1.異物の誤飲

猫が突然「ケホッ、ケホッ」と咳き込む場合、まず疑いたいのが異物の誤飲。実際は咳き込んでいるのではなく、吐き出そうとしている様子です。
遊んでいる最中に誤っておもちゃの紐やビニール片を口に入れてしまったり、食事中にフードの欠片を飲み込もうとして喉に詰まらせたりするケースが想定されます。
異物が気管や喉の奥に引っかかると、咳のような「えづき」、苦しそうな呼吸、よだれ、食欲不振などの症状が見られます。特に長時間咳が続いたり、呼吸が荒くなったりしている場合は、気道が狭くなっている危険信号かもしれません。
このとき、飼い主が独断で無理に口の中をのぞいたり指を入れたりすると、誤って異物を奥に押し込んでしまう可能性があるため、要注意。不用意な応急処置は避け、すぐに動物病院へ連れて行くことをおすすめします。
誤飲は未然に防ぐことも大切。猫が遊ぶおもちゃの紐部分や輪ゴム、糸くず、マスク、ビニール袋などは誤飲事故のもと。日常的に片づけを心がけ、遊ぶときは飼い主が目の届く範囲で管理するようにしましょう。
2.喉の刺激

咳の原因が病気ではなく、環境からくる一時的な喉の刺激である場合もあります。乾燥した空気や、ホコリ、花粉、タバコの煙、香料の強いスプレーなどが猫の気道を刺激すると、咳が出ることがあります。
刺激が原因の咳は比較的症状が軽く、短期間でおさまることが多いですが、刺激のある環境が続くと慢性的な炎症を引き起こす可能性も。
特に冬場は暖房によって室内が乾燥しやすく、気道の粘膜が敏感になりやすい時期です。加湿器を使用して湿度を保つことや、こまめな掃除でホコリや花粉を取り除くと猫の咳を予防しやすくなります。
また、タバコや芳香剤など、強い香りを発するものは猫の呼吸器に負担をかけるため、できるだけ避けるようにしましょう。環境を整えても咳が続く場合は、単なる刺激ではなく、アレルギーや気道の炎症が関係している可能性があります。
3.早食い

食事のときに咳き込むような動作を見せる場合、早食いが原因のこともあります。猫の個体差はありますが、キャットフードを勢いよく飲み込むと、喉や気管に一時的に詰まりかけてむせることがあります。多頭飼いの家庭では、他の猫にフードを取られまいと焦って食べることで、むせることが起きやすくなります。
早食いが原因の咳は一過性のことが多いですが、頻繁にむせたり吐き戻したりするようであれば、喉や食道に問題がある場合も考えられます。対策として、食事の時間をゆっくりと取れるように環境を工夫することが大切。早食い防止用の食器を使う、フードを少量ずつ分けて与える、ドライフードをお湯でふやかして喉の通りを良くするなど、ちょっとした工夫で改善が期待できます。
4.猫喘息などの病気

猫の咳が慢性的に続く、もしくは苦しそうな場合は、猫喘息などの病気が疑われます。猫喘息とは、気道に炎症が起きて狭くなり、発作的な咳や呼吸困難を引き起こす病気です。
アレルギー反応が関係していると考えられており、原因は明確ではありませんがダニやハウスダスト、花粉などが原因となることもあります。
猫喘息の咳は、毛玉を吐くときのような「えづき」と似ているため見分けがつきにくいですが、しばしば夜間や運動後に発作的に咳き込み、胸を低くして「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と苦しそうな呼吸をするのが特徴です。
放置すると慢性化し、呼吸不全につながる危険があるため、早期発見と治療が欠かせません。治療では、ステロイドや気管支拡張薬による吸入・内服で炎症を抑える方法が一般的。また、再発を防ぐために、花粉やホコリを減らした清潔な環境づくりも大切です。
猫喘息の他にも心臓病や肺炎、寄生虫や細菌感染などが原因で咳が引き起こされることがあります。いずれも早期対応が鍵。咳が長引いたり、呼吸の様子がおかしい場合は、自己判断せず動物病院で検査を受けましょう。
まとめ

猫の咳は、様々な原因で起こります。軽い咳であっても、回数が増えたり、息苦しそうな様子を見せたりする場合は要注意。呼吸が速い、口を開けて息をしている、動きたがらないといったサインが見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
日常的に猫の様子を観察し、いつ・どんなときに咳をしているのかを把握しておくことは、原因を特定する大きな手がかりになります。今回の記事を参考に、猫が不自然な咳をしていないか見守ってあげてください。