猫が出てくる昔話
1 猫の恩返し
猫の恩返しは、貧乏寺の和尚さんと三毛猫の話です。
化け猫になってしまった三毛猫が、和尚さんとお別れをしますが、長年、可愛がってくれた和尚さんのそばに現れ、『私に恩返しをさせてください』といいます。
三毛猫のおかげで、貧乏寺の和尚さんの評判が村人たちの間で上がり、お寺が立派に生まれ変わって一生幸せに暮らしたというお話があります。
2 猫女房
この昔話は、貧乏な男と欲深い男と猫の話です。
欲深い男が、猫に餌をあげるのが惜しくて捨ててしまいます。そこで貧乏な男が猫を預かり、とても優しく育てたのです。
その男が猫に、『お前が人間ならば、暮らしが少しは楽になるのにな』と呟いたそうです。それを聞いた猫は、男のために恩返しがしたいと、何日間か家を空けてお伊勢参りをしました。
すると、神様が猫を人間の美しい娘にしてくれたそうです。そして男と娘は、めでたく夫婦になり、二人でせっせと働き、暮らしも豊かになり幸せに暮らしたというお話です。
3 ネズミの彫りもの
ネズミの彫りものと言って、これは愉快な人達のお話です。
吉四六という名の、広田吉右衛門さんのお話です。
ある日、庄屋とネズミ彫りをして、どちらが上手に彫れたかを競い合うことになりました。
負けず嫌いな性格の吉四六さんは、ネズミを一晩かけて彫りました。出来上がった彫りものは、どう見ても庄屋の方が素晴らしいのです。
勝ち負けを猫に決めさせたのですが、猫は不細工な吉四六のネズミの彫りものを選びました。どうやら、吉四六のネズミの彫りものは、鰹節で彫られていたからだそうです。
4 竜宮猫
竜宮猫の昔話は、三人姉妹の末娘夫婦に幸運をくれるお話です。
末娘夫婦は貧乏でろくに親孝行ができず、母親にこき使われても、文句が言えなかったそうです。柴を持っては、娘の母に挨拶をしにいく気の良い夫だったと言います。
ある時夫が、こき使われ続けるのに疲れ、柴を竜宮に流したそうです。すると、竜宮から乙姫が現れ猫を頂いたのですが、猫に毎日小豆を1合食わせれば良いと聞かされたのです。
娘夫婦は、毎日猫に小豆を1合食わせていると、またたく間に大金持ちになったのです。それを知った母親が、猫を連れて帰り、毎日猫に小豆を3合ずつ与えたのです。
猫はすぐに死んでしまいましたが、娘夫婦が心を痛ませ、猫を裏庭に埋めてあげたのです。すると、その墓の竹から風が吹くたびに、黄金が降ってきたそうです。
5 大工とねこ
大工のサスケと猫のタマの心温まるお話があります。
女房に先立たれた大工のサスケは、猫と暮らしていました。
とても仲良く暮らしていましたが、サスケは眼病に冒され仕事ができなくなりました。治療もしてもらえないと言うのです。
仕事ができずに、猫にご飯もやれなくなってしまいました。サスケは猫のタマに悩みを打ち明けたのです。
すると不憫に思ったタマは、サスケの目をしきりに舐めたのです。すると次第に、サスケの目の濁りが消えてなくなったそうです。
サスケは病気が回復したのですが、タマが病気になり、目が濁って見えなくなってしまったそうです。
しかし、サスケは助けてくれたタマを今まで以上に大切に育てて、幸せに不自由なく暮らしたと言うお話です。
まとめ
猫が出てくる昔話をいくつか紹介しました。猫の昔話は、怖い話や不思議な話が多いと思っていましたが、そうでもないですね。
猫のお話は、感動する話がたくさんありました。猫を大切に可愛がり育てると、恩返しをしてくれるお話が多くあります。
化け猫と聞くと、嫌なイメージがありましたが、猫の不思議さがうまく描かれていると思いました。