猫が『暇を持て余している』ときにみせるサイン5選 退屈そうな愛猫のためにできることとは

猫が『暇を持て余している』ときにみせるサイン5選 退屈そうな愛猫のためにできることとは

「うちの猫、最近なんだか元気がないみたい…」と感じていませんか?実はそれは、猫が退屈しているサインかもしれません。本記事では、あなたの愛猫が「もっと遊びたい!」とひそかに訴えている行動と、家ですぐにできる簡単な遊びや環境の工夫についてご紹介します。

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記事の監修

麻布大学獣医学部獣医学科卒業後、神奈川県内の動物病院にて勤務。獣医師の電話相談窓口やペットショップの巡回を経て、横浜市に自身の動物病院を開院。開院後、ASC永田の皮膚科塾を修了。皮膚科や小児科、産科分野に興味があり、日々の診療で力を入れさせていただいています。

猫が「暇を持て余している」ときにみせる5つのサイン

ソファでだらける猫

1.いたずらや問題行動が増える

猫が家の中の家具や壁を執拗に引っかく、置いてある物を棚から落とす、またはゴミ箱を漁って中身を散らかすといった行動が増えたら、それは退屈している証拠かもしれません。

これらの行動は、猫が遊ぶ対象や獲物の代わりに、身近にある物を使って狩りの練習やエネルギーの発散をしようとしているためです。

特に、壁やソファを引っかくのは、爪を研ぐ目的だけでなく、自分の縄張りに印をつける意味もありますが、退屈からくる破壊行動が混ざっていることもあります。

このような問題行動を減らすためには、怒るのではなく、代わりに引っかいていい場所(爪とぎ)を増やしたり、噛んで遊べるおもちゃを与えたりして、正しい場所でエネルギーを使えるように誘導してあげることが大切です。

2.異常に体を舐める・毛をむしる

猫が自分の体を必要以上に舐めすぎる行動も、暇やストレスが原因で起こることがあります。

同じ場所ばかりを繰り返し舐め続け、その結果、毛が薄くなったり、皮膚が赤くなってしまったりすることを自咬症(じこうしょう)といいます。

これは、猫が不安や退屈な感情を紛らわせようとして、舐めるという落ち着くための行動に依存してしまうことで起こります。

もしこのサインが見られたら、まずは皮膚病などの病気がないかを動物病院で確認してもらう必要があります。

病気ではないとわかったら、遊びの時間を増やしたり、部屋の環境を変えたりして、猫が舐めること以外の別の活動に興味を持てるように刺激を与えてあげるようにしましょう。

3.飼い主をしつこく起こす・要求する

朝早く、まだ飼い主が寝ている時間に、猫が大声で鳴く、顔や体を叩いてくる、または食器の前で執拗にご飯をねだるといった行動も、退屈のサインのひとつです。

これは、猫が「今すぐ遊んでほしい」「かまってほしい」という強い要求を表しています。特に夜明け前は、猫の狩りの本能が最も高まる時間帯なので、エネルギーを発散させたい気持ちが強くなるようです。

この要求にすぐに応えてしまうと、猫は「鳴けば(叩けば)要求が通る」と学習してしまい、行動がエスカレートすることがあります。

そのため、要求してきたときにすぐに応じるのではなく、無視して落ち着いたタイミングで要求を満たしてあげるなど、メリハリのある対応をとるようにしましょう。

4.過剰な食欲や異食行動

猫が急にご飯を食べる量が増えたり、早食いになったりするのも、退屈からくるストレスの可能性があります。

暇を持て余していると、食べる行為に喜びや刺激を求めようとすることがあります。また、毛布やビニール、ひもなど、食べ物ではないものを口に入れてしまう「異食行動」も、退屈や不安が原因で起こることが知られています。

異食行動は、腸に詰まるなどの大きな危険を伴うので注意が必要です。飼い主は、食事の回数を増やして少しずつ与えるようにしたり、早食い防止の食器を使ったりして、食事時間を長くしてあげましょう。

異食行動が見られる場合は、直ちにその物を片付け、遊びで満足感を与えることが重要です。きちんと扉や引き出しを閉めて、手の届かないようにできる場所に片づけることをおすすめします。

5.無気力や過度な睡眠

一見すると大人しくて手がかからないように見える、無気力で寝てばかりいる状態も、実は退屈やストレスのサインである可能性があります。

猫は、エネルギーが有り余っているのに刺激がない環境にいると、「どうせ何も面白いことはない」と諦めてしまい、活動を停止してしまうことがあります。

これは「学習性無力感」に似た状態です。また、過度な睡眠は、病気のサインである可能性も考えられますが、ただ退屈なだけの場合もあります。

飼い主は、愛猫が寝ていると思っても、短時間でも毎日決まった時間にねこじゃらしなどで誘いかけて、遊びの機会を積極的に作ってあげることが大切です。

退屈そうな愛猫のためにできること

退屈そうな猫

遊びを通じて「狩り」の満足を与える

猫の退屈を解消する最も効果的な方法は、「狩り」を体験させてあげることです。単にねこじゃらしを振るだけでなく、猫が獲物だと思えるような動きの工夫が必要です。

たとえば、素早く動かしたり、家具の陰に隠したり、少し休ませてから逃げたりと、獲物の動きを真似てみましょう。

遊びの時間は1日10~15分を数回に分けて行うと効果的です。そして最も大切なのは、遊びの最後に必ず猫に獲物(おもちゃ)を捕まえさせてあげることです。

「捕まえた!」という成功体験が、猫の心を満たし、ストレスを解消することにつながります。

留守番中でも楽しめる環境を作る

飼い主が仕事などで留守にしている間も、猫が一人で楽しめるように環境を整えてあげることが大切です。

留守番中の退屈対策として有効なのが、知育トイと呼ばれるおやつを隠せるおもちゃです。猫は頭を使いながらおやつを取り出そうとするため、遊びと食事を同時に楽しめ、集中力と満足感を得ることができます。

また、外の様子を眺められる窓辺に、安全な居場所を作ってあげるのも良い方法です。動く鳥や虫を見ることは、猫にとって良い刺激になります。

このとき、窓や網戸の安全対策を忘れずに行い、脱走や事故を防ぐようにしましょう。

安全な場所で体を動かせるようにする

猫の運動不足と退屈を同時に解消するためには、部屋の中に高低差を作り、上り下りができるようにしてあげましょう。

キャットタワーやステップ、家具の配置を工夫して、猫が安全に飛び乗ったり降りたりできるルートを作ってあげると喜びます。

また、新しいものに対する探求心を満たすために、紙袋や段ボールで作った隠れられるトンネルや箱を用意してあげるのも効果的です。

ただし、いつまでも同じおもちゃを出しておくと飽きてしまうので、いくつかのおもちゃをローテーションで入れ替えたり、しばらく隠しておいて新鮮さを保つ工夫も必要となるでしょう。

まとめ

暇そうにこちらを見る猫

猫がみせるいたずらや過度な要求は、退屈やストレスによるSOSです。分離不安症など、問題行動などの可能性もあり得ます。

飼い主は、猫の退屈サインを見逃さず、遊びや環境の工夫を通じて狩りの本能を満たしてあげることが大切です。問題行動がエスカレートする場合や、改善しない場合は獣医師など専門家に相談することもおすすめです。

愛情を込めて猫の心と体の健康をサポートし、毎日を豊かにしてあげましょうね。

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