1.運動不足

猫の筋力が低下する理由のひとつに、運動不足があります。
人間の場合、運動不足が続くと、筋力が衰え、階段の上り下りがつらくなったり、重たいものを持てなくなったり、道端のちょっとした段差に躓きやすくなります。
猫も同じです。運動不足で筋力が弱ってしまうと、キャットタワーの上段まで登れなくなったり、テーブルの上に飛び乗ったりできなくなります(あるいは、見事に失敗する)。
猫は意外にプライドが高いので、ミスが度重なると、「登る」、「飛ぶ」という基本的な動作を嫌がり、ますます運動不足に陥る可能性があります。
運動量の低下は、肥満をきっかけとして、糖尿病や心臓疾患、関節炎などのリスクを引き寄せる大きな要因です。
飼い主さんは、日頃から愛猫の行動をつぶさに観察して、身体を適度に動かせているかどうかチェックするようにしてください。
2.加齢

当たり前のことですが、猫にも老化現象は訪れます。
若い頃、嵐のごとく元気に動き回っていた愛猫が、シニア期に差しかかる7歳頃をピークに運動量がだんだん落ち、眠っている時間が多くなった―そんな様子にふと寂しさを感じてしまう飼い主さんもいるはずです。
動かない時間が増えると、その分、運動不足になります。食事量を制限して体重管理したいところですが、食欲だけは相変わらず、といったパターンも多いかもしれません。放っておけば、見る見るうちに巨大化し、果てはぬいぐるみのように膨れ上がります。
シニア猫になると、おもちゃ遊びに興味を失うことも少なくありません。いくら飼い主さんが誘っても、まったくのスルー。この状態が続けば、運動不足→肥満→筋力低下、病気のリスク諸々、という悪循環に陥ってしまいます。
3.ケガの可能性

3つ目の要因は、何らかのケガの可能性です。
猫は自分の弱みを隠したがる動物です。弱みは敵につけ入る隙を与え、命にも関わってきます。たとえケガを負っていても、なるべくポーカーフェイスを貫く。それが大昔から続く猫の「野性」です。
美学としては立派ですが、ケガにもかかわらず、愛猫が平静を装っていたら、飼い主さんの気づかないうちに、症状が悪化してしまうこともあります。
ケガでよくあるのは、キャットタワーなどの高所からの着地失敗、滑りやすいフローリングでの転倒です。変な姿勢で着地したり、転んだりすると、捻挫や脱臼、骨折などの危険性が出てきます。
たとえば、猫が右前脚を軽く捻挫すると、無意識のうちにかばって、他の脚に重心をかけるようになります。その間、ケガした右前脚の筋力が衰えることもあります。人間で言えば、骨折のギプスを外したら、ひと回り足が細くなっていた、と同じようなものです。
みなさんの愛猫が、加齢以外の理由で、以前は何でもなくこなせていた行動(キャットタワーを登る、飛び降りるなど)を回避しているなら、もしかすると何らかのケガを負っているサインかもしれません。
異変に気づいた時点で、すぐに愛猫を動物病院に連れていってください。
筋力を維持するための対策とは?

運動に問題のない健康的な猫であれば、日々の適度なおもちゃ遊びこそが、「筋力強化」につながります。
一日のおもちゃ遊び時間の目安は、だいたい1回につき5~10分、数回に分けるのがポイントです。「登る」、「ジャンプする」などの立体的な動きも重要なので、もしおうちになければ、キャットタワーの設置も検討してみてください。
なかなか動きたがらない肥満気味の猫やシニア猫には、一定の工夫が必要です。
低めのキャットタワーを導入するほか、楽しみながら遊べる知育玩具(おやつを探すものなど)、寝転んで遊べる蹴りぐるみといった猫グッズが活躍してくれます。
言うまでもないことですが、持病やケガのある愛猫は、運動自体が悪化の要因になるため、無理して遊びに誘うのは控えるようにしましょう。
まとめ

人間と同じように、猫も「運動量の減少」、「老化現象」、「ケガ」によって、筋力が低下することもあります。
健康良好な若い猫であれば、ネコじゃらしなどのおもちゃ遊びを習慣化することで、適切な筋力を維持できます。
シニア猫には、栄養面でステージに合ったフードの選択と、本文でも紹介した知育玩具、蹴りぐるみの活用を取り入れてみてください。