『寿命が短い』とされている猫種7選 注意すべき病気から長生きの秘訣まで解説

『寿命が短い』とされている猫種7選 注意すべき病気から長生きの秘訣まで解説

他の猫種に比べて平均的な寿命が少し短いと言われる猫種を紹介します。短命とされる理由や、特に注意が必要な病気、そして猫が長く健康に生きるための飼い主ができる大切なことをまとめました。

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記事の監修

日本では獣医師。世界では旅人。”旅する獣医師”として世界各国を巡り、海外で見てきた”動物と人との共生の様子”を、執筆や写真展を通して皆さんと共有する活動をしています。

「寿命が短い」とされている猫種7選

子猫のマンチカン

1.マンチカン

マンチカンは、突然変異で生まれた短い足が特徴の猫種です。この特徴的な体つきのため、他の猫種に比べて関節や骨に負担がかかりやすく、椎間板ヘルニアなどの背骨や足の病気になりやすい傾向があります。

また、遺伝的に心筋症という心臓の病気のリスクがわずかに高まるとも言われています。マンチカンを長生きさせるためには、ジャンプのしすぎや無理な姿勢を避けるため、低いステップやスロープを用意するなど、足腰に優しい生活環境を整えることが非常に重要です。

また、肥満になると足への負担がさらに大きくなるため、食事管理を徹底し、体重が増えすぎないよう注意するようにしましょう。

2.スコティッシュフォールド

スコティッシュ・フォールドは、折れ曲がった小さな耳が愛らしい猫種ですが、この耳の形は骨の遺伝的な異常によるものです。

そのため、特に骨軟骨異形成症という、足やしっぽの関節に異常が起こる遺伝病のリスクが非常に高く、重症化すると強い痛みで歩きにくくなることがあります。

また、心臓の壁が厚くなる肥大型心筋症という心臓病にかかりやすいことも知られています。

関節の痛みがひどくなったり、心臓病で急死に至る前に病気を発見するため、定期的な関節のレントゲン検査や心臓のエコー検査を若いうちから行うことが、長生きさせるための秘訣です。病気自体を防ぐことはできませんが、痛みを和らげる治療や、関節に負担をかけない生活を心がけましょう。

3.メインクーン

メインクーンは「穏やかな巨人」と呼ばれるほど体が大きく、成長するのに時間がかかる猫種です。体が大きい分、心臓に負担がかかりやすく、肥大型心筋症という心臓病のリスクが比較的高いと言われています。

この病気は初期症状が出にくいため、気付かずに進行していることがあります。また、股関節形成不全という関節の病気や、糖尿病などの生活習慣病にも注意が必要です。

長生きのためには、適度な運動を毎日行わせて太らせないこと、そして、心臓病の早期発見のため、最低でも年に一度、動物病院で心臓のエコー検査を受けることがとても大切です。

4.アビシニアン

アビシニアンは、スリムで筋肉質、そして運動能力が高い猫種です。比較的平均寿命が短いとされる理由のひとつとして、遺伝的に腎臓や目の病気、また溶血性貧血など血液の病気にかかりやすい傾向があることが挙げられます。

特に、ピルビン酸キナーゼ欠損症という貧血を起こす病気は、遺伝子検査で事前にリスクを知ることができます。

アビシニアンを家族に迎える場合の日々の注意点としては、活発な猫なのでストレスをためないよう、上下運動ができる環境を用意し、毎日しっかり遊んであげることが重要です。

ただし、貧血を起こしてしまった場合は疲れやすくなるため、逆に安静にすることも大切です。

また、脱水は腎臓に良くないので、いつでも新鮮な水を飲めるように工夫し、定期的な血液検査で腎臓の数値や貧血の有無をチェックしましょう。

5.シンガプーラ

シンガプーラは世界最小クラスの体を持つ猫種で、その小ささが魅力ですが、体が小さいがゆえに注意が必要です。

遺伝的な要因として、肥大型心筋症など、心臓の病気のリスクが他の猫種よりも高めであるとされています。

長生きさせるためには、他の猫との接触を避けて病気の感染リスクを減らすこと、そして、小さな体で無理な運動をしないよう、安全な室内環境を整えることが大切です。

もちろん平均寿命を全うすることもあるので、定期的な健康診断で病気の早期発見に努めましょう。

6.エキゾチックショートヘア

エキゾチックショートヘアは、ペルシャ猫とアメリカンショートヘアを交配して生まれた猫種で、鼻が極端に低い「短頭種」であることが最大の特徴です。

この顔の構造から、鼻の穴が狭く、呼吸がしづらいという問題を抱えていることが多く、特に暑さに非常に弱いです。また、目が大きく涙が出やすいため、眼瞼内反症(逆さまつげ)や涙やけといった目の病気にもかかりやすいです。

さらに、ペルシャの血を引くため、多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)という遺伝性の腎臓病にも注意しましょう。夏場はエアコンで涼しく保ち、冬場は風邪をひかないよう温度と湿度管理を徹底すること、また、日々の目のケアを丁寧に行うことが、健康状態を保つ上で欠かせません。

7.ノルウェージャンフォレストキャット

ノルウェージャンフォレストキャットは、北欧原産で非常に大きく、分厚い毛皮を持つ丈夫な猫種に見えますが、遺伝的に注意すべき病気がいくつかあります。

特に、肥大型心筋症(心臓病)と糖尿病のリスクが他の猫種よりも高いと言われているようです。

また、ピルビン酸キナーゼ欠損症という貧血を起こす病気の遺伝子を持っている可能性もあります。

長生きの秘訣は、豊かな毛皮を健康に保ち、毛玉の発生や毛を飲み込むことによる毛球症を防ぐため、毎日のブラッシングを欠かさないこと。また、病気の早期発見のため、定期的な心臓や血液の検査を欠かさず行うことです。太りすぎも病気の元になるので、体重管理も意識しましょう。

猫を長生きさせるための秘訣とは

エキゾチックショートヘア

特定の猫種が抱える遺伝的なリスクは避けられませんが、どんな猫でも長生きさせるために飼い主ができることはたくさんあります。

最も重要な秘訣は、病気が進行する前に見つけるための「定期的な健康診断」です。猫は不調を隠すのが得意なので、元気に見えても年に1~2回は動物病院で血液検査やエコー検査を受け、心臓やその他内臓、貧血や内分泌疾患などのチェックをしましょう。

次に、食事と体重の管理が非常に大切です。太りすぎはすべての病気のリスクを高めるため、適切な量の質の高いフードを与え、肥満を予防します。

そして、歯周病は全身の病気の原因になるため、日々の歯磨きやデンタルケアを欠かさないこと。最後に、猫が安心して過ごせるストレスの少ない生活環境を提供し、病気のサインを見逃さないよう日々の観察を続けることが、愛猫を長生きさせる秘訣です。

まとめ

耳折れスコティッシュフォールド

「寿命が短い」とされる猫種がいるのは事実ですが、それは遺伝的に特定の病気にかかりやすいリスクを持っているという意味であり、必ずしも短命が決まっているわけではありません。

スコティッシュ・フォールドの関節や、メインクーンの心臓など、その猫種特有の「弱点」を飼い主が正しく理解し、注意すべき病気の早期発見に努めることが、何よりも重要です。

適切な食事と運動で肥満を防ぎ、不安やストレスのない安全な生活環境を整え、定期的な病院でのチェックを欠かさないことが、愛猫を平均寿命よりも長く、健康で幸せに導くための飼い主の責任であることを忘れないようにしましょう。

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