難しい「甲状腺異常」の早期診断

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猫の甲状腺機能亢進症は、10歳以上の高齢猫の約1割が発症するといわれています。いま韓国では、この病気の精密な診断のために放射性医薬品を開発する動きが本格化しています。
2025年12月17日に韓国原子力研究所(KAERI)は、猫の甲状腺機能亢進症の注射診断薬「TechneKitty」の臨床試験を開始したと発表しました。昨年臨床実験が承認された治療薬「ThyroKitty」に続くものです。
甲状腺機能亢進症にかかった猫を治療しないでおくと、心血管疾患を発症する可能性が高くなります。このため早期診断と治療の開始はとても重要です。これまでは血液検査と超音波検査で診断するしかありませんでした。しかしこの病気は初期の段階では血液検査でも正常値になることがあるほか、超音波検査では異常を特定することが難しいために、早めの診断には限界がありました。
コンピューターを使って撮影・分析

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TechneKittyはテクネチウム99mをもとにした診断薬で、「甲状腺がヨウ素を吸収してホルモンを合成する原理」を利用して開発されました。この薬を投与すると、成分がヨウ素と同じように作用して甲状腺に蓄積されます。その上でコンピュータ断層撮影による3D画像を映すと、吸収された部位が明るく表示されるのです。
この明るさの度合いや分布のようすを分析することで、甲状腺機能の亢進症や低下症の正確な診断ができるとともに、異常部位の特定、病変転移の有無などを判定することが可能になるのです。
動物植物検疫本部(APQA)から承認を受けたKAERIでは、42匹の猫を対象とした臨床試験を始めます。まずは忠北国立大学獣医医療センターを拠点にして、健康な猫と甲状腺機能亢進症が疑われる猫とを比較・観察する試験を1年間にわたって行うことになります。
今後の「ペット新薬」市場に期待も

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こうした試験は、2022年からKAERIが韓国農林食品技術企画評価研究院の補助を受けて取り組んでいるもので、企業や大学と共同で研究を続けてきています。研究チームのリーダーをつとめるのはLim Jae-cheong博士です。
ハナロ量子科学研究所のJung Young-wook所長は、「治療薬に引き続き、今回の診断薬について臨床試験が認められたことは、ペット用の新薬開発が一定のプロセスをへて進められるようになったことを意味します。
診断薬を韓国国内で製造できるようになれば、国内のペット医療市場だけでなく、アジア各国への輸出の可能性も広がっていきます。今後はこの市場を韓国がリードしていくことを期待しています」と話しています。
出典:Korean institute begins clinical trial of new feline hyperthyroidism diagnostic