1.相手の情報を確認している

猫にとって個体ごとのニオイはそれぞれの名刺のようなもので、私たち人間が言葉で自己紹介や挨拶をするように、猫はニオイを嗅ぐことで相手の情報を読み取ります。
猫は人から差し出された指先のニオイを嗅いで「このニオイは好きか嫌いか」「以前に嗅いだことのあるニオイか」「相手は落ち着いているか、緊張しているか」などを判断するのです。
特に初対面ではお互いのことを知らないので、いきなり頭をなでられるよりも、指を差し出して猫にニオイを確かめてもらうことで敬意を示せます。私たちもいきなり初対面の人から肩を組まれたら不快ですものね。
ただし、真正面から指を差し出すと、猫には攻撃的な態度と受け取られることがあります。猫の性格によっては、威嚇したり猫パンチを繰り出したりするかもしれません。身体をやや斜めに向けて指を出し、猫が自分から鼻を近づけるまで待つことがポイントです。
2.安心できるニオイかどうかをチェック

猫は環境の変化に敏感なので、知らないニオイを感じると警戒してしまうことも少なくありません。そのため、出された指先のニオイを嗅ぐことで、相手の情報だけでなく、そのニオイが自分にとって安心できるものかどうかを確かめています。
指先には飼い主のニオイだけでなく、触れた物や場所などの情報が集まっているため、猫は近づいてきた指先のニオイを嗅ぐことで、いつもと同じ安心できるニオイかどうかを確かめているのです。
飼っている猫でも、帰宅した直後の飼い主の手のニオイを嗅ぐときには「どこに行ってきたのかな?」「なんだか知らないニオイがするよ」と思っているのかもしれません。猫カフェなどでほかの猫と触れ合ったことがバレたら、嫉妬されてしまうかもしれません。
3.純粋な好奇心から

人懐っこい猫の中には、目の前に差し出された指を警戒せず、興味津々に近づく子もいます。これは純粋に「これはどんなニオイだろう?」という好奇心が勝っているからです。
猫は人間にはわからない微細なニオイも嗅ぎ分けるため、相手の情報を得たり、安心できるかどうかをニオイで判断したりすることもあります。しかし、そうした深い意味だけでなく、目の前に突然指が現れたから「ニオイを嗅いでみよう」という単純な好奇心も働いているのです。
そもそも、猫がニオイを嗅ぐのは未知のものを知りたいという生まれつきの好奇心からです。新しいニオイに出会うと頭の中が刺激され、「ニオイの元」がどんなものか確かめたくなるのです。人間でいうと、おいしそうな香りを嗅ぐことで、その料理に興味が湧くといった感覚に近いでしょう。
まとめ

猫に指先を近づけたときに、鼻を近づけてニオイを嗅ぐ行動から、猫は私たちの情報を得て、自分に害のない人間かどうかを確かめていたのですね。中には、ただ目の前にあるからニオイを嗅いでみたという好奇心旺盛な猫もいるようです。
嗅覚の優れた猫たちにとって、ニオイは人間の言葉以上に情報量の多い伝達手段です。香りのするハンドクリームを塗っているときと、食事の直後では、猫の感じ方も変わってしまうかもしれません。
もちろん猫の中には、人見知りで指先を出したとたんに逃げ腰のコや、人の指のニオイなんかに興味がありませんというクールなコもいます。すべての猫がニオイを嗅ぐわけではありません。
もし、指を差し出して鼻を近づけてくれたら、その猫は心を開こうとしている証拠ですので、無理に触らず猫のペースに任せれば、今よりもっと仲良くなれるはずです。