ゲージの中の小さな子猫
初めて飼った愛猫を交通事故で亡くし、それから私と娘は抜け殻のようでした
首輪やおもちゃを捨てられないまま、涙に暮れる日を過ごしていたのです。「もう二度と生き物は飼わない」そう思っていたのに、あの柔らかで温かいぬくもりにまた触れたくなっていました。
市の動物保護センターに電話をすると今保護している猫はいないので、来たら連絡するとの事。
待ち遠しい日が悲しみを少し忘れさせてくれました。それから半年後、ちょうど愛猫が亡くなってから一年経った頃です。電話が鳴り3匹の子猫がいるとの連絡があり、娘と一緒に逸る気持ちを抑えながら保護センターへ向かいました。
案内されたゲージの中には子猫が3匹、真っ白い子とサバ白の子が2匹入っていてミルクを飲んでいるところでした。どの子も可愛いと見ていたところ、1匹の子がミルクを飲むのをやめて私の方をジッと見つめてきたのです。
サバ白のやや小さい方の子でした。目が合った瞬間、運命を感じてその子を連れて帰ることにしました。
猫の温もり再び
「前の子に似てる」、そう娘が言いました
毛の色も大きくつぶらな瞳も確かに似ています。もしかしたら生まれ変わってまた私たちの所へ来てくれたのかもしれないとさえ思いました。
バスタオルにくるまるその姿に、可愛いとか嬉しいとかではない不思議な感情が体の中を駆け巡り涙がこぼれて止まらなかったのを覚えています。
名前は「なつめ」とつけました。
おっとりした性格で小さな声で「なぁーーん」と申し訳なさそうに鳴くところがとてもいじらしく、私たちはなつめに夢中になりました。
トイレやお風呂に入っていると、出るまでドアの外でずっと待っていてくれます。出ると一鳴きしてからトコトコと部屋へ戻っていくのです。
寂しいのか、もしかしたら心配で見守ってくれているのか、どちらにしても慕ってくれている様子が可愛くてたまりませんでした。
おねだりも上手に、撫でてもらうのが大好き
よく寝て、よく遊び、よく食べる健康そのもののなつめです
人間の言葉もわかるようで名前を呼ぶと寄ってきますし、おやつやごはんの言葉を口にするとどこにいても飛んできます。
食いしん坊さんでやや太り気味ですがこのふくふくした感じがまたたまりません。撫でてもらうのが大好きで、寝転がっておねだりのポーズをします。
こんなときこそ鳴けばいいのに、ひたすらこのポーズで待っているのです。テレビを見ていてふと振り返ると、いつからしているの?というくらいずっとこのままの状態なので思わず笑ってしまいます。
「健気な子」、これがなつめの代名詞になりました。待っていてくれた時間分、たっぷり撫でてあげます。いい加減なところまでくると「もういいよ」と言わんばかりに突然噛んできてそこで終了です。
癒される毎日
子猫の頃の面影そのままに、とても美人さんに成長しました
ふわふわした温かいそのぬくもりに、小さな鳴き声に、寝顔に、癒されています。この子を迎えて良かったと本当に思います。
現在3匹いる我が家の猫たちですが、年長者のなつめが1番控えめです。おっとりした性格はそのままで、ご飯もおもちゃも他の2匹に先を越されてしまっています。
そんななつめが愛おしくてたまりません。一緒にいる時間を大切に、大切に過ごして行きたいと思っています。
まとめ
生き物は必ず旅立つ時が来ます。その悲しみを味わうのが嫌でもう飼わないと決めました。
しかし、この子たちがいるだけで笑顔が生まれ、幸せな気持ちに包まれます。今となっては大事な家族、共に暮らすかけがいのない存在です。これからもどうぞよろしくね、なつめ。