︎耳ダニとは

耳ダニとは、ミミヒゼンダニという寄生虫が外耳道や皮膚の表面に寄生することで発症する病気です。
ミミヒゼンダニは外耳道や皮膚表面の角質などを栄養源としており、虫卵を産むことでその数をどんどん増やしていきます。
耳ダニに感染する経路は、ミミヒゼンダニのいる耳垢に触れたりすることによる接触感染です。
よって、ミミヒゼンダニのいる母猫に育てられた子供やその兄弟はみんな耳ダニを持っている可能性が高く、ペットショップやブリーダーから購入したばかりの子猫では注意が必要です。
︎症状

1.痒み
耳ダニの最も主要な症状は激しい痒みです。
痒みにより頭を振る、耳を掻く、顔を物や人に擦り付けるなどの仕草が頻繁にみられます。
時には激しい痒みから眠りが妨げられて寝られなくなってしまうことや、耳を掻きすぎて出血をしてしまうこともあります。
2.異常な耳垢
耳ダニに感染した猫の耳垢は、茶褐色の耳垢が大量に発生します。
通常、猫の耳はキレイなことが多く、表面から見ただけではほとんど汚れが無い、もしくは少し汚れがついているくらいが正常です。
耳をのぞいた時に明らかに外耳道に茶褐色の耳垢が沢山ついている場合は耳ダニかもしれません。
3.強い匂い
耳ダニの感染により大量の耳垢が出る事で独特の強い匂いが発生することがあります。
通常の猫の耳は、普通に生活をしている分には匂いが気になることはありません。
猫から匂いがすると感じた場合には、耳の中が汚れていないかを確かめてみましょう。
4.耳垂れ
耳に強い炎症が起こると、耳垂れといって耳から水のような液体が流れ出る事があります。
色は水のように透明なこともあれば少し黄色がかっていることもあり、強い匂いを伴うことが多いです。
耳垂れが出ている時は、耳ダニに限らず何らかの原因で耳に強い炎症が発生しているサインです。
5.耳や顔付近の皮膚炎
耳を掻く事により、耳周りの毛が薄くなってしまったり、皮膚が赤く炎症を起こしたりすることで、血が出てしまうほどの強い皮膚炎を引き起こしてしまう事があります。
また、エリザベスカラーをしている猫や、耳に足が届かない猫、高齢で動きが緩慢な猫では、耳ではなく首や顔周辺をしきりに掻いてしまい、そこに赤みや脱毛が起こる事もあります。
顔周りや首に皮膚炎があった場合にも、耳が汚れていないかを確認することが大切です。
︎検査

ダニと聞くと、一般的によく聞かれる外にいるマダニを想像する方もいらっしゃり、目に見えると思っている方も多いです。
しかし、耳ダニの原因となるミミヒゼンダニはとても小さく肉眼では見えません。
よって、動物病院に行き耳垢検査と呼ばれる、耳垢を顕微鏡で見る検査をします。
ミミヒゼンダニの虫体、もしくは虫卵が見つかった場合には耳ダニと診断されます。
︎治療

耳ダニと診断された場合、まずはミミヒゼンダニを駆除するための駆虫薬を使用します。この薬は耳の中に入れるのではなく、猫の首後ろの皮膚に滴下することで、血管から吸収され耳を含めた全身にいるミミヒゼンダニを駆除してくれます。
また、動物病院では外耳道の洗浄を行い、炎症を抑えるための点耳薬が処方されることが多いです。
炎症が重度の場合には、抗生剤や痒み止めなどの内服薬を使用する事もあります。
そして、痒みから猫が掻きこわしてしまっている場合には、エリザベスカラーを着用して耳に触れることができないようにする事もあります。
︎予防法

月に一回行う、ノミダニやフィラリアの予防薬の中にはミミヒゼンダニの駆虫も含まれているものがあります。
ミミヒゼンダニは、接触感染によって起こるので、他の猫と触れ合いのない完全室内飼いの猫では必要ありませんが、外に出る猫ではミミヒゼンダニの駆虫ができる予防薬を選ぶことが予防となります。
いつもは外に出る猫でも、もしも耳ダニになってしまった場合には他の猫に移さないためにも、治療期間は外に出さないようにしましょう。
︎まとめ

耳ダニはとても強い繁殖力を持つため、治療をせずに自然に治ることはほとんどありません。
また、猫が頭を振るなどして飛んだ耳垢が人の耳に入るなどして、人に耳ダニがうつる事もあります。
猫の耳が汚れていたり痒がっていたりする場合には、動物病院に行き正しい治療を受けるようにしましょう。
耳ダニと診断された際、お家に一緒に生活している猫がいる場合には、他の猫にも耳ダニがうつっている事が多いため、全ての猫で駆虫薬を行うようにしましょう。