「眠っている猫」にやってはいけない3つのNG行為

1.大きな音を立てて驚かせる・急に触る
猫の眠りの多くは、すぐに起き上がって逃げられるように浅い状態(浅いノンレム睡眠やレム睡眠)がほとんどです。
特に浅い眠りの時に、近くで大きな音を立てたり、急に体に触れたりすると、猫は敵に襲われたと勘違いし、本能的に強い恐怖を感じて飛び上がってしまいます。
この突然のショックは、心臓に負担をかけるだけでなく、「安全だと思って寝ていた場所が危険だった」という悪い記憶を刻み込むのです。
その結果、神経質になり、いつもビクビクして休めなくなったり、自己防衛のために触ってきた飼い主に対して威嚇や攻撃行動をとるようになってしまい、信頼関係を大きく損ないます。
2.無理やり抱き上げる・移動させる
猫にとって「眠る場所」は、周囲の安全が確保された、縄張りの中でも特に安心できる聖域です。
眠っている猫を無理やり抱き上げたり、別の場所に移動させたりする行為は、この「安全の保証」を一方的に打ち破る行為となります。
猫は、「なぜ危険な目に遭わなければならないのか」「ここは安全な場所ではない」と感じ、強いストレスと不安を覚えます。
この経験が積み重なると、飼い主の行動が予測できない危険なものだと認識するようになり、飼い主が近づくだけで逃げ隠れるようになります。
また、寝床を奪われたと感じることで、家の中に安心して休める場所がなくなり、常に警戒しなければならず、リラックスできなくなってしまうので注意しましょう。
3.寝顔や寝姿を撮影するために顔に近づく・光を当てる
猫の可愛らしい寝顔を写真に撮りたい気持ちはわかりますが、寝ている猫の顔のすぐ近くに人間が接近することや、カメラのフラッシュの強い光を当てることは、猫にとって大きなストレスと危険を伴います。
猫の聴覚や視覚は非常に優れており、人間が気づかないほどの小さな動きや光の変化にも敏感です。
顔に近づくことで呼吸の音や匂い、影を感じた猫は、「敵が間近にいる」と察知して緊張状態に陥ります。
さらに、フラッシュなどの強い光は網膜にダメージを与える可能性もあるので絶対にやめましょう。
猫は、自分の無防備な状態(寝ているとき)に邪魔をされたり、怖い目に遭ったりすることで、飼い主への不信感を持つようになり、深い眠りに入ることができなくなってしまいます。
眠りを妨げられた猫に起こるリスクとは?

猫は一日の大半を寝て過ごしますが、その睡眠は心と体の健康を保つために欠かせない大切な時間です。
眠りを邪魔されることが習慣化すると、猫は十分に休めなくなり、様々なリスクが生じます。まず、ストレスホルモン(コルチゾールなど)が増え続けるため、精神的に不安定になりやすく、ちょっとしたことでイライラしたり、飼い主に攻撃的になったりしてしまうのです。
また、睡眠中に分泌される成長ホルモンや免疫機能の働きが弱まるため、体力が落ち、風邪や膀胱炎などの病気にかかるリスクが高まることも。
さらに、十分な睡眠が取れないと記憶の整理ができず、情緒不安定や学習能力の低下といった、目に見えない心への悪影響も起こりかねません。
猫が安心して眠れる環境づくりのコツと接し方

猫が健康でいられるためには、「邪魔されないこと」が保証された環境が何よりも大切です。まず、静かで人通りが少ない場所に、猫が体を隠せる「安心できる寝床(箱やドーム型ベッド)」を複数用意しましょう。
窓際の日当たりの良い場所や、エアコンの風が当たらない暖かい場所など、猫が自分で選べるようにします。
また、寝ている猫には絶対に手を出さないというルールを家族全員で徹底することが、信頼関係を築くための一番の接し方です。
どうしても起こす必要がある場合は、「遠くから優しく名前を呼ぶ」、または「フードの皿をカチャカチャと鳴らす」など、猫が自分で安全だと確認して起きることができるように、間接的な方法を選びましょう。
まとめ

猫の長い睡眠時間は、単なる休息ではなく、健康の維持と精神的な安定に不可欠な時間です。
眠っている猫を驚かせたり、無理に触ったりするNG行為は、猫の心と体に大きな負担をかけ、飼い主への信頼を失う原因となります。
猫が「ここは安全だ」と心から感じられる環境を作り、寝ているときはそっと見守るという配慮が、愛猫を幸せにし、より深い絆を育むための最も大切な愛情表現となるでしょう。