暗い所での猫の目の特徴
暗い所でも見えている
猫は夜行性の動物でで、暗いところでも目が見えていると言います。もっと正確に言うと、猫は薄明薄暮性の動物で薄暗い所で物を見ることが人間よりはるかに得意です。
目は、瞳孔の形や大きさを変えて目の中に入る光の量を調節します。
猫は明るい場所では瞳孔を細くすることで、入る光の量を減らしています。
余談ですが、計測された猫の瞳孔の幅についてのデータの中で最大の幅は14ミリメートルで、また猫の瞳孔は最小で0.5ミリメートル程にまで細くなるそうです。
また猫も、物を見るのには多少の光は必要です。真っ暗闇では見えません。
網膜には、明暗を感知する「杆状体」と色を感知する「錐状体」があります。
猫には、人間よりも多くの割合で杆状体の方が多くを持ち、またその杆状体が必要とする光の量も人間よりも少ないため、暗い所でも物を見ることができるそうです。猫が物を見るのに必要とする光の最低量は人間の約1/6と言われています。
猫には、杆状体の方が多く暗闇でも動きを見分けることができるそうです。
猫の目が暗闇で光る理由
網膜のさらに奥裏には「タペタム」と言う細胞層があり、光を反射させる反射板の役割をします。
入ってきた光を反射して網膜に返すことで、網膜に入る光を倍増させることができます。
猫の目が光るのはタペタムに光が反射して起こる現象です。
その反射板にあたって跳ね返されたが光が、暗い所で大きく開いている瞳孔を通して見えるので目が光って見えるということです。
知らなかった猫の目の特徴
猫は紫外線を見ているかもしれない
外国の研究により、猫は紫外線を見ることができる可能性があると言われています。
人間の水晶体は、紫外線を吸収してしまうので、人間は紫外線を見ることができないのですが、猫を含めた多くの哺乳類の水晶体は紫外線を通すことができるのだそうです。
色覚については、猫は人間ほどには色の識別ができないので、「グレー」が多い世界を見ていると言われています。色を全く識別できずに白黒だけで物を見ているわけではありません。
紫外線については、猫の水晶体が紫外線A波を通すことが分かっただけで、人間の目には見えない紫外線について、紫外線による猫の網膜の細胞への刺激がどのように処理されているのか、その刺激がどのように猫の脳で処理され紫外線がどのように認識されているのかはまだ不明です。
【論文の紹介】
上で紹介されている研究は以下の論文のものになります。
Douglas, R. H., & Jeffery, G. (2014). The spectral transmission of ocular media suggests ultraviolet sensitivity is widespread among mammals. Proceedings. Biological sciences, 281(1780), 20132995.
https://doi.org/10.1098/rspb.2013.2995
猫の視力はどのくらい?
猫は、遠く離れた獲物を見つける能力があるから、目も良く見えていると思いませんか?
実は、猫の視力は解像度という意味では0.1~0.2くらいで、人間の1/10程だそうです。また、最も物がはっきり見えるの距離は75cmで、猫は近視だと言えるそうです。
しかし、猫の動体視力は優れていて、1秒間に0.4cmというわずかな動きを感知できるそうです。これは猫の狩りの対象となることが多いネズミなどの小動物の動きをとらえるのに適した能力です。また逆にゆっくり動くもの(1秒間に1~3回程度の動き)は認識しづらく、「動いている」とは見えないそうです。
つまり猫にとっては、その程度にゆっくり動くものは「止まって見える」らしいのです。
猫にカメラのフラッシュは良くない
カメラのフラッシュは危険?
猫にカメラのフラッシュをあてると、失明するとも言われていますが、どうしてでしょうか?
猫の目は、網膜に当たる光が出来るだけ多くなる仕組みになっているので、強い光の刺激で網膜障害を起こす可能性があるからです。
猫が1回フラッシュを浴びただけで失明する可能性はないと考えられますが、暗い所で光を多く取り入れるために瞳孔が開いているところに急にカメラのフラッシュのような強い光を浴びせることは、やはり猫の目にも精神的にも良くないでしょう。
フラッシュのせいで直接網膜が障害されなくても、急な強い光によって猫が恐怖や苦痛を感じ、そのストレスから高血圧とそれに引き続く網膜の損傷が起きたと推測されるケースもあるようです。
失明しなくてもフラッシュにより、目に損傷を起こしたり、猫がとてもびっくりしたりする可能性があるので、避ける方が良いということです。
まとめ
暗闇で猫の目が光る理由をまとめました。
猫の目は、大きく綺麗に見える時があるのも細く鋭く見える時があるのも、目に入る光の量をうまく調節している取り入れるためです。
猫の目は、狩りをするのに適した構造を持つ目だと言えます。
猫の目の視力(解像度)は人間より悪くても、人間よりも視野が広いことや、暗いところでも動くものを捉えることができます。色は鮮やかに見えていなくても、素早い動きについていける動体視力は凄いなど、プラスとマイナスを猫本来の生活様式に合わせてうまく兼ね揃えている目だと思います。
猫にカメラを向けると顔を背けるのは、カメラのレンズからフラッシュがでるのが苦痛と言うこともあるのかも知れません。
フラッシュにより猫の目を傷めないように、他の方法で写真におさめるようにしていきたいです。