愛猫マオとのドタバタ日記
もしもあの瞬間が…
「もしも少しでもあの瞬間がずれてたら…」という西野カナさんの歌があります。この歌のフレーズを聞くたびに、私は愛猫マオとの出会いを思い出します。
愛猫マオとの出会い
5年ほど前の秋のことです。当時我が家では犬を一匹飼っており、マオと出会ったのはその犬の散歩の途中でした。犬の散歩は午前と午後に一回づつ、午後は私が散歩に連れて行くことが多かったのですが、連れていく時間やコースは毎日変えていました。
きっちり時間やコースを決めていなかったのは、そうすると犬はそれを覚えてしまい、その時間に催促するようになるからです。だから毎日の散歩の時間やコースは、その日の私の気分次第という感じでした。
たまたまその時間に、たまたまそのコースを歩き、そして、途中の雑木林にまだ子猫のマオはいました。
私は周囲を見回しましたが、飼い主、あるいは母猫や兄弟猫の存在は確認できませんでした。その子を抱き上げ私は家に帰ろうとしました。
片手に子猫、もう片手に犬のリードというのは少々コントロールが難しく、子猫は一度私の腕からするりと抜けて走って逃げようとしましたが、犬を近くの電柱に固定して子猫を追いかけて捕まえ、何とか無事家に入れてあげることができました。
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帰宅してからはまず、台所の流しで子猫の体を洗ってあげました。その後、餌を与えるとむしゃむしゃと食べてくれクッションの上で眠ってくれたのでほっとしました。
寄生虫だったのか!
子猫の名はいろいろ考えた後「マオ」に決めました。
実は拾った当初、その子猫がオスなのかメスなのかもわからず、どっちでも通用するかなと思ったからです。女の子ならフィギュアスケーターの浅田真央さんなどが有名ですし、男の子でも昔読んだ漫画の中にそんな名のキャラがいたからです。
動物病院へ
健康診断のため私はマオを近所の動物病院に連れて行きました。獣医さんが言うには男の子、オスでした。そして血液検査、これは異常が見つからずまず安心、ただ便からは寄生虫の卵が確認されました。
「外をさまよっていた時にカエルやヘビを食べたのかしらね。」
と、獣医さんはいい、虫を出すための飲み薬をくれました。
お薬を飲んでくれない
これが小指の先にのるほどの小さな薬なのに子猫が飲んでくれません。犬ならフィラリアの薬でもお菓子感覚でパクパク食べてくれるのに、マオはえさに混ぜてもそれだけ避けて食べるし、大好きなウエットのフードに埋め込んでも避ける、仕方がないので小さなすり鉢ですりおろして粉末にして餌にかけて食べさせたりしていました。
事件
そして一週間ほどたった日の朝、二階の寝室から降りてマオを寝かせている一階のリビングに入ると驚愕の風景が広がっていたのです。
トイレはちゃんと覚えていたはずなのに、あちらこちらに下痢気味のうんちをまき散らかし、そして肛門からは細長い節のある何かが垂れ下がっていたのです。
見た目がホルモンの特定の部位に似ていたので私はマオの腸がはみ出てこのようなことになってしまっているのだと思い込みました。
土曜日だったけど朝一で病院に電話し獣医につれていきました。
すると、「薬を飲んだから虫が出たのですね。条虫ですよ。」
と、獣医さんは病院内に張られている条虫のイラストを指さしました。
そしてその虫を手でつまんで引っ張るとするっと抜けていきました。
「それでいいのですか?」
「はい、抜けますから。」
いやはや、だって猫の寄生虫なんて見たのは初めてでしたからね。とんでもない病気なのではと勘違いをし、先立つもの、つまりお金についても心配し、あたふたしましたが、治療はあっけなく済みました。ただその後のリビングの掃除は大変でしたけど。
今ではすっかり…
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子猫のころはやんちゃの限りを尽くしてきたマオですが、去勢手術を終えてからはおとなしくなり、現在5歳、人間で言うならすっかりおじさんのマオはちょっとぽっちゃり気味のまったりとした性格になっています。
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相棒の仲良し猫が虹の橋のたもとに逝ってしまってからは、甘えん坊度が増したような気がし、それで少々てこずるときもあります。いつもいつも要求を聞いてあげられるわけではないですから。
マオがそれでもおねだりでにゃんにゃんと鳴き、それに私がしゃべって答えているのを、夫は会話をしているなどと言います。そんなふうにみえるのでしょうか。
確かに猫は鳴き声のトーンで気持ちの表現をするので、それがこっちにもけっこうしっかり伝わってきますからね。
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まとめ
今では切っても切れない関係となった家族とマオ。
もしあの日、犬の散歩で別の時間やコースをとっていたらこの日々はなかったのです。
そう思うと目に言えない何かが、私にその時間とコースを選ばせてマオと出逢わせてくれた、と思うことが時々あります。子猫の飼育は初めてで、いろいろあたふたしたことも多くありましたが、今ではいい思い出、心の宝物です。