猫に『アルコール』が絶対NGな理由2つ 危険な中毒症状や誤飲時の対処法を解説

猫に『アルコール』が絶対NGな理由2つ 危険な中毒症状や誤飲時の対処法を解説

「お酒」は人間の嗜好品として身近な存在です。ただ、猫にとっては命に関わる危険物となります。では、なぜ猫にアルコールが「絶対NG」なのか?今回はその理由や危険性、もし誤飲したときの対処法などを解説します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

猫に『アルコール』が絶対NGな理由2つ

ウイスキーボトルをみつめる猫

1.少量で中毒になりかねないから

猫にアルコールがNGな理由のひとつ目は、猫は人間と比べて体重に対するアルコールの致死量が極めて低い点です。

まず猫のアルコールの致死量ですが、個体差がありますが約5.6ml/kgと言われますが、しっかりとした明確な量はわかっていません。ただ少量でも中毒を引き起こしますので、少量の料理酒や、アルコール度数の低いビールでも深刻な中毒症状を引き起こすのに十分な量となってしまいます。

このように「少量で致命的」という点が、猫にアルコールがNGな理由のひとつです。

2.アルコール分解酵素を持っていない

猫にアルコールがNGな理由の2つ目が、「アルコール分解酵素」を持っていない点です。

人間はアルコールを体内で分解・無毒化する主要な酵素として、「アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)」や「アセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALDH)」などをもつため、適量であればお酒を楽しめます。

しかし猫の場合は、そういったアルコール分解酵素を持っていないので、血液中に成分が留まり、脳や肝臓などの重要な臓器にダメージを与え続けてしまうのです。

猫だけでなく、多くの動物はアルコールを分解できません。人間がほろよいする量でも、猫にとっては分解しきれない猛毒となってしまいます。

アルコール誤飲で起こる主な中毒症状とリスク

「TOXIC」と書かれた髑髏

猫がアルコールを摂取してしまった場合、摂取量や体重、空腹状態などによって症状の重さは異なりますが、たとえごく少量でも深刻な影響が出る可能性があります。

主な症状としては、以下のようなものがあります。

  • 足がふらつく、ふらふらする(歩行不能や千鳥足)
  • ぼんやりぐったりする、反応が鈍い、意識が朦朧とする
  • 嘔吐、よだれ、下痢
  • 呼吸数の減少、心肺機能の低下、低体温
  • 痙攣、昏睡、呼吸停止

などです。猫が口にする可能性があるのは、ビールやワインなどの酒類だけではありません。

手指消毒用アルコール、化粧品、口腔ケア用品、清掃用品など、日常に潜む「アルコール含有製品」すべてが中毒や誤飲のリスクになり得ます。

アルコールに自ら近づいていく猫は少ないですが、個体差があって“絶対”はないもの。危険因子は取り除いておきましょう。

猫が誤飲したら?すべき対処と注意点

動物病院で診察を受ける猫

猫がアルコールを誤飲してしまったら、なるべく早く動物病院に連れていってください。

個体差がありますが、アルコールを摂取してから症状が現れるまでの時間は、通常は30〜60分程度。

すなわち、もし猫が誤ってなめた・飲んだ可能性がある場合は、時間との勝負と言えます。

くれぐれも無理やり吐かせようとする・人間用の薬を与える・水を大量に飲ませるといった対処はとらないようにしましょう!逆に状態を悪化させる原因にもなりかねません。

アルコールを誤飲したら、とにかく迅速に動物病院に連れていくこと。その際は何をいつどのくらい摂取したかを伝えられるようにしておくとベターです。

まとめ

お酒を飲む飼い主と猫

猫にとって、アルコールは「飲み物」ではなく、命を脅かす危険物です。

しかもそれが含まれるのは、お酒だけではありません。たとえば消毒液、化粧品、調味料、発酵食品など、人間の生活空間のいたるところに存在します。

猫の好奇心や習性を踏まえれば、飼い主が意識して管理しない限り、誤飲リスクは常にゼロにはならないでしょう。

そのため、ぜひ今日から「決して与えない」そして「誤飲させない環境を徹底的に整える」生活を意識しながら、猫との暮らしを始めてみてくださいね。

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