液 20m
またたび抽出液 20ml
415円(税込)

ドライフードをウェットフードに変える

カリカリのドライフードだけを与えている場合、ウェットフードに変えるか、ウェットフードもプラスしてあげるようにすると、食事で水分を摂ることが出来ます。

ウェットフードに水やお湯を加える

これは筆者が実践している方法なのですが、ウェットフードに水やお湯を加えてスープ状にしてあげています。ただのお水はなかなか飲んでくれなくても、大好きなフードの香りがするスープなら飲んでくれる猫も多いかも!

猫は水をあまり飲まない動物

水を飲む猫

猫は元々砂漠の動物

今ペットとして飼われている猫(イエネコ)の祖先は約13万1000年前、中東の砂漠などに生息していたリビアヤマネコだと言われています。

猫の体毛には防水機能が備わっておらず、水に濡れると体温が奪われ気温の変化の激しい砂漠では生死に関わるため、猫には水を避けるという本能があり、また、水の少ない砂漠という環境に適応するため、水分をあまり取らなくても大丈夫な体になっています。

つまり、猫は基本的には「水をあまり飲まない動物」です。しかし困ったことに、このあまり水を飲まないでも大丈夫という体質こそ、猫に泌尿器疾患の多い原因でもあるんです。だからこそ、猫にいっぱい水を飲んでもらうために、猫の飼い主さんの多くは日々奮闘しています。

猫はおしっこの病気にかかりやすい

あまりに水を飲まないと、おしっこが濃くなってしまい、おしっこの中の成分が結晶化して「尿路結石症」になり進行すると「慢性腎不全」になる可能性があります。

尿路結石症

  • マグネシウム由来の「ストルバイト尿石症」(リン酸アンモニウムマグネシウム)
  • カルシウム由来の「シュウ酸カルシウム尿石症」

尿路結石症には以上の2種類です。『膀胱炎』などの病気と合わせて、猫がかかりやすい病気なので注意しておくようにしましょう。これらの主に下部尿路(膀胱から尿道)に起こる病気の総称を『F.L.U.T.D.(下部尿路疾患)』と言います。

慢性腎不全

慢性腎不全とは、慢性的な腎臓の病気です。慢性腎不全は猫の死因1位にあげられるほど、猫がかかりやすい病気です。慢性腎不全に猫がなる原因に「水を飲まない」事が挙げられます。しかし実際に慢性腎不全を発症すると、水を飲まない猫が、いつも以上に水を飲むようになったりします。

これは、慢性腎不全により、尿毒症をおこしているため、体内の不要なミネラル分やではなく水分だけが排出されるため、水をがぶがぶと飲むようになり、大量のおしっこをします。その他、体重の減少、食欲不振やおう吐などの症状が現れます。

猫は何日水を飲まなくても平気?

猫が水を飲まなくても生きられるのは、健康で何も問題ない猫であれば丸1日が限界です。体調が悪く、猫が水を飲まない場合は、数時間が限界でしょう。体調不良で猫が水を飲まない場合、嘔吐や下痢などでいつも以上に脱水が激しいです。

猫が水を飲まない時、合せて下痢やおう吐などの症状があった際には、速やかに水分補給をさせ、動物病院に受診するようにしましょう。

水を飲まない猫が1日に飲むべき水の量

水を舐める猫

猫の水の摂取量は、目安として【体重1kgあたり60~70ml/1日】です。

体重が4kgなら240~280ml、5kgなら300~350mlというふうに。ただ、これはあくまで理想の水分量であって、実際には「こんなに飲まない…」ということも。
※体重1kg当たり100ml以上飲むようだと、飲み過ぎです(詳細は後述)
※猫には【ミネラルウォーター】はNGです。ミネラルが多く含まれる水は尿路結石症の原因となります。

水を飲まない猫が、急に飲む量が増えた場合

蛇口に近付く猫

「普段より飲む量が増えた」「よくおしっこに行くようになった」という場合、腎臓病・糖尿病などの疑いがあります。腎臓病はかなり進行するまで見つかりにくいとも言われており、早期発見の為には何より定期的な検査を受けることが大切です、明らかに量が増えたという場合には、健康診断も兼ねて病院に行くことをオススメします。

まとめ

水が好きな猫

猫の水分摂取量は少ない、水をあまり飲まない動物です。そのため飲んでもらうのは苦労しますが、その分異常も発見しやすいです。普段から猫を観察して、その子の個性や水の飲み方を把握して起きましょう。

水を異常に沢山飲んでいるという状況は、猫の特性を考えれば本来「ありえないこと」。猫の体の異変を知らせる重要なサインなので、絶対に見逃さないようにしましょう!

投稿者

50代以上 女性 ごじちゃん

猫はぬるま湯が大好きです。わざわざ入浴後のお風呂場に入ってきて、床をなめたりする子もいるくらいですから。このぬるま湯、熱すぎても温すぎてもいけないようです。食器や手を洗う温度で用意したぬるま湯が、運ばれてきて猫の前に置かれ、一呼吸冷ました感じが一番のお気に入りのようでした。
高齢になると代謝が落ちるのか、ますます水を飲まなくなるようです。そこで高齢猫に、チキンスープ(鶏ガラからとるスープ)を少量加えたものを与えていました。微かなチキンの味につられて、ついぺろぺろしてしまうのでしょう。
給水機を購入すればいいのでしょうが、自宅にいることが多いので、普通の水入れを使用しています。これが外泊となると、まるで雨漏り屋敷のように、家中にボウルに入った水が置かれることになります。たいして飲むわけじゃないとわかっているのですが、万が一1つがこぼれたらと思うと心配で。給水機、やはり必要ですかね。
投稿者

30代 女性 ちゃ〜

ウチは給水器と、普通の溜め水を使っています。猫たちはどちらも使って飲んでいます。
ワタシ用にコップに水を入れて置いておくと、飲まれてしまうこともあります(笑)。

不思議なのが、お風呂場の床に溜まった少しの水を飲むことです。
あまりキレイな水とは思えないのですが、たまにペロペロしているみたいです。

ウチはドライフードなので、少しでも飲水量を増やす目的でぬるま湯をかけて与えるようにしています。しばらくするとかなりふやけて柔らかくなりますので、固いフードが好みの子は、あまり好かないようですが・・・。そんな時は固いままのものを混ぜて与えています。

蛇口から流れる水を、こよなく愛する猫ちゃんもいますよね!
流れる水は新鮮な事を本能的に知っている、などと言われていますが、ウチの猫は見向きもしないので、好みが分かれるところなのだなぁ、と思います。

記事を読んで、愛猫に水を飲んでもらうには、好みを把握してそれに合わせて与える必要があるのだな、と気づきました!ありがとうございます^^
投稿者

20代 女性 うみか

猫ちゃんが、水を飲まないときには何か原因があります!
うちの猫ちゃんは縁側で日向ぼっこをしているうちに熱中症になりました。
その間、4時間ほどずって寝ていました。水を少しでも飲まそうとしましたが全然飲んでくれませんでした。いつもは、水をよく飲む猫ちゃんなのですぐに獣医師に診ていただきますと、熱中症になっていました。春でしたが、日光に長くあたっていたので、熱中症になったらしいのです。猫ちゃんは、日に当たるのが好きなので注意してあげなければいけませんね。
それ以来、陰を作ったりして工夫しています。

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