対処法1.落ち着いて状況確認

猫への虐待は、殴る蹴るといった暴力行為だけでなく、十分なえさや水を与えない、劣悪な環境で飼育するなどの行為も当てはまります。
猫を含む動物虐待の摘発件数は、増加傾向にあり、2023年には181件に上っています。
実際に虐待のような場面を目にしたとき、強い怒りや正義感からすぐに行動したくなるかもしれません。
しかし、人間は、誰かから「見られている」「非難された」と感じたときに、自己防衛のために攻撃的になりやすいとされています。
虐待している人を直接注意した場合、猫だけでなく通報者に危険が及ぶこともあります。
また、虐待に複数人が関わっていたり、地域でトラブルを抱えていたりするケースもあり、軽率な介入はかえって事態を悪化させる可能性もあります。
そのため、目の前で虐待行為が行われていても、まず距離をとり、安全を確保することが重要です。
2.証拠・情報を集めて通報する

動物虐待は犯罪行為ですが、動物が救われるためには客観的な証拠が欠かせません。虐待の様子を写真や動画に残したりする際には、以下のようなポイントに気を付けましょう。
- 撮影時刻と場所が分かるように記録する
- 無理に近づこうとせず、ズーム機能などを活用する
- 猫の状態(けが、動き、鳴き声など)をメモでも残しておく
- 加害者の服装や現場の住所、車のナンバーなどもメモする
さらに、近隣の住民や関係者などに聞き込みをして記録に残すのも有効です。
情報が収集できたら警察に通報を。いつ・どこで・誰が・どんな行為を・どの猫に対して行っていたか、を具体的に伝えられるようにしましょう。
確たる証拠がなく「虐待が疑われる」というケースでは、各地の動物愛護センターや各自治体に相談すると、調査をしてくれることがあります。
一方で、撮影した写真や動画をSNSで拡散することは、証拠隠滅や虐待行為の加速、プライバシー権侵害などのリスクも伴うため、注意が必要です。
対処法3.地域や各種団体と連携する

警察や行政の対応には時間を要することも多く、再び虐待が起きたり、別の猫に被害が及ぶ可能性があります。そこで、地域全体で猫を見守る体制を構築することも大切です。
地域で暮らす猫が不自然にけがをしている、不審な行動をとっている人がいる、といったささいな変化を住民同士が共有しておくだけでも、虐待の芽を摘むことができます。
また、けがや極度の痩せなどの異変が見られる猫を見つけた際に頼りになるのが、獣医師や動物病院です。アドバイスをもらったり、診察を受けさせたりすることができます。
さらに、すぐに保護が必要な場合には、地域猫活動を行うボランティア団体や保護猫カフェなどと連携して対応に当たる必要もあります。
地域の人々が日ごろから連携をとっておくことで、猫を虐待から救ったり、虐待を防いだりすることにつながります。
まとめ

残念ながら、猫に対する虐待事案は後を絶ちません。こうした現場を目の当たりにすると、大きなショックを受け、どう行動すれば良いか迷ったり、悩んだりするかもしれません。
まずは、心を落ち着かせて証拠をしっかりと集めましょう。そのうえで、警察への通報や動物愛護センターへの相談を行ってください。
そして、地域の人々と情報を共有し、力を合わせて虐待から猫を守ってあげましょう。
一人で抱え込まずに、みんなで向き合っていくことが、小さな命を救う第一歩になります。