神様が用意した出会い
前世から約束されたご縁 出会いは偶然ではなく必然
ペットとのご縁も人間同士のご縁と同様に、出会うことや出会うタイミングまでもが、すべて決められてこの世に産まれてくるのだそうです。一代目のハナは、あの時の私達家族に必要なご縁でやってきてくれました。
出会いは27年前の夕暮れ時のトンネルの入り口でした
「お姉さんのおうちで飼ってもらえませんか?」
家路を急ぐ私を、子猫を大事そうに抱えた小さな男の子が呼び止めました。小さな男の子がゴミ捨て場にいたところを保護してくれたとのこと。後ろ足がよちよちの小さな小さなキジトラの子猫でした。
当日の我が家のペットといえば手乗りインコや文鳥。通常の私であれば当然「うちでは飼えない」と答えるところでした。しかし、不思議なことに、後にも先にもそんなことはないでしょう、何かに導かれるように突き動かされて、その子猫を男の子から受け取りました。
ひとまず連れて帰りましたが、当然親は猛反対。子供ながらに「一生懸命お世話をする」とか「鳥に危険が及ばないよう気を付けて飼う」とか思いつくあらゆる言葉を並べて、当時、小学生だった妹と一緒に泣いてお願いしました。
猛反対とは言っても、親も命の救助を優先してくれて、猫に暖かい寝床を用意したり、ミルクや哺乳瓶を買いに行ってくれました。子猫は寝床をフミフミして安心したように眠りました。
家族の一員名前は「ハナ」
そして、翌日には晴れて家族の一員となり、ハナと名付けました。天真爛漫で明るい性格、食いしん坊、いたずら大好き、お茶目。お転婆さんで健康優良児でした。家族の中でワイワイキャピキャピしている感じで、元気いっぱいにすくすく成長していきました。
ハナを迎えて大変だったこと
野良猫出身!ワイルドなハナ
きっとハナの親達も、野良猫の中の野良猫だったのでしょう。ハナもその血を受け継いだのかワイルドな猫さんでした。いたずらがとにかく派手でハラハラさせられました。
- 障子や網戸をビリビリに破く
- 木から降りられなくなって脚立で救出
- どこでも爪とぎしてしまう
- 野良猫さんと戦い名誉の負傷で通院
- 鳥やトカゲを捕まえてお土産に持って帰ってきてしまう
- 女子とは思えないほどの有り余る食欲
「ダメよ」と注意すると、攻撃的になったり逆ギレしてもっと悪いことをやったりしていました。当時は猫飼い初心者の我々、保護された野良猫出身のワイルドな猫に、家のルールを教えたり躾するのが難しいことを思い知らされました。
手乗りインコや文鳥を襲わずに同居できるのか?
可愛がっている鳥達に襲い掛からないか、それが大問題でした。籠から出て遊んでいる時は別室に、しかし子猫時代に一度だけ籠越しに引っ掻きインコが流血する事件が起こりました。
こっぴどく叱られて、それ以来二度とやりませんでしたが、本能を抑えて我慢しているのか「おいしそう♪」とペロンと舌なめずりしてしまったりで、気の毒かつハラハラでした。
しかしシニアになる頃には、すっかり達観したのか、鳥籠のそばでのんびり昼寝しながらお留守番するようになりました。
ハナを迎えてよかったこと
いつも見守っていてくれた
ハナは24歳2か月迄、私達に寄り添ってくれました。帰宅時の玄関でのお出迎え、寝込んでいる枕元に心配そうなお見舞い。
受験勉強の夜更かしも、朝まで付き合ってそばにいてくれました。失恋して泣きはらした夜も、まん丸の目でずっと見つめていました。親子喧嘩も兄弟喧嘩も「喧嘩はだめnya」と、家族の喜びも悲しみもすべて見てきたのがハナ、それが家族なのだとつくづく思う今日この頃です。
そこにいてくれるだけで
大人になり帰宅時間も遅く家に滞在する時間が短くなりました。ハナがいることが当たり前過ぎて・・一方ハナも、月日が流れておばあちゃん猫になりました。
あんなにお転婆で走り回っていたのが嘘のように一日の大半を寝てばかり、長生きゆえに足もよぼよぼ、白内障になり視力も失いました。
どんな姿でもそこにハナがいてくれるだけで。
ハナも目が見えなくても誰が近くに来たのかすべてわかっているようで、顔を上げて嬉しそうな表情をしていました。完全に失明してからの顔が赤ちゃん時代のようで、愛おしくてたまりませんでした。
天寿全うの意味を教えてくれた
芽吹きぐんぐん成長し、やがて晩秋には紅葉して葉を落とし、枯れて土に還る・・
当たり前の自然の摂理、人も動物も同じであるとハナが教えてくれました。寿命が尽きるその日が来るまで無心に生きてその日まで頑張る、そしてその日が来たらすっと旅立つのだと教えてくれました。
ハナは16歳の時に猫風邪にかかり瀕死の状態になりましたが、「ずっと一緒にいてくれるよね?死なないで」と泣いたら、ハナは私を置いて旅立てないと思ったのか奇跡的に復活しました。
それから8年。「ずっと一緒にいなくては」と長く生きて見守ってくれたのだと思います。最後の一か月は老衰で寝込みましたがよく頑張りました。旅立ちの日は家族全員が揃っている日曜の夜中の3時半頃を選んでくれました。
徹夜でずっと付き添って「いい子」「おりこうさん」と撫でながら声をかけて安心させました。
そして旅立ちの時、一か月近く鳴き声をあげられないほど弱っていたのに、全身の力を振り絞って「ニャーーン」と大きな声で鳴いてすっと旅立ちました。
私も泣きながら「ハナちゃん、ありがとう」と。
あのニャーンは「さようなら」だったのか「ありがとう」だったのか「また会えるよ」だったのか、、、
現在のハナは
ハナは、たくさん遊んだお庭の片隅の蝋梅の木のふもとに眠っています。ハナを見送って3年4か月。二代目の小梅に巡り合えました。ハナが違う毛皮に着替えてやってきてくれたのでしょうか。
今年の早春、ハナが眠る蝋梅の木はいつになくたくさんの黄色い可憐なお花を咲かせてくれました。「ずっと一緒にいるよ」というハナからのメッセージのような気がして、ずっとずっと眺めていました。
まとめ 「家族の歴史と共に」
ハナを思い出す風景は、まだ若かった両親と子供だった私達がリビングで団らんしているところに「にゃーん」と尻尾をピンと立てながら仲間入りするハナ。泣いたり笑ったりとても懐かしく家族の歴史が思い出されます。
あの時の家族の風景、、、どなたの胸の中にもあることでしょう。
そこにいつも一緒にいてくれて共に歴史を刻むペット達。しかし無常にも時は流れます。両親も年老いて私達も大人になり、私達より早く年を取るペットは先に天国に旅立ちます。
そういうものだから、ペットや家族との日々を大切に、この瞬間を心から楽しんで共に生きていきましょう。