1.成長と老化

人間と同じように、猫も年を取ると見た目に変化があらわれます。これが、毛の色が変わる第一の原因であり、一番わかりやすい変化といえます。
子猫の時期は、まだ本来持っている色素が完全に定まっていないことがあります。成長して成猫になるにつれて、遺伝子で決められた本来の色が濃くなったり、はっきりしたりすることがあります。例えば、薄い色のキジトラの子猫が、大人になると黒い部分がはっきり濃くなる、といった具合です。
また、体の大きさが変わってくることで、カラーリングのバランスが変わって、印象が異なって見える場合もあります。
猫も人間と同じように、年を取ると毛に白髪が増えてくることがあります。特に、口の周りや目の上など、顔の周りから目立ち始めることが多いです。これは、毛に色をつける細胞の働きが、老化によって弱まってしまうために起こります。
2.環境の変化

シャム猫やヒマラヤンなどの、顔、耳、しっぽ、足先だけが濃い色になっている猫を「ポイントカラー」と呼びます。この毛色は「サイアミーズ遺伝子」という、温度によって働きが変わる特別な色素遺伝子によって作られています。
サイアミーズ遺伝子があると、体幹など体温が高い部分は遺伝子の働きが抑えられ、毛の色は薄いクリーム色や白になります。そのため、サイアミーズ遺伝子を持った猫は、生まれたばかりの頃は真っ白です。
一方で顔、耳、しっぽ、足先など体温が低い部分は、遺伝子が活発に働き、毛の色は濃い茶色や黒になります。季節によって色が変わることもありますよ。
冬は、体の表面温度が下がりやすくなるため、濃い色の部分が少し広くなったり、さらに濃くなったりすることがあります。夏になると、濃い色の部分が薄くなることがあります。
3.健康・生活の変化

人間の髪の毛が日に当たると茶色っぽくなるのと同じように、猫の黒い毛なども、強い紫外線(日光)を浴び続けることで、色素が分解されて赤茶色っぽく変色することがあります。日当たりの良い場所でよく寝る猫に見られやすい現象です。
極端な栄養不足になったり、特定の病気になったりすると、必要な栄養素が毛に届かず、一時的に毛の色が薄くなったり、赤っぽく見えたりすることがあります。ただし、この場合は毛のツヤがなくなったり、抜け毛が増えたりといった他の症状も出ることがほとんどです。毛の色の変化の他に、体調で気になるところがあるときは動物病院に相談しましょう。
まとめ

猫の毛の色が変わるのは、ほとんどが年齢や温度など自然な変化が原因です。愛猫の毛の色の変化を観察して、一緒に過ごした年月を振り返ったり、季節の訪れを感じたりするのも、猫との暮らしの楽しみの一つになるかもしれませんね。