1.愛猫のちょっかい

在宅ワークで最も際立つ問題は、愛猫の狡猾で巧みな妨害工作です。
自宅でパソコン業務に打ち込んでいると、甘えん坊な猫ほど、飼い主さんの気を引くために、あれこれと「秘技」を仕掛けてきます。
- PCのキーボード上で寝そべる
- モニターの裏から魅惑的な眼差しで誘惑する
- 仕事上の大事な書類で爪研ぎする
- ボタンの誤作動で重要ファイルを削除する
自宅での仕事は、ある意味、かまって欲しい愛猫との精神的、身体的な綱引きとも言えます。シビアな戦いに敗れれば、「仕事時々愛猫」のはずが、「愛猫一時仕事」に激変してしまいます。飼い主さんの仕事模様は大荒れです。
度重なるちょっかい対策には、仕事と愛猫を空間的に切り離すのがいちばんです。具体的に言えば、愛猫に別の部屋でゆっくり過ごしてもらうこと。あるいは、PCデスクの棚などに愛猫専用の見守りスペースを設置するのも効果的です。
もちろん、仕事の休憩時間に愛猫とたっぷり遊ぶことも忘れないでください。
在宅ワークで大事なのは、仕事と愛猫のメリハリをはっきりさせることかもしれません。愛猫もそこそこかまってもらえて満足し、飼い主さんの仕事も捗ります。
2. 誤飲(PCの水没も)

2つ目の問題は、誤飲です。
仕事で使用するPCまわりには、USBメモリーや電源コードなど、愛猫の好みそうなものが目白押しです。猫は好奇心旺盛な動物で、気になったら、まずは匂いを嗅ぎ、それから実際に口に入れてしまうこともあります。
たとえば、コード類は、触ればクネクネ動き、猫じゃらしのように「猫グッズ感」満点です。愛猫が夢中になるのも無理はありません。ただ、しきりにガジガジかじっていると、やがて内部の銅線がむき出しになり、感電事故の危険性も出てきます。
歯が生え変わり始めた子猫(歯が痒い)や若くて活発な猫は、コード類に惹かれやすく、誤飲のリスクが高まるため、飼い主さんは細心の注意が必要です。
愛猫が遊びそうなコード類には、100均やホームセンターで手に入るスパイラル式のコードカバーが活躍してくれます。USBメモリーなどの小物類は、出しっぱなしを避け、愛猫の手の届かない場所に収納しておくことが大切です。
また、PC周辺を動き回る愛猫がきっかけで、水没事故も起こりやすくなっています。いったんPCがドリンクなどで濡れると、故障だけでは済まされません。大事なデータも消滅してしまう恐れがあります。
最悪の事態を防ぐためにも、飼い主さんは、ドリンクホルダーをはじめ、飲み物用のミニサイドテーブルの設置などで対策してみてください。
3.環境の変化で愛猫のストレスに…

3つ目の問題は、愛猫のストレスです。
おうちで仕事しながら、愛猫をナデナデできるなんて幸せだなぁ―飼い主さんがつい抱きがちな本音でしょう。
ところが、マイペースが信条の愛猫の立場になってみると、まったく正反対の印象です。そのときの心理状態をマンガ的に表せば、「あれ、今日は出かけないのか?」→「まだいる!」→「ずっといるのか…ストレスかも…」と移り変わっていきます。
猫は環境の変化に敏感で、たとえば、引越しは、大事な縄張りを手放すことにつながり、非常にストレスを感じます。
同様に、今まで日中にいなかった飼い主さんが、休みでもないのに終日おうちにいる状況は、愛猫にとって劇的な変化です。慣れるまで時間がかかるのは、当然のことかもしれません。
起床に始まり、食事、毛づくろい、お昼寝、爪研ぎなど、毎日のルーティンワークが、飼い主さんの在宅ワークによって乱されると、愛猫は少し混乱してしまいます。大げさに言えば、お気に入りのクッションを飼い主さんに横取りされたような気分です。
在宅ワーク中は、仕事に精を出しながらも、愛猫の生活リズムも尊重してあげると、無用なストレスを与えずに済みます。そのためには、適度な距離感を保つこと、愛猫の習慣(食事、おもちゃ遊び)のタイミングを守ることが肝心です。
必要であれば、愛猫とは別の部屋で作業することも検討してみてください。
もし在宅ワークで愛猫との関わり方に困ったら、意識的にオン(仕事)とオフ(愛猫)を明確にするようにしましょう。そうすれば、作業も順調に進み、きっと「仕事のち愛猫」で充実したひとときを過ごせるはずです。
まとめ

飼い主さんの在宅ワークでは、仕事を円滑に進めていくためにも、愛猫との関わり方が非常に大切です。
今回は、注意すべき点として、「愛猫のジャマ」、「誤飲と水没のリスク」、「愛猫の心理的プレッシャー」の3つを挙げました。
今までと状況が変わり、ちょっとうれしい飼い主さんとは裏腹に、愛猫は少なからずストレスを感じているかもしれません。
おうちで仕事しつつ、愛猫のリズムをできるだけ守り、適度に距離感を保つと、愛猫もリラックスして、在宅ワーク(毛づくろい、爪研ぎ、お昼寝)に取り組めます。