︎ドライフードの酸化とは

ドライフードは開封した直後から、空気に触れることで酸化が始まります。
ドライフードの中には、様々な成分が含まれますが、その中の「脂肪」が酸素と化学反応すると、フードに様々な悪影響をもたらします。
また、紫外線に触れることで脂肪は酸素の影響をより受けやすくなり、酸化を促進させてしまいます。
︎酸化したフードを与えるリスク

1.ご飯を食べなくなる
ドライフードが酸化すると、最初に起こるのが味と匂いの変化です。人間でも、時間が経過した味や匂いの変わってしまった食べ物は食べたくないのと同じように、猫も本能的に味や匂いが新鮮ではないものは、食べなくなります。
ドライフードを開けてから時間が経っており、匂いの変化やベタつきのあるフードは与えないようにしましょう。
2.嘔吐や下痢
ドライフードに含まれる脂肪が酸化すると「アルデヒド」や「ケトン」といった有害な刺激物質に変わります。これらの刺激物質は腸を傷つけて炎症を起こします。
そのため、下痢、嘔吐、食欲不振などの消化器疾患を引き起こします。
白っぽい斑点や粉がドライフードの表面に付いているのは酸化している証拠ですので、フードを与える前に毎回酸化していないかチェックしましょう。
3.栄養が損なわれる
ドライフードには様々な栄養素が含まれていますが、その中でもビタミンEは酸化により分解されやすくなる傾向があります。ビタミンEが不足すると、食欲低下、発熱、背中やお腹を触ると痛がる、歩きたがらない、下痢、嘔吐、毛ヅヤが悪くなるなどの症状が見られます。
また、脂肪が酸化してしまうと、その中に含まれている良質な脂も壊れてしまいます。
特に、近年多くのフードに使われるようになってきた「オメガ3脂肪酸」は、猫の皮膚、関節疾患、アンチエイジングなど幅広く効果のある成分で、サプリメントとしても使用される万能な脂ですが、これらも酸化することで効果が期待できなくなってしまう可能性が高いです。
4.イエローファット
稀ではありますが、酸化したフードを長期的に食べてしまうと起こる病気としてイエローファットがあります。
この病気は、不飽和脂肪酸の過剰摂取やビタミンEが体内で枯渇してしまうことによって引き起こされる病気です。
脂肪織炎とも呼ばれるこの病気は、名前の通り皮下脂肪や腹腔内脂肪が酸化ダメージで壊死や強い炎症を起こしてしまい、その炎症が全身に広がることで発熱や痛みなどの症状を起こします。
この病気になると、皮下に硬いしこりのようなものができ、猫はその部分を触られると激痛を感じます。
他にも元気がなく抱っこを嫌がる、歩き方がおかしいなどの症状や、重症になると高熱、脱水、黄疸、ショック状態になり、最悪の場合亡くなってしまうこともあります。
︎ドライフードの酸化を防ぐには

ドライフードの酸化を防ぐ方法として、まずは買う量を注意することが大切です。
ドライフードは、できれば開封から1ヶ月以内に消費できる量のものを選び、中身が少ない量で個包装してあるものを買いましょう。特に単頭飼いの方は、消費も遅いため、夏場など暑い時期は少ない量で買うことが大切です。
買った後、未開封のものは基本的にはパッケージから出さずに保管します。
ドライフードのパッケージは酸化や腐敗を防ぐために様々な工夫がされている袋で作られているため、未開封ならばその中で保管するのがベストです。
封を開けたフードは、なるべく空気と触れ合わないような工夫が必要です。一番良いのは自動や手動で真空にすることのできるフードストッカーですが、無い場合にはできる限り密閉できる容器を準備しましょう。
容器の大きさは、小さい物を複数用意することで、開閉する回数を減らして酸化を防ぎます。素材はプラスチックより、ガラスの瓶のような物の方が酸素を通しにくくなります。
それぞれの容器に市販の脱酸素剤を入れておくと、より酸化を遅らせることができる可能性があります。
容器ではなく、ジップロックのような小さめのチャック袋に1日分ずつ計量し、脱酸素剤を入れて空気を抜いて保存する方法もおすすめです。
どうしてもここまでの手間をかけられないという場合には、なるべく少ない量のフードを買い、開封したフードは、空気をしっかり抜いて保存するようにしましょう。
︎まとめ

フードを悪くする要因には、酸化以外にも腐敗があります。特に高温多湿の場所は、ドライフードが腐りやすくなるため避けなくてはなりません。特にウェットフードは脂質なども多く含まれ、劣化しやすいので注意しましょう。
酸化と腐敗、どちらも防ぐためには、真空容器に入れたフードを、直射日光の当たらない、高温多湿を避けた温度変化の少ない場所に保管するのがベストです。