不思議な子猫との出会い
私はその当時緑内障で失明をしていた16歳になるガブリエルという老犬を飼っていました。目が見えないとはいえ足腰は元気で、ゆっくりながらも朝晩は散歩に行っていました。
ある日の朝マンションを出ると目の前の空き地に大きな声で鳴く子猫がいました。
猫は飼ったことがなく、それでも動物が大好きな私はどうしたんだろう、お腹がすいているのかなと思ったのですがちょうど女性が餌をあげているのを見て、あーよかった、あの女性の猫なんだなと思いそのまま会社に行きました。
その日の帰りまたマンション前の空き地を通ると朝と同じ猫がこちらを見ておりミャーミャーと鳴いています。すると今度は男性が餌をあげようとしており、どうやら近所の人達も大声で鳴く猫が気になって餌をあげているようでした。
ただ子猫は人が近づくと警戒して逃げてしまい、飼猫ではないように感じました。
気になったものの老犬を飼っていた私は同時に猫を飼う余裕など全くなく、早く誰か保護してくれないかなと思いながらそのまま帰り、犬の散歩にまた外に出ました。
目の見えない愛犬になついた子猫
すると驚いたことに人を警戒していたその猫が私とガブリエルの後をついてくるではありませんか!目が見えないガブリエルは足元にちょろちょろしている猫のにおいを不思議そうに嗅いでいましたが、嫌がるそぶりはなく、子猫はガブリエルにとても甘えていました。
親猫とはぐれたのかもしれず、私はそれから何日か近所で猫を探していないか聞いてまわったのですが飼い主は見当たらず、相変わらず毎晩散歩にでかけると猫がどこからともなく現れて一緒に歩く日々が続きました。
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引き取る決心
だんだんと暑くなってきたある日、マンションの掲示板に敷地の草むらに除草剤を撒く旨が予告されていました。子猫がよくその草むらに潜んでいたため、心配になった私はとうとう飼うことを決め家に連れ帰り、そしてミイと名付けました。
生き物を飼うのは相当な覚悟が必要です。私もその覚悟で引き取ったものの、引き取った当初は夜中にニャーニャー鳴きわめき、またその頃から老犬も痴呆が始まり夜中に徘徊するなど、半年ほどは寝不足が続きとても辛かったことを覚えています。
でも二匹が一緒に寝ている姿には本当に癒されました。
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その後ガブリエルは18歳で亡くなりました。最期はとても辛い介護となりましたが、ガブリエルを介護する私をいつもミイがじっと見ており、励まされるような気持ちになったものです。最期は後悔なくガブリエルを旅立たせてあげられたと思っています。
野良猫だったミイは飼い始めたころは隙をついて家出をしたり(いつも1日で帰ってきます)夜中に暴れたりと半年くらいはとても大変でした。
ガブリエルももとは保護犬で2歳くらいの時にボランティアの方から引き取りました。
最初のころはお留守番をどのようにさせたらよいかわからず、ケージに入れていたところ、それが嫌だったようで、ある日帰るとケージを壊しそのせいで頭から血を流しているガブリエルを見つけその日以来ケージに入れることなくお留守番をさせてもなんの問題もないことに気づいたりと、試行錯誤の日々でした。でもその後16年間一緒にいることができ、すっかり家族になりました。
動物を飼うときは最初必ずといっていいほど苦労するものです。それを当たり前のこととして接し、愛情をもって飼えば動物は必ず深い愛情で返してくれます。
まとめ
動物との出会いは時にとても不思議で、当時私は猫を飼うつもりは一切ありませんでしたが、今思うといつもガブリエルが死んでしまったら酷いペットロスになるだろうなと心配していた私に神様がミイをプレゼントしてくれたようにも感じるのです。
二匹との時間はかけがえのないものになりました。ミイ、私たちのところに来てくれてありがとう!
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