猫の毛が抜ける病気4つの原因や治療法

猫の毛が抜ける病気4つの原因や治療法

猫は毛がよく抜ける動物ですが、抜け方や皮膚の様子によっては「猫の毛が抜ける病気」の可能性があります。猫の毛が抜ける病気には、どのような種類があるか知っていますか?

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

猫の毛が抜ける病気4つ

白癬の猫

猫は冬毛から夏毛、夏毛から冬毛に生え変わるために「換毛期」と呼ばれる、これは猫の毛が抜ける病気ではなく、毛が抜ける時期が年2回あります。

初めて猫を飼育する飼い主さんは、換毛期に「猫の毛がすごく抜ける!」と驚くかもしれません。

換毛期以外でも普段から抜け毛がある生き物ですが、全身の毛がまんべんなく抜けていれば、それは自然なことです。

しかし、抜け方などによっては「猫の毛が抜ける病気」に当てはまることもあります。猫の毛が抜ける病気は、体の外からの刺激や体の内側に原因があるなど、様々な種類が存在しています。

その中でも多いとされる猫の毛が抜ける病気が以下の4つです。

  • 皮膚糸状菌症
  • 疥癬
  • ノミアレルギー性皮膚炎
  • 日光皮膚炎

猫の毛が抜ける病気の原因や症状

頭をかく猫

猫の毛が抜ける病気の中でも多いとされるものは、寄生、感染を原因とするものです。

猫の毛が抜ける病気①皮膚糸状菌症

猫の毛が抜ける病気の原因である、真菌(カビ)に感染することが原因です。カビと言っても種類はとても多く、そのうちの数種類が猫の皮膚に感染します。猫の毛が抜ける病気である真菌に感染した動物と接触などで飼い猫にうつることもあれば、人から猫にうつることもある病気です。

猫の毛が抜ける病気と言っても実は人間の水虫の原因菌と同じであるため、人獣共通感染症(ズーノーシス)の一つになっています。しかし、すべての糸状菌が感染するわけではなく一部ですのでしっかり鑑別する必要があります。

症状の特徴は円形にはげるの脱毛です。猫の毛が束で抜けることもあり、かさぶたや軽いかゆみがあらわれることもあります。毛が抜けるのは頭部や手足が多いようです。

子猫や病気を抱えている、ストレスなどで免疫力が低下している猫がなりやすく、多頭飼いでは他の猫にうつりやすいです。

猫の毛が抜ける病気②疥癬

  • 脱毛の症状
  • 強いかゆみの症状
  • かさぶたの症状
  • 赤い発疹の症状

猫の毛が抜ける病気である疥癬は、センコウヒセンダニやミミヒゼンダニの寄生が原因です。既にダニに寄生された動物との接触や、ケア用品を介してうつります。もちろん、人が猫の毛が抜ける病気の原因になるダニを持ち込み、飼い猫に寄生してしまうこともあり、人にもダニの影響があらわれる病気です。

猫の毛が抜ける病気である疥癬の症状は、脱毛、強いかゆみ、かさぶた、赤い発疹などの症状があらわれます。これらの症状は初めは頭部にあらわれることが多く 、次第に全身に広がります。頭部がシワシワになってしまうことがある病気です。

猫の毛が抜ける病気③ノミアレルギー性皮膚炎

  • 脱毛や強いかゆみ
  • 赤い発疹

ノミは猫を刺した際に、血を固まらせない作用がある唾液を注入します。猫の毛が抜ける病気であるノミアレルギー性皮膚炎は、このノミの唾液がアレルゲンとなり、脱毛や強いかゆみ、赤い発疹などのアレルギー症状があらわれるのです。

首、背中、お尻など局所的に皮膚炎がみられます。体質によっては1か所刺されただけでも炎症が起こります。

猫の毛が抜ける病気④日光皮膚炎

  • 耳の先端や鼻や口のまわりの脱毛
  • 赤み
  • 黒いかさぶた
  • かゆみ

感染によるものではない、猫の毛が抜ける病気が日光皮膚炎です。紫外線を浴びることが原因で、耳の先端や鼻や口のまわりの脱毛の他、赤みや黒いかさぶた、かゆみが起こります。特に白猫や白色の毛の部分、毛が薄い部分、外に出る猫や日向ぼっこが好きな猫が繰り返し紫外線を浴びることでなりやすいです。

猫の毛が抜ける病気の治療法

顔を洗う猫

猫の毛が抜ける病気で猫の脱毛があった場合、治療の前に何が原因なのか検査が必要となることがあります。症状のあらわれ方で分かる病気もあれば、脱毛だけでは原因がはっきりしないこともあるからです。

猫の毛が抜ける病気の治療は主に外用薬や内服薬によるものですが、予防することができるケースもあります。猫の毛が抜ける病気の原因が感染や寄生によるもので、多頭飼いをしている場合は他の猫も治療などの対処が必要です。

皮膚糸状菌症

猫の毛が抜ける病気の原因である真菌の増殖を抑えるために抗真菌薬を使用します。専用のシャンプーでの洗浄や、毛を刈るといった処置が必要なこともあります。治療は数か月かかることが多いです。

健康な猫では自然治癒することもあります。室内や猫が使うものは清潔にし、飼い主さんは水虫に気を付けるなどの対策で予防しましょう。

疥癬

猫の毛が抜ける病気の原因となるダニの駆除を行います。ミミヒゼンダニの場合は、レボリューションなどのスポットオンタイプの薬剤があります。センコウヒゼンダニの場合はイベルメクチンなどの薬を使うことが多いです。 また、殺虫効果のある薬剤の入ったお湯で薬浴や、抗生物質を使用することもあります。

疥癬の予防は、室内の清掃や予防薬の使用、疥癬と思われる動物との接触に注意することです。

ノミアレルギー性皮膚炎

猫の毛が抜ける病気であるノミアレルギー性皮膚炎の治療方法は、抗アレルギー薬、合成副腎皮質ホルモンによる治療と、ノミの駆除です。スポットオンタイプの薬剤の使用と、室内のこまめな清掃が予防となります。

家の外にノミが大量発生することもあるので、庭など家の周りの草取りやノミの駆除が必要となるケースもあります。

日光皮膚炎

猫の毛が抜ける病気のなかで感染や寄生が原因ではありませんが、傷がひどい場合、傷からの細菌感染を防ぐために、抗生物質を使用することがあります。また紫外線を浴びる量を減らすことが予防です。猫用の日焼け止めやUVカットガラス、UVカットフィルムを貼るなどの対策があります。基本的に天気の良い日や、紫外線が強い時期の外出は避けるようにします。

猫の毛が抜ける病気一覧

猫
  • 皮膚糸状菌症
  • 疥癬
  • ノミアレルギー性皮膚炎
  • 日光皮膚炎
  • アレルギー性皮膚炎
  • 扁平上皮ガン
  • ツメダニ症
  • スタッドテイル
  • 好酸球性肉芽腫症候群
  • ニキビダニ
  • 副甲状腺機能亢進症
  • アトピー
  • 心因性脱毛

先述した以外にも猫の毛が抜ける病気は様々な物があります。病名の呼び方が他にもある場合があります。病名を見てわかるように、猫の毛が抜ける病気の原因は菌や寄生虫だけではありません。

一覧にあるような病気の他に、ケガや首輪、ストレスによる過剰グルーミングなどで脱毛してしまうことがあります。猫の毛が抜ける病気や原因は様々なのです。

まとめ

ペットの毛

猫の毛が抜ける病気で多い4種類を取り上げました。猫の毛が抜ける病気の原因は真菌やダニ、ノミ、紫外線でしたが、室内から出さない猫なら安心とは言えません。

飼い主さんが外で他の動物と触れ合う、家のまわりにノミが大量に発生している、猫の抵抗力が弱いなど様々な理由で毛が抜ける病気になる可能性があるのです。

しかし、予防することもできるので、猫の毛が抜ける病気を知って環境を見直すきっかけにしてみてはいかがでしょう。

投稿者

30代 女性 はなこ

うちの猫ちゃんの毛が異常に抜けた時期がありました。
そのときには、換毛期だと思っていたのですが、一部がはげてきましたので、心配になって獣医師に診ていただきました。すると、ストレス性の脱毛症だと言うことがわかりまして、治療が始まりました。全身綺麗にシャンプーをしてもらい泥パックで毛穴の汚れを取り、毛が生えるように、治療用のローションを塗り込んだりしていただきました。あとは、ストレスを除いてあげることが一番なので、猫ちゃんが苦手だったお客さんを一切呼ばないようにして友人とは外で会うことにしました。そうすると、不思議ですがだんだん毛が生えてきまして、元気も出てきました。今はフサフサに生えていてその時以降は脱毛症になることは、ありませんでした。とても、安心しました。

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